結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)

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  • 日本実業出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534047786

作品紹介・あらすじ

人は、普通に続けられることしか続かない。思考を進化・深化させるために大切な3つのこと。変化が激しい時代の実力の磨き方。

感想・レビュー・書評

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  • 勝負の世界で生きる人の言葉はすごい勉強になる。

    将棋をちょとやってみようかなぁと思った。

  • ギャンブルと変化の違い
    ギャンブルはその瞬間、その一回だけを良くしようという考え方で、今回だけうまくいけばいいというものです。
    変化とは、方針や方向性を変える、修正してみて、うまくいかなければ違うことをやる。これを繰り返すことです。

  • P17、(プロの対局は)どれをしてもプラスになるから迷っているのと違い、どうしてもプラスになる手がないので、その中でよりマイナスの少ない手を選んでいる状態.

    P19、
    <b>勝負で大切なこと
    </b>?恐れないこと. -決断しながら不要なものを捨てていく.
    ?客観的な視点を持つこと.-将棋の対局中にもお茶を出される時間があり(略)
    (そういう時は),思考をスローダウンさせています。思考のリズムを整えるためにも、
    そうした時間を設けるのがいいでしょう。
    ?相手の立場を考えること.-(将棋は「三手読み」が基本とされるしかし、)「三手くらい、プロなら読むのは簡単ではないか」といっても、実際は難しいのです。
     (略)自分にとってベストの手を指した後で、今度は相手の立場に立ってベストの手を選択する。つまり自分にとって一番不利な手を考えることが困難だからです。

    P24、
    <b>不調も三年つづけば実力</b>
    (不調を脱するために、日々あれこれ試行錯誤しても)結果が出るまでにはタイムラグがあるので、その時期をうまく使って、生活や仕事のサイクルに変化をつけ、停滞しないようにすることです。不調は必要な充電期間なのです。

    P26、
    <b>不調の見分け方 </b>
    周りと歯車がかみあってなり、不協和音があると感じているときは何かが欠けているといえます.

    P29、
    <b>技術以上に、わずかな気持ちが大きな差を生む
    </b>(プロは技術的には差かない)すると、後は生活の比生・バランスをどうするか、時間配分をどうするのか、どのように日々をすごすか、ということが大きく影響するのではないかと、私は考えています。

    P33、
    <b>うまくいかないときは他力思考
    </b>こちらが何をやってもうまくいかないときなどには、相手に局面を委ねて「良い手があったらもう負け、仕方がない」という、パスに近い一手を指すことでもあります。これに
    は勇気や度量を要します。

    P34、
    <b>速い球は力で打ち返さない</b>
    将棋では、自分からは大きく動かないほうが良い局面が少なくありません。(略)
    これは武道にも通じるところがあります。武道でいうところの「問合い」と基本的には
    同じです。
    (略)これが一対一でやる勝負の難しいところで、先に仕掛けたほうが逆手にどう
    れてしまう。カウンターでやられてしまうのです。だからといって下がるわけにもいき
    ません。

    P37、
    <b>誰だって報われない努力はしたくない、
    </b>(小さな成功を重ねていくと) 「これくらいの努力と時間を費やせば、これくらいの成果
    が得られる」という経験よりを、皮フ感覚として得られるようになっていきます。

    P40、
    <b>「もうひといき」の努力が結果につながる
    </b>さきほど、努力をやめてしまうのは、「それが、いつうまくいくかわからないからだ」を
    書きましたが、「もうダメだ」と思ったときは、結構いいところまできていることが多
    いものです。そこからもうひと頑張りできるかどうかが、明暗を分けます。

    P47、
    <b>ツキや運に一喜一愛しない
    </b>ツキや運というものは、常に変化する、揺れ動くと同時に人を魅了する、魅惑する面が非常に強いものです。だからこそ、ギャンブルや占いは、いつの時代にも非常に流行しています。(略)ツチや運というものは目に見えないものですが、たしかに存在します。

    2013/3/10 16:10
    普段の対局の中で(は).(略)
    ?直感:80通りの手から、カメラのピントをあわせるように2〜3の可能性に絞りこむ
    ?よみ:シュミレーション。自分の選ばなかった選択肢を可能なかぎり検証する。
    ?大局観:俯瞰して全体をみわたす、
    の3つを駆使し、これらをくみあわせながら、次の手を考えています。

    P58、
    <b>大局観では「終わりの局面」をイメージする
    </b>一局の将棋のおわりの場面をイメージするとき、まんはよく大局観を使います。
    「終わりの局面がこうなってくれたらいいな」「こうなるのではないか」という仮?を
    作って、そこにつじつまをあわせていく,調理を合わせていく、というようにです。
    いわば「ハッピーエンド」の状態を想像するのです。
    体力や手を読むかは、若いときの方が上ですが、大局観というのは「いかに読
    まないか」でもあります。省エネで、あまりたくさん考えなくてすみます。

    P62、
    <b>見切りこそ決断
    </b>自分自身の調子を測るバロメーターは、たくさんのことを考えられる、記憶できる(略)
    ということよりもいかに「スパッと迷わず見切って手を選ぶことができるか」に
    なります。

