- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784534038944
作品紹介・あらすじ
「市場」を支配する物理学と心理学のスキマに存在する「収益機会」とは?「投資行動」の本質がわかる基本書。
感想・レビュー・書評
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タイトルの通り、理論的に市場や値動き、投資行動や反応についてわかりやすく解説している。知っているつもりだったことでも、あらためて読むと理解が深まり、また新たな発見も得られる良書。投資を行うのであれば、ぜひ読んでおきたい一冊。
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確かなものなど何もない、すべては確率論としてとらえるべきである。
ロバート・ルービン
マーケットの本質は、不確実性である。
したがって、優れた投資理論とは、
「マーケットの本質である不確実性にどう対処するか」
自分自身で考え、納得したやり方でないと、いざというときに応用が効かない。
(マハン大佐の教え)
「マーケットは偶然性に完全に支配されることはないが、
しかし、かなり影響を受ける」
マーケットにおける最大の難問
→マーケットでは何が必然で、何が偶然かということがはっきりとはわからない。
☆投資とは、期待リターンの見当をつけ、それを論理的に推定していく作業
☆大切なのは確固たる信念。
投資哲学を持たずして、プラスの期待リターンを追求することはできない。
◎経済学は投資には役に立たないことを示唆する有名な話
「ある男が気球に乗っていたところ、風に流されて知らない土地に来てしまった。
高度を下げ、地上を歩いている男に、『私は今どこにいるか教えていただけませんか』
と聞いたところ、地上の男は『あなたは今、気球の中にいますよ』と答えた。
気球の男は、『彼は経済学者に違いない。言っていることは正しいが、
まったく何の役にも立たない』とつぶやいた。」
ランダムウォーク=相場のブラウン運動
ランダムウォーク理論とは、マーケットの成熟度が高ければ、
相場の変動はブラウン運動に従うという考え方。すべての投資理論の出発点。
ブラウン運動は1827年、イギリスの植物学者ロバート・ブラウンが
花粉の観察中に発見したもの。花粉を砕いた微粒子を水に入れると
不規則な動きを見せる。花粉が水の分子の衝突によって不規則な
ひらひら運動をする現象のこと。
このブラウン運動が相場の動きにも適用されるためには、
次の3つの条件が成り立つことが前提となる。
1.相場を変動させうる情報は、瞬時にマーケットに広がる(情報コストがゼロ)
2.売買に際して、税金や手数料などがかからない(取引コストがゼロ)
3.すべての投資家は、金銭的利益を最大化するように行動する(合理的投資行動)
マーケットがこの条件を満たしていて、その結果、
相場の変動がブラウン運動に従うという考え方を「効率的市場仮説」という。
この仮説上の効率的市場では、次のことが起こる。
ある証券価格を1%上昇させる情報が発生する
↓
瞬く間にマーケットに広がり、1%の値上がり益を得ようと投資家が殺到
↓
その結果、あっという間に価格は1%上昇し、値動きが止まる
↓
この時点からさらに価格が動くのは、それまでの予想に反した情報ができたときか、
あるいはまったく新しい情報が出てきたときで、それが価格を値上がりさせるのか、
値下がりさせるのかは全く予想できない。
新しい情報は水分子、証券価格は花粉粒子
→予測できない不規則な動き、これが「ランダムウォーク」
★ランダムウォークな世界で起こること
○ファンダメンタルズ分析もチャート分析もまったく無意味
○アクティブ運用の期待リターンはパッシブ運用を下回る
→1975年、ボーグルのインデックスファンドが誕生
○サルでもスーパー投資家になれる
→グレアム・ドット村のサルは例外?
◎◎◎ここまでの結論◎◎◎
マーケットの大部分はランダムであり、しかも多くの人が考えるよりはるかに
ランダム性があり、はるかに予測が難しい。
しかしバフェットやソロスやリンチの例もあるように、知性によって収益を獲得する機会、
マーケットの非効率性が存在ことも少なからずある。
つまり、すべての投資理論は、強力なランダムウォーク理論を乗り越えなければならず、
それができて始めて投資理論として意味を持つようになる。
マーケットにわずかに残る“ランダムではない部分”に焦点を当てない限り、
期待リターンを高めることはできない!
マーケットに非効率を発生させうる人間心理の強い偏りを
解き明かすのが『行動ファイナンス』
中心にあるのは、カーネマンの損失回避理論、すなわち「プロスペクト理論」
→人間は損失を回避することを優先する
人間は利益が出ると小心になってすぐに利益を確定しようとする。
損失が出た場合は損失を確定するよりもそのままのポジションを維持しようとする。
損が出た途端に「長期的に見ればいつか上がるだろう」と、
いつのまにか自分を長期投資家に修正してしまう。
投資とは結局のところ「人間の本性との戦い」であり、
その戦いに勝利しない限り持続的な成功は望めない!
