価格の心理学

  • 日本実業出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534050427

作品紹介・あらすじ

■「つい、買ってしまった! 」
高くてもお客が満足する値段の秘訣

感想・レビュー・書評

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  • 価格決定の仕組みは、経済学の需要と供給との頭があるが、本書では、行動経済学と心理学で価格はきまる。
    バイアスの効果を含めて、価格とは、複雑なロジックや感情を含めて決めらえていくのである。

    価格設定の7原則
     ①価格は、企業側の費用ではなく、顧客によっての価値を基準に設定する
     ②価格は、顧客が何に対してどれだけ支払うのは、はっきりわかるようにする
     ③価格は、企業が調整できる条件ごとに比較できるようにする
     ④価格を変更するときは、商品やサービスの再構築が必要である
     ⑤価格の差別化は、利益を大きく左右する
     ⑥価格から伝わるメッセージによって、顧客の価値認識は変化する
     ⑦利益を拡大するためには、売上の低下も覚悟しなければならない

    ・一般的に価格の基準にしやすいのは、新商品と最も類似しているものであり、通常は複数候補が存在する。そのため売り側は、できるだけ商品と類似しているように仕向けて、宋低価格を操作できる。
    ・購入理由ごとに競合相手が異なり、顧客がそれぞれのニーズを満たすための選択肢も複数ある。
    ・競合相手が変われば価格領域も違う。従って、競合相手とそれにあわせたポジショニング次第では、全く異なる価格設定ができる。

    ・顧客の心理を聞き出して、本当に求めているものを探ること。そのためには、単に金額を聞くより、顧客がどんな商品を選ぶかを理解すること
    ・「アンカリング効果」:最初に見た数値や情報が印象に残り、それが基準点「アンカー」となって、その後の判断が左右される心理現象

    ・商品の独自性が強ければ、高額な金額を支払ってくれるセグメントをメインターゲットにするべき
    ・298円など、端数価格は、効果的だと実証されている。ただし、顧客が複数の自社製品から選択する場合は、端数価格がついた低価格商品に誘引されてしまう可能性が高く、逆効果になりやすい
    ・今日の価格と、先週の価格の比較は、今日と先週の商品に対する主観的判断の比較よりずっと簡単である
    ・価格に変化をつければ、顧客には標準価格の記憶が残りにくい
    ・可能であれば、変更前の価格、サイズ、商品特性に戻せるようにしておく
    ・一般的には、インフレ率が2~5%の国は、ゼロあるいは2ケタ台の国にくらべて柔軟な対応が可能なので、好況な事例が多い。

    ・具体的な価格に関係なく、最初に見た基準価格が指標となってしまうため、安すぎると不安になり、高額なものは特別なときに楽しむようになる
    ・アンカリングとは、「第一印象」の効果を利用した価格戦略である
    ・他社製品との差別化を図り、単純比較できないようにする。そのためには、独自の商品特性を付加すればいい
    ・圧倒的なマーケットシェアの確保を目指す場合は、顧客が自社製品と競合製品を比較する複雑な手間を減らせばいい。
    ・心理的に有効なものは、既存需要に便乗する戦略である

    ・非対称の優位性:A,Bがあり、一方が価格、他方が品質というように別の点で優位性があるときに必ず起こる
    Bより間違いなく劣っているCをみせると、顧客はAよりBを選ぶ確率が高くなる。
    しかも、Cを投入する一番簡単な方法は、価格を高く設定すること

    ・ゴルデイロックス効果:選択肢が3つあると本格的な価格に関係なく、中間の選択肢に強くひきつけられる

    ・毎月の携帯電話の請求のように、わずかな金額の変化があまり気にならないものと支払いを一緒にしてしまえば、その抵抗感はなくなる

    ・仲間(ピア)効果:過去に経験のない状況や、どのように行動するべきかわからないとき、似たような立場の人たちと同じように行動する傾向が強くなる

    ・Xに興味を持っている人は、Yを購入しているとすすめられると、価格を推薦の指標にしているかどうかにかかわらず関心を持ってしまう。

    ・同じ商品であっても、保有したことがない、あるいは振れたことのないものよりも、保有している者を高く評価する傾向が実証されている

    ・固定費が多く、変動費が少なければ、パッケージ価格は、個別サービスよりも安くすべき。
    費用のほとんどが、変動費の場合、商品1個あたりのマージンを増やすために、パッケージ商品を作り、価格も高く設定したほうがいい

    ・コンサルティング業務で1日あたりの報酬制度が好まれる理由
     ①コンサルタント側のリスク軽減、1日ごとに報酬がもらえるから
     ②コンサルティングはオーダーメードの部分があるので、クライアント側の価値を反映した汎用性の高い価格モデルを作りにくい
     ③クライアントの関心が、価格でなく「適正な取引」をしているかどうかになる