    P70、
    <b>知識や知恵に高めるには自分の頭で考えるしかない
    </b>すべての指し方や戦法を一通り頭に入れておくことも必要です。ただし(略)どの
    差し方や戦法が将来も有効か、それとも見込みがなく、半年後には消えている
    のかを見極めることがもっと重要になります。

    P73、
    <b>羅針盤が効かない状況が感性を磨く
    </b>(昔はプロ棋士の棋譜や情報がなかなか手に入らなかったが)今は、どこに
    いても瞬時に最新の情報が手に入る環境が整っており、一定のところまでは
    短期間でたどりつけるようになりました。いわば(略)高速道路が整備された
    ようなものです。
    しかし、多くの人が高速道路にのるようになると、渋滞がおこり始めます。(略)
    そんな状況を抜け出すには、違ったアプローチをして差別化を図うなければな
    りません。高速道路から降りて、自分で新しい道を 切り拓いていく必要があるので
    す。
    (略)これからの時代に必要なのは、野生、ワイルドです。私から「ワイルド」とか
    「野生」という言葉が出るのは意外かもしれませんが。

    P93、
    <b>気分や体調の浮き沈みがあるのが前提だと考える.
    </b>疲れていると、勝負の勘もすごく冴えたりします。(略)逆に体調が良いときには、あまり勝負の勘が冴えません。研ぎ澄まされていない感じです。ですから勝負ということに関しては、体調と勘のバランスがちょうど良い加減の状態を目指しています。

    P111、
    <b>ミスをしない対局は一年に一回くらい
    </b>(ミスのない対局はめったにない)ですから犯してしまったミスへの対処として、次のようなことが大切です。
    ?ミスをどのように割り切るか、受け止めるかというメンタル的な要素
    ?ミスをしてもそれ以上信を深めない、大きなダメージを被らないようにする
    というリカバリー、フォローのやり方

    P164、<b>
    本質は価値にこそある.</b>
    (対局の)本質は、勝つためというよりは、価値を創るためです。価値を見出すことに非常に意味があり、さらにそれを見てくれた人が、感動した、面白かった、喜んでくれた、というところにまた意義があるのです。

    P184、
    <b>世界は「六次の隔たり」でつながっている
    </b>地球上の全人口にたどりつくには、実は大体六人をたどっていけば、つながるそうです。
    それ(会社のような?のつながり)も非常に大事なのですが.それだけではなく「横の
    つながり」こそが.これからの時代のキーワードになっていくでしょう。
    (略)「横のつながり」とは、つまり所属する組織とは関係のない友人関係や、趣味の世界とのつながり、地域でのつながり、といったものです。

    P191、
    <b>情報や知識は自分で料理してこそ価値がある
    </b>私はこれら(?大な情報や知識)を、料理でいうところの「食材」のようなものだ
    ととうえています。つまり、目の前にたくさんの豊富な食材が提示されているということ
    です。たくさんの種類の食材を元に、自分なりのアイデアや発想の味つけをして、オリジナリティを持たせて料理を作っていく。この食材を使って、いかにたくさんの料理,つまり価値を創るか、です.

    P193、
    <b>才能とモチベーション
    </b>プロとアマチュアの違いを定義するならば.「自分の指したい手を指すのがアマチュア」.相手の指したい手を察知して、それを封じることができるのがプロ」です。

    P19G、
    <b>「成功」とは、自分のやりたいことと周囲の期待が一致すること.
    </b>「成功」とは、日々のくらしの中で.出会った人や所属している組織やグループと、自分とがマッチしていること、ぴったり一致していることだと私は考えます。
    今いる場所や集まりと、自分とが調和するためには、二つのことが必要です。それ
    は、「周りを裏切らないこと」. そして「自分を裏切らないこと」です。
    この二つが一致しているかどうかは、実は目の前に来ている流れに、乗って良いかどうかの判断材料にもなります。自分を裏切っておらず、周りも裏切ってなければ、やりたいことと周囲の期待が一致しているわけですから、そのまま迷うことなく流れにのれます。(略)
     普通は、この二つは一致しません。周りの期待に応えるために自分を裏切ったり、妥協したり、逆に自分 を量くために周りの期待に応えられないといったことは多いでしょう。そのギャップをどううめていくかです。


    <コメント>
     いろいろ感得することがあった本。
     いちばん意外だったのは、「ツキはある」と言っていたところ。人間スパコンみたいなひとで圧倒的なデータで戦局を圧倒しているのかと思ったらそうではなさそうである。

     「知の構想道路化」で均質な知識が豊富に入る今、そこから抜け出すまでには「直感」が必要、としているのも驚いた。
     

  • この人の言うことなら、素直に聞ける、いや、進んで聞きたい。そんな風に思わせる語り口。
    すぐに取り入れられる、結果を出すための法則は、どんな仕事にもあてはまりそうだ。

  • 業界トップの方の考え方はとても参考になります。
    人間的にも素晴らしいと感じました。ぜひ見習います。
    将棋以外にもスポーツや仕事など、あらゆることにも
    通じる内容だと思います。

