脳とクオリア: なぜ脳に心がうまれるのか
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (1997年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532520571
感想・レビュー・書評
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対象にすべき事物の前に立ちはだかるのは、
すべてこのことでないか。
脳が感じたときの質感「クオリア」について、
その紹介と関係する周辺理論について、
仮説を交えて紹介している。
認識とは?意識とは?
考えるとは?理解するとは?
まるで高みに近づくために
次々に前提を掘り下げて
どんどん地下に下がっていくような
読み物。
1冊で分かることは、
クオリアを扱うことが、おそらく「理解」の本質に近づく
蓋然性が高いであろう事と、
その深淵さ。
足元をどんどん深堀りしてもまだ岩盤に到達しない。
人文科学と自然科学がその領域を広げて
重複すらしている今日、
人間が「分かる」「知覚する」「理解する」
というのはどういうことなのかを、
もっと明確に捉えれば、もっと社会は発展するはず。
もやもやしたものに名前をつけて、
対象として扱うところから始めよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
内容は大分レベルを落としているのか、実力なのか、論理的に甘い感じはする。ただ、ネットワークや複雑系に関する最近の科学の視点から心の問題をとらえている点は非常に興味深い。また、固有時の考え方は一般的でおもしろかった。
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人間の意識について論じた書籍である。脳科学を扱っているが、マッハの原理、相互作用同時性の原理、相対性理論、シャノンの定理、チューリングテスト、人間機械論などが引き合いに出され、思考実験されている。
情報工学自体が、確率論の一部であるという知見は無かったので驚きである。
世界線についての記述があるが、ある意味、この書籍の考え方に寄れば世界線を渡り歩くという設定もがぜん現実味を帯びて語れる、というヒントをくれる。 -
713夜
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8月6日読了。学者に本気(こんなもんではないだろうけど)を出されるとついていくのは難しい・・・特に数学的手法を駆使されると。分かりにくい世界を分かりやすく理解するためのツールであるはずの数学が一般人にとっては分かりにくい、とはどういうことか。理解できない箇所も多々あるとは言え、「中国語の部屋」の話など興味深いトピックも多く、また仮説を順々に検証していくことで「意識はニューロンの発火のみで説明できる(はず)」「人間に自由意志はない」など、非常に面白い議論を知ることができた。未だに分かっておらず、うまく説明もつかない事象をそれでも言語を使って説明するのって大変だよな・・・いや、私の仕事も含めてこの世の作業はなんでもそうなのか?
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ニューロンの発火の積み重ね、自由意志という幻想、質感≒クオリア
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昔からの疑問だった、「自分が赤いと思って見ているこの赤色は、他の人が見たら青く見えるのかもしれない」(例えば、他の人の身体に乗り移って景色を見たら、普段自分が見ている景色のネガのように見えるかもしれない)というような事についても語っている本らしい……というわけで読んでみたい一冊