- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784533047367
感想・レビュー・書評
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寺本光照氏による『新・名列車列伝』であります。何故「新」が付くのか。それは1988(昭和63)年に、寺本氏と大久保邦彦氏との共著による『名列車列伝』が上梓されてゐたからであります。
で、この度JTBから「改訂版」を要請されたのですが、大久保氏は既に故人となつてをり、寺本氏単独で執筆することになつたのです。しかも「改訂版」ではなく、白紙から「書下ろし」の形式で発表となりました。
前作では、列車の選定を優等列車(特急・急行・準急)に限定したさうですが、今回はもつと範囲を広げて、以下のやうな基準の基に執筆したさうです。即ち。
①それぞれの時代を代表する列車。ならびに時代を特徴付ける列車。
②地域開発に大きく貢献した列車。
③旅行文化の啓発に関わった列車。
④車両スタイルや設備が革新的であったり、人気の高い列車。
といふ事で、かなり選択の幅が広がりました。中でも修学旅行列車とか、屈辱のアメリカ駐留軍専用列車まで「名列車」なのかと、憤慨する人もゐるかもしれません。著者も、「異論もあろうが、鉄道史上忘れられない列車のひとつではある」と批判覚悟で載せたやうです。確かに、暗い歴史の上で、現在の隆盛が有るのだと思へば、著者の思ひも理解できます。
それを除けば、一様に楽しい列車評となつてゐます。「編成表」も参考になり、わたくしの勘違ひもかなり正されました。
ただ、列車の選定が国鉄~JRグループの列車に限定され(名鉄「北アルプス」キハ8000系はありますが)、私鉄の名列車が完全に無視されてゐるのが残念。是非私鉄版「名列車列伝」も読みたい喃。
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