  • 将棋のことはそこまで詳しくないけれど、勝負という観点から勝ち続けるために実践していることが書かれていて納得感がありました。全部が全部、自分のことに当てはまるわけではありませんが、タイトな世界に身を置く羽生さんならではの視点にいろいろ気づかされました。自分ももっと緊迫感のある状況に身を置かないと駄目かな・・・。

  • 羽生善治氏が、将棋における”結果を出し続けるための秘訣”を綴った一冊。先日発売されたばかりの、梅田望夫氏の「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」に対する”アンサー本”として読むこともでき、非常に興味深い。そのため、大局観と構想力という2点にフォーカスを絞って読んでみた。

    ◆羽生氏が語る、大局観と構想力について
    ・大局観
    羽生氏が語る大局観とは”全体像がどうなっているかを把握するようなイメージ”、”ロジカルな積み重ねの中から育ってくるものだが、因果関係は説明しずらい”、”その人の本質的な性格、考え方がよく反映されるもの”である、とのこと。また、直接的に大局観をあらわしたものではないが、”幾何学的なアプローチとして、その局面を「形としてどうか」という目でみること”、という記述もあり、ここにも大きなヒントが隠されていそうである。
    ・構想力
    一方で、構想力についてはあまり具体的な記述がない。裏を返せば、構想力の本質とは、構想を練りすぎないというところにあるのではないだろうか。構想を練りすぎると、メンタルが”筋書きにない要素”の影響を受けやすくなってしまうからだ。”ツキ”、”プレッシャー”、”ミス”という自分ではコントロールしえない要素を、プロセスとしてあらかじめ織り込んでおくということがポイントのように思える。

    ◆二冊の本を通して見えてきたこと
    将棋の世界においても情報共有がすすみ、”戦法や型をぶつけあう時代”から”人対人がぶつかりあう時代”へと、変化している様子が伺える。その中で、羽生氏の”人としての強さ”を形成しているのは、以下の二点ではないだろうか。

    ・露出コントロールのうまさ
    羽生氏自身、情報共有の重要性を説く一方で、「調理の根幹は一人でやります」とも述べている。おそらくオープンにする情報とクローズドにする情報との線引きに、相当長けているのではないだろうか。情報共有する際に、「あの羽生氏がここまでオープンにしているのだから」と印象付け、他の棋士があらぬボロを出した瞬間、そこに見える人間の本質を、しっかりと捕まえているものと推測される。
    ・横のつながりからのフィードバック
    羽生氏は将棋界の第一人者として、他のジャンルの第一人者と交流する機会も多い。その横のつながりから享受したものを抽象化し、将棋の戦いにフィードバックしている様子が伺える。

    最後に、同じタイミングで将棋をテーマとする本を出した羽生氏と梅田氏だが、本当に幸せな関係だなと思う。将棋の世界を、深める羽生善治、広める梅田望夫。二人のつながりも、結果を出し続けている。

  • 天才と呼ばれる羽生さんの生活習慣や思考方法を知ることができて参考になった。

    中でも、1年で行う約70の対局のうちミスがない試合は1年に1回か2年に1回だということを聞いて衝撃だった。
    そう思うと自分が失敗にいちいちクヨクヨしているのは勿体無いので、次に繋げられるように意識を切り替えようと思った。

    あと、意識をしておきたいことを備忘録としてメモしておく
    ・勝負のコツは3つ。恐れない、客観的な視点を持つ、相手の立場を想像する
    ・行動する前に全体を見直す
    ・不利になってもギャンブルはしない
    ・才能とは続けること
    ・大局観は終わりをイメージする

  • 将棋の棋士羽生善治氏の日々の考え方、そして結果を出し続けるために行っている習慣などが将棋をやらない自分からしても勉強になった。

  • 精神論と生き方の話。
    たまには読みたい羽生さんの考え。
    勝負の際の考え方として参考にしたいところ。
    データと直感の揺らし方が参考になった。
    いろんな意味での客観的な体調を把握して直感を選択できる大局観の構えのバランスなんだろう。

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著者プロフィール

1970年9月27日、埼玉県所沢市生まれ。1982年、関東奨励会に6級で入会。1985年12月、プロ四段に。1989年、19歳で竜王獲得。これが初タイトルとなる。以降、数々のタイトルを獲得。1996年には、当時の七大タイトル(竜王・名人・棋聖・王位・王座・棋王・王将)全冠独占の快挙を成し遂げる。2017年に、八大タイトル戦のうち永世称号の制度を設けている7タイトル戦すべてで資格を得る、史上初の「永世七冠」を達成した。タイトル獲得は通算99期、棋戦優勝45 回(ともに2022 年6月時点)。主な表彰として、2007 年特別将棋栄誉賞(通算1000 勝達成)、2018 年国民栄誉賞、同年紫綬褒章。さらに2022年、史上初の通算1500勝を達成し、特別将棋栄誉敢闘賞を受賞。将棋大賞は最優秀棋士賞など多数受賞。

「2022年 『改訂版 羽生善治のこども将棋入門 中盤の戦い方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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