究極の田んぼ: 耕さず肥料も農薬も使わない農業

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
4.33
  • (27)
  • (27)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 213
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532490881

作品紹介・あらすじ

不耕起移植栽培の普及と環境再生農業の提唱で2008年度吉川英治文化賞に輝いた著者が、市民と農家が共に楽しめる、地球と人と生きものに本当に優しい市民農園・村おこし構想を提言する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 耕さず、農薬も与えない農業についての本。

    著者が目の前でしゃべっているかのような文体なので、田舎のじいちゃんと会話しているかのような不思議な読書体験となりました。口語体だからか、時折、それまで出てきた話の繰り返しのような場所もあったりしますが、理路整然とした文章ではないことがむしろプラスになっている感があります。

    農業の素人としては、無農薬農法としてよく聞かれる「合鴨農法」は良いものなのだろうと単純に信じて疑っていませんでしたが、実はそれなりに解決すべき問題があることが触れられていて、それだけでもいい勉強になりました。

    この著者の面白いところは、自身が提唱している不耕起農法が決してBest choiceではないと明言していること。場所によっては他に適した農法があるということを認めるというのは、それなりに覚悟と度胸、そして度量がないとできないことかと思います。

    著者の岩澤さんは、残念ながら2012年に鬼籍に入られたようです。恐らく、岩澤さんの理念を継いだ方々が、日本各地でそれぞれの土地にあった農法で農業を続けておられるのでしょう。
    一概に「無農薬」で括るのではなく、農作物や農地に何が起きているのか、というところにまで配慮していけるといいなぁ、と、この本を読んで感じました。

  • 今、読んでいる本。とても面白い。奇跡のリンゴの木村さんとの共通点にも感動した。
    日経の広告見て、無性に買いたくなった。いつもの寄り道先である三省堂名古屋テルミナ店で購入。積読みへ。

  • ふむ

  • environment
    agriculture

  • 耕さなくてもいい田んぼなど、初めて知ることばかりで、刺激になった。

  • 耕さず肥料も農薬も使わぬ-不耕起移植栽培と冬期湛水農法
    不耕起とは文字通り、田んぼの土を耕さずに、苗を植えること-イネを刈り取った後のイネ株をそのまま残し、そのイネ株とイネ株の間に今年の新しい苗を植える。移植とは、あらかじめ苗を育てておいて、田植期にそれを移植すること。田んぼに直接種籾をまく直播き法ではなく、一般的に行われているように、苗を別に育てておいて、田植えの時に移植する方法で、苗の育て方が一般と違い、稚苗ではなく、成苗にしてから移植する。
    冬期湛水法とは、冬に田んぼに水を張っておく農法-一般的には、秋にイネ刈りをした後、田んぼをそのままにしておき、春の田植えの前に田起しをしてから水を張って苗を植えるが、冬期湛水は、冬にも田んぼに水を張っておき、田んぼの中の光合成を促し、植物プランクトンやそれを餌にする動物プランクトンの発生を助け、イネの生長に必要な栄養分が供給されることを狙うもので、結果として無肥料栽培になる。また、雑草の発生も抑えられるので、無農薬栽培にもなる、という。
      ――2010/05/31

  • 不耕起栽培をキーワードに、SRI農法、ダイズの栽培法等を紹介している。
    著者の岩澤さんは想像もつかないほどの苦労をされているだろうが、そういった記述は必要最低限で、何よりこれから先訪れる飢餓時代をどうするか、いかにして自身が持っている農法のノウハウを伝えていくかを考えているかが伝わってくる。

    読みやすく、圧倒的な熱量の有る良書だと思います。私も千葉県出身、自然耕塾、行ってみたいなと思います。
    その上で祖父の残した田んぼやタケノコ山を復活させられたら…

  • 耕さず肥料も農薬も使わない農業。面白い内容だけど、田んぼの経験がない素人にはわかりづらい内容だったかも。しかし今までの米作りの常識をうちぶる不耕起への取り組み、そして未来への展望など興味深かったです。

  • 2010年読後すぐに、著者に直接会いたくなった。
    著者主催のへそまがり大豆栽培講習会は本書同様驚きの連続だった。
    ほんの少ししかおはなしできなかったが、著者独特の空気感がよかった。
    いまさらだけど、本当にありがとう。

  • ブログに掲載しました。
    http://boketen.seesaa.net/article/407089068.html
    農業と言えば土を耕すということ。「農耕民族」というくらいのものだ。
    それを真っ向から否定し、耕さない農業を提唱する。
    いつの世にも、どんな分野にも、革命家というものはいるが、この人こそ日本農業千年の常識をくつがえす革命家だ。
    おのれの直観を信じ、耕さないカチンカチンの粘土質の土壌に米を栽培する技法を、20年がかりで開発した。
    肥料を(化学肥料も堆肥も)与えず、農薬もいっさい使わないで、1993年の冷害の時に他の田んぼが実を結ばない「青立ち」状態の時、不耕起栽培の田んぼだけがほぼ例年なみの収穫を得た。
    ではその年を境に日本の農業がすべて「不耕起栽培」に切り替わったかというと、そういうことはまったく起こらない。
    それどころか、農機具業界、農薬業界にがんじがらめに支配されている農協は、不耕起栽培を目の敵にしている。
    いつの時代も、革命家のこうむる受難は変わらないものだなあ。

全32件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1932年、千葉県成田市生まれ。旧制成田中学校卒業後、農業に従事。1980年よりPOF研究会を組織し、千葉、茨城、山形、秋田で低コスト増収稲作の研究、普及を始める。1983年頃より不耕起移植栽培の実験に着手。1989年、三菱農機と専用移植機の開発に取り組む。1993年、日本不耕起栽培普及会を設立、初代会長に就任。不耕起移植栽培、冬期湛水を提唱。2002年から毎年「自然耕塾」を開催。不耕起栽培の研究、普及が評価されて2008年、吉川英治文化賞受賞。2012年没。著書に『生きもの豊かな自然耕』(創森社)など。

「2023年 『不耕起でよみがえる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩澤信夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×