「無知」の技法NotKnowing

  • 日本実業出版社
3.85
  • (23)
  • (33)
  • (16)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 536
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534053299

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なんとも、不思議な本でした。この本を読むことは、知らないことと向き合う旅。「知らない」ということに敬意を払い、受け容れる。不確実な世界を生き抜くための思考変革と銘打っています。

    ・自分が確信をもてないときほど、人は責任者への依存傾向を強める
    ・世界はVUCA(変動的、不確実、複雑、曖昧)になる一方だ
    ・世界はほぼ常に理解不可能なものだ、と認めるべきだ
    ・ほとんど未知の領域の地図にしても、それは、まったく地図を持たずに踏み込みのと大差はない
    ・人は「よくわからない」という状況を避けようとする
    ・知らないという領域に立たされると「足場をなくす」、知らないのは怖いことだ
    ・ソクラテスの無知の知、私は私が無知であると知っている
    ・専門家は知っていること、先入観で物事をまっすぐみることができない、無知であれば、ありのままをそのまま見ることができる
    ・たとえ未来がはっきりしなくても、リーダーは大胆に意思決定しなければならない
    ・知りたいこと、わからないことはたくさんありましたが、そのままにしました。何が必要とされているのか、この先何が必要となってくるのか、わからないですから。

    構成は以下です。

    序文
    はじめに

    PART1 「知識」の危険性
     CHAPTER1 「知っている」はいいことか?
     CHAPTER2 専門家とリーダへの依存
     CHAPTER3 「未知のもの」の急成長

    PART2 境界
     CHAPTER4 既知と未知の境界
     CHAPTER5 暗闇が照らすもの
     
    PART3 「ない」を受容する能力
     CHAPTER6 カップをからっぽにする
     CHAPTER7 見るために目を閉じる
     CHAPTER8 闇に飛び込む
     CHAPTER9 「未知のもの」を楽しむ

    APPENDIX 歩くことよって作られる道
     1 「問い」とともに生きる
     2 実験

    謝辞
    引用文献

  • 「知らないこと」を受け入れることの大切さを、延々と述べている本です。

    私たちは「知らないこと」を心地よく思わない

    誰か「知っている人」に依存する

    しかし、知っていると思われている人は、実は、知らない

    よって、誤った方向に、物事が進んでいく

    例えば、リーマンショックは…
    少数の専門家に対する一般人の過信が問題となりました。
    そもそも、不合理に動く人間の動向を完全に予測できる人などいません。
    しかし、勘よりはましと、専門家にに大金を預けた結果、水の泡に…
    では、私たちは、「知らない」ということをどのように考えればよいのでしょうか。
    「自分の知識がどこまでおよぶか」と考えるから、
    私たちは、知らないことが恐怖だし、
    いくらやってもたどりつけない虚無感に襲われる…。
    「余白は何かが「ない」のではなく、空間が「ある」」と考えるのだそうです。
    「「知らない」を「ない」でとらえるのをやめ、そこには機会と可能性が「ある」
    ととらえなければならない」とのこと。
    そうすれば、知らないことの恐怖から解放され、
    知らないことは、他者に任せるのではなく、
    知らないという空白を、自分のやり方で、埋めてみる
    そして、それを自分の意見として、知っている者にぶつけてみるという行動につながるといいます。
    フェラーリーを修理するなら、専門家に任るべきだが、
    今、私たちが対峙している問題は、地図のない熱帯雨林をさまよっているようなもの、
    そこに専門家は、そもそも存在しないのだから、
    自分の頭で考えろ、とのこと。
    近年読んだ本の中で、私に、パラダイムシフトを生じさせた本でした。