→オニール曰く「やりたくないことをたくさんやらなければ勝ち続けられない」
そしてフリーランチ(マーケットにお金が落ちている状態)には貪欲にくらいつく!
●投資に必要な資質
1.マーケットもしくは投資が好きであること
2.数字に強いこと(バフェットは暗算がすごい)
3.信念と柔軟さのバランスがとれていること
4.最終的に自分だけの投資戦略を編み出すこと
マハン大佐の教え
「戦略や戦術は教科書や授業で教わることではない。…
借り物ではなく、自分自身で編み出した作戦原理だけが、応用が効くものである」 -
いかに相場がランダムかかがわかる
内容は難しめ -
ほんとうの意味でトレードの関する《基礎知識》は本書で良いような気がする。
トレードに関する当たり前のことに対して理論的に深堀りされているのが非常に好感が持てる内容だった。 -
マーケットが完全に効率的であったら、相場の動きはランダムウォークであり、短期の動きを予想することは理論的に不可能。
ただし、人間の心理的な弱みに起因する非効率性がマーケットには残っている。
たとえば、宝くじを発行できるというのは、合理的で効率的なマーケットには絶対に存在しない、発行者が絶対的に有利な裁定機会である。
マーケットで成功する前提条件
マーケットもしくは投資が好きで絶えざる知的好奇心と時間的自由を持つこと。
数字に強いこと。
マーケットで成功するのに欠かすことのできない要素
信念を持ち、同時に思い込みや頑固さは避けること。
柔軟性を持ち、同時に過敏さは避けること。
投資に必要な発想法・思考法
ロジカルであること。
分析はひらめきやヒューリスティックを検証するためのもの。
仮説検証型思考法。
完璧を求めない。
投資で成功を収める最大の鍵は、借り物ではない自分自身のやり方、投資哲学を確立すること。
内容的には星5つだと思うのだが、自分は世界経済全体の持続的成長の平均値を取れればいいというインデックス投資家なので、第6章の「マーケットにわずかに存在する期待リターンの源泉と投資手法」は読んでも実地で使う機会はないなあと思った。 -
ランダムウォーク理論と行動ファイナンス理論を学ぶことができる。
投資家の目線で説明されることが多いため、より実践的にイメージがしやすい。 -
株価の値動きについての予測不可能性を説明するランダムウォーク理論と、投資をする人間の心理について分析した行動ファイナンス理論について、基礎が学べる本。解説が丁寧で、わかりやすい。「情報は市場で一瞬で織り込まれるのか」「継続するトレンドはあるのか」等、考えさせられる。「なかなか損切できないが、利益はすぐに確定しまう」等々、人間の行動特性もなかなか面白い。投資をするとついつい熱くなってしまうが、頭の片隅にこの本の知識を入れておけば、客観的に自己を振り返ることができるかもしれない。
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ランダムウォークに興味を持って購入。肝心のランダムウォーク自体の話は多くなかったが、行動ファイナンス理論の話は楽しめた。
「投資理論は総合科学である」として、ランダムウォークといった物理学(?)、経済指標の分析といった経済学、投資家心理に関する心理学等々が投資にどのような影響を与えるかということに関する理論が述べられており、必勝法的な話と異なり、投資に関する学問的(?)な奥深さが感じ取れて面白かった。
ただ気になったのが、全て理論の話だけであり、科学にとって本質的な実験的な検証の話が全くないということ。リスクプレミアムや裁定機会の話も理論としては面白いが、それらが測定できないのであれば、理論としての検証もできず、また肝心の投資行動の実践にもつながらないと思われる。
まあ一部の”優れた投資家”は、それらの測定法やそれに基づく確率的にほぼ確実な儲け方の数式を持っているが、それを公開した瞬間に、量子力学のようにそれらはその意味を失うから、書籍のような形で人の目に触れる機会はないのかもしれないが。 -
タイトルの通りランダムウォークと行動ファイナンスに関する基礎的なことが網羅的にまとめてあります。
これから投資をしようとか、投資をしているけどちゃんと理論的なことも勉強してみたいと思っている人には、最初の1冊として良いのではないでしょうか。ただ、この本を読んだからといって投資が上手くなったりする訳ではありません。あくまで理論のさわりを解説しているだけで、具体的な投資手法を指南しているわけではありませんので。
具体的にどうやっていくかは本書でも指摘されている通り、更に学習を積んで、自分に合う方法を編み出していくしかないのだと思います。 -
んー、、