    ・自分のお金よりも会社のお金のほうが費用対効果を考えて、合理的な判断ができる
    ・商品の「サービスへの転換」
    ・保有効果:心理的な保有効果、一度手にしたものは、高く評価する
    ・損失回避:すでに持っているものを手放す苦痛は、同じものを手に入れる喜びより大きい

    すべての顧客が自分にできるだけ有利な取引条件を求めていることを意識しておこう。キャンペーンや値引きなども最大限利用しようとする。
    ただし、どんな要求にも対応しなければならないわけではない。顧客を欺いたり、誤解を与えたりしてはならないが、寛大すぎる必要もない。

    もくじ

    謝辞
    はじめに
    第1章 ポジショニングと価格設定
    第2章 原価に基づく試算
    第3章 顧客心理の読み方
    第4章 マーケットのセグメンテーション
    第5章 バイアスとの戦いと公平さの追求
    第6章 記憶と期待
    第7章 アンカリング効果
    第8章 マーケットでの競争戦略
    第9章 おとり戦略
    第10章 代金の後払い
    第11章 ティーパーテイー効果
    第12章 バンドリングの技法
    第13章 無料(フリー)の効用
    第14章 アップセリング
    第15章 提携販売とバリュープライシング
    第16章 他人のお金
    第17章 価格設定の環境整備
    第18章 「あげる」心理学
    第19章 価格設定と倫理
    おわりに
    補足資料A 価格の適正診断
    補足資料B 心理学と認知の理論
    参考文献と引用資料

    ISBN:9784534050427
    出版社:日本実業出版社
    判型:4-6
    ページ数:304ページ
    定価:1600円(本体)
    発売日:2013年05月10日第5刷

  • これ、詐欺か何かの商法?と思えてくるくらい、価格の違いやサービス付与によって心理的効果が働き、これなら買っていいだろうと思えてくる。アンカリングやサンクコスト、無料の効用など、他でもよく見る効果なのに使い方でそれを感じさせない方法があるのか。まぁ、わたしもよく了承してきた記憶がある。。
    307冊目読了。

  • SaaSビジネスをやっていると避けては通れないのがプライシングの問題。
    特に価格の改定。ARPUの向上は成長を左右する問題だし、プロダクトが進化すれば当然顧客のベネフィットも変わるわけで。この辺りを都度考え抜いていかないとなと思わされる良書。

    以下備忘
    価格設定の7原則
    ①価格は、企業側の費用ではなく、顧客にとっての価値を基準に設定する
    ②価格は、顧客が何に対してどれだけ支払うのか、はっきりわかるのうにする
    ③価格は、企業が調整できる条件ごとに比較できるようにする
    ④価格を変更するときは、商品やサービスの再構築が必要である
    ⑤価格の差別化は、利益を大きく左右する
    ⑥価格から伝わるメッセージによって、顧客の価値認識は変化する
    ⑦利益を拡大するためには、売上の低下も覚悟しなければならない


    ベネフィットマトリクス
    苦しさ⇆楽しさ
    時間⇆金銭

    商品群ではなく、ベネフィット群で考える。
    そのうち最も高額な競合相手を選び、高価格を設定できるように絞り込んだ価値=最重点価値


    費用面の試算は最低販売数量/価格を知るために重要だが、費用面から価格を決めてはならない

    p92
    どれだけ正当な値上げであっても売り上げには悪影響を及ぼす。
    有効な対策は、商品に修正を加え、単純に価格の新旧比較ができないようにすることである。それを意思決定のリフレーミングと呼ぶ。(枠組みの変更)

    p179
    バンドリング化→満足化(満足と充足化)


    p207
    アップセリングは一挙両得の手段である。売り手側は、それとなく価格の差別化を進められ、買い手側も商品特性をうまく選択して、望み通りの商品に変えられる。



    p214
    自社製品がどこにでもある商品として認識されることは、どうしても避けなければならない。


  • マーケティングの肝となる「価格」について心理学も混ぜた分析は面白い。

  • 行動経済学の類書と比較して特に目新しさはないが、ストーリー仕立てで平易なので背中を押され、やってみようかなという気になる。
    そうしてみると「当たり前」をかなりやっていないことに気付く。

  • 商品開発における価格戦略について、
    「購買心理学」と「行動経済学」をもとに
    そのノウハウが説明されている一冊

    架空企業が如何にして
    新商品を売り出していくのかの物語と並行して、
    その過程で用いられた様々な技法が
    解説されているから読みやすい◎

  • 結構ためになった本です。

  • 読みにくい印象でした。
    大全的なものなので様々な形態があるということですが噛み砕いて読みきれなかった…。
    冒頭のストーリーと交互である分、私には余計に入ってきませんでした。

  • 比較対象の少ないものの価格を決める参考になった。商品の価格を決めることで、商品そのものの印象が大きく変わるので、価格は慎重に決めるべき。

  • 内容は相応にリッチで、個人的にニューだと感じた話も数多あったが、全体感が感じられず、要素の羅列にも思えてしまった。もう少し体系だった話を読みたかった印象。

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