  • 読書家の友人が取り上げていて面白そうだったので、手にした一冊。
    題名にある「無知(not knowing)」というのは、知識がない無知無能のことではない。本来、物事について知れば知るほど知識が深まり、わかりやすく説明できるはずなのだが、実際には知れば知るほど「知らない」状態に対する理解が薄まり、わかりやすい説明などできなくなる。これは既存の知識に縛られてしまったことがその要因なのだが、縛られない状態を、本書では「無知」と定義付けている。上司や専門家に対して疑問を持たずに依存してしまうのも、同様に縛られた状態とされ、その危険から脱するために「無知」をいかに活用するかを解説している。
    この「無知」の活用の起点は、自分が「知らない」ことを認めることなのだが、本書の中でも指摘されている通り、実社会においてはここがもっとも難しいところだろう。ワタシも組織の人間になってかなりの年数になるが、「知っているべき」という周囲からのプレッシャーだけでなく、「知らないことは恥ずかしい」という自分自身に対するプレッシャーもある。そして、実は後者のプレッシャーの方が大きく、扱いが厄介なのだ。
    これらといかに向き合い、自分を解放するか。そのための数々のヒントが本書には散りばめられている。自身に言い聞かせる意味も込めて、その基本的スタンスをここに抜粋しよう。
    『「知らない」を「ない」でとらえるのをやめ、そこには機会と可能性が「ある」ととらえなければならない。その場所こそ、新しい知と出会える場所なのだ。』

    ところで、本書の目次を眺めた際に、「ジョブズのメッセージ」とあったのを見て、きっと「ハングリーであれ。愚かであれ。」が引用されているのだろうと思ったら、やはりその通り。そして、いつもの通り、ワタシはこれをアントニオ猪木の「馬鹿になれ。とことん馬鹿になれ。」に置き換えて読んだ。

  • 「既存の知識に縛られすぎず自分の能力と本能をもとに先へ進んだ方が良いですよ」「特定の知識の延長線上で考えている限り、自由に発想するソリューションは生まれませんよ」みたいな感じの事が書いてある本。

    「知とは球体である。大きくなればなるほど、未知との接線も伸びる。」
    「余白は何かが「無い」のではなく、空間が「ある」のだ。」
    「知識が「ある」とみなすことの問題点は、その視点が往々にして、知識が「無い」事にひそむ機会を閉め出す点だ。」
    「シンプルに説明出来ないなら理解していないということだ」
    「私に特別な才能は無い。ただ好奇心が強いだけだ。」

    などなど、心に残るフレーズもたくさん紹介されていました。これからも日々、新しい事に挑戦していきたいと思える一冊でした♪

  • 最近の神経科学によると、人間の脳が最適な機能を果たすためには確信が必要

    人は知識を与えられると、知識がないというのがどういうことか、想像できなくなる

    何世代も受け継がれてきたからという理由だけで、伝統を信じてはならない 仏陀

    ただリラックスして、本能的・身体的な反応に身をゆだねているときに、創造力や対応力の真価が発揮される

    人生が自分をどこへ連れていくかわからないというのは、胸が躍ることでもある

    観察してみようという気持ちがあれば、世界は本当にたくさんのものを見せてくれます

  • 無知であること、知りたいと渇望すること。
    知ることの楽しみを突き詰めていくと、新しい世界が開くことをいろんな題材を交えながら書かれている。
    今までの思考とアプローチが違って新鮮

  • 僕が選ぶ本で結局集約してたどり着くのは禅のようです。

  • 未知の領域への向かい方が示されていて、読むと少しすっきりする。先人の事例を手掛かりに記載されているので、実感が伴う。良い本だと思う。こういう本は、日本人には書けないような気がしている。

  • 2015年99冊目。

    「『知らない』と向き合う」という、非常に重要なテーマを扱った本。
    起業家、芸術家、冒険家...様々な分野に生きる人たちが、未知と向き合うことでいかに力を得て、逆に向き合わないことでいかに失敗してきたか。
    「知らない」という状態にとどまったり飛び込んだりするのは怖い。
    しかし、「知っている」ことにしがみつくことで失う視野や機会も多い。
    20世紀中の進歩を、現在はたった14年で進めてしまうそう。
    それだけのスピードで変化する世界で生きるには、未知と建設的に付き合わずにはやっていけないだろう。
    「知らない」に出会った時に、自分がどんな拒絶反応を起こしてしまうかを言語化して振り返れたことがとても大きかった。
    ところどことに挟まれている名言や絵も非常に刺激的なものばかり。

  • 自分の視野を広げることができた。

全38件中 1 - 10件を表示

スティーブン・デスーザの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ダニエル・ゴール...
J・モーティマー...
ジェームス W....
マシュー・サイド
リチャード P....
トマ・ピケティ
ベン・パー
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×