〈新版〉本当にわかる為替相場

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  • 日本実業出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534054579

感想・レビュー・書評

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  • 今話題になっている尾河眞樹著「最新版 為替相場」の一つ古い版。横須賀図書館には(新版)しかなかったので、とりあえず読んでみた。為替に関し確かに普遍的な理論はあるのだが、本書は歴史的な実際の出来事に即して話が進んでいるため、コロナ禍やウクライナ戦争など最近6年間の欠落は大きいと思った。最新版を読んでみたい。

    「2016年4月に発表された国際決済銀行(BIS)のレポートによると、世界の1日の為替取引量(平均)は、5.1兆ドル。このうち非金融法人(たとえば、輸出企業や輸入企業、商社など)と通貨当局、個人などによる為替取引の合計は、全体のたった7%」p39
    「(1992年ポンド危機)ジョージ・ソロス氏が当時、英国の景気が悪化しているにもかかわらずポンドは過大評価されているとみて、ポンド売りを仕掛けたのです。
    これに対し、英国の中央銀行であるイングランド銀行は、為替介入でポンドを買い支え、ソロス対イングランド銀行の激しい戦いが繰り広げられましたが、結局、イングランド銀行はポンドの下落を支えきれず、通貨ユーロの前身である欧州為替相場メカニズム(ERM)を脱退せざるを得なくなりました」p46
    「バブル全盛期に世界中で積極投資を行い、「ザ・セイホ」として名を馳せた日本の生命保険会社ですが、現在も約300兆円の資金を運用しています。その外債投資は為替相場に大きな影響を与えるという連想から、年2回発表される運用計画は、いまも市場関係者の注目を集めています」p51
    「「ミセス・ワタナベ」は日本の個人投資家を表す言葉として、国際的に通用しています。これだけ注目されるほど、日本の個人投資家の為替取引は急拡大しているのです」p60
    「何といっても最も注目度が高いのは、FOMCの金融政策発表と、FOMC後のFRB議長による記者会見です。FOMCは2月、5月、8月、11月を除く、年8回開催されていますが、記者会見はそのうち4回(3月、6月、9月、12月)行われます。FOMCは、原則火曜日・水曜日の2日にわたり開催され、2日目の現地時間の午後に政策発表が行われます」p84
    「経常黒字国は海外から稼いだ外貨を国内に戻す際に自国通貨買いが起こるため、基本的に通貨高圧力にさらされます」p97
    「物価が安い国の通貨は買われやすく、為替レートは長期的には、2国間で同じモノの価格が同じになるようなレートに収斂していくという理論です」p97
    「一般的に金利が低い通貨から、高い通貨に投資マネーは向かうため、金利が高い通貨のほうが相対的に強くなりやすい傾向がみられます」p98
    「「○○になるのはおかしい!」「マーケットが間違っている!」という考えは、捨てるべきです。マーケットは決して間違っていません。経済指標の好転を上回る為替の変動要因を読み切れなかった自分の相場観が間違っていた、というように受け止めるべきなのです」p113
    「為替アナリストたちも自分のロジックに自信をもって予想はしているものの、相場の難しさを知っているだけに、違う意見の人のロジックにも耳を傾けるのです。そうすると、やはり自分の意見のほうがしっくりくると思う時もあれば、いまひとつ自分のロジックで詰めが不十分な点があったと感じることもあるなど、色々な確認ができるのです」p145
    「(米大統領選)選挙前はドル安・円高となる傾向がみられる(国内向けのメッセージを強く打ち出すようになり、保守主義的な発言が目立つようになるから)。大統領選後は新政権の政策に対する期待から、どちらかといえばドル高が進行しやすいのです」p149
    「米ドル前はイギリスポンドが世界の基軸通貨でした。19世紀半ば以降は、英国が金融市場の中心地として役割を果たしていたのです」p188
    「(ギリシア危機)ユーロという単一通貨に縛られていることで、ギリシア自体も通貨下落のメリットを享受することができず、根本的な景気回復や構造改革がかえって遅れてしまう」p197
    「(国際金融のトリレンマ)①自由な資本移動、②通貨の固定相場制、③独立した金融政策、の3つを同時に実現できない」p215

  • なんとなくわかった気になったけど、実は何もわかってないと思う。だ~いたいの空気感だけ触った感じで、実際の取引について教えてくれる本ではない。といっても読み方の問題で、教科書のように使ってひとつひとつ勉強するにはいい本かも。

  • 最近Fxで小銭動かして遊んでいるので手にとってみた.

    タイトル通り,専門用語が多くて結構読み飛ばしてしまう.

    しかし,よくある「XX円を稼ぐ!」とかいうFX本のような.安易なチャートの読み方や精神論ではなく,為替とは何か,各国通貨の性質やそれらの関連性,為替相場に大きく影響した過去の史実の紹介はとても実のある内容だと思う


    為替の未来を予測することは不可能だが,チャートを見て生じる(ファストアンドスローで言う)ファストの動きは多くのプレイヤーと同じだろう と言う信念のもと言語化できない判断をしているがなぜかうまくいっている.これを突き止めたかった.

    また下手にチャートの読み方や指数を見たトレード手法をインプットすることはタレ部のいう浅はかな合理化”.”自分が分かっている以上に分かっていると思いこむこと”すなわちブラックスワンに繋がるんじゃないかとこれらを知ることを放棄していたが多くの人がこれらの情報をもとにゲームに参加しているということをメタに捉えるのは無駄ではないのではと感じた.

    為替相場の取引は究極のメタゲームでありそう言う意味でチャートなり指数なりを参照するというのはどうメタゲームを制すかというところに行くつくのだろうか.

  • 一般人向けというよりは、銀行内部の新担当者向けくらい細やかな内容で、理解するにもそれなりの土台がないとしんどいように思う。
    それでも必要な知識をわかりやすく説明してくれるのでありがたい。

    今後専門的なことは銀行に任せればいいが、その上で自分がどのような判断をし相場観を持つか非常に参考になる一冊でした。

  • 為替マーケットの概観をまとめた本。旧版よりも少し内容は厚くなっている。たまに読み返すにはいいかも。特に、相場予測の立て方、経済統計、テクニカル分析については、時間を置いて何度も読み返したい。

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著者プロフィール

ソニーフィナンシャルホールディングス執行役員兼金融市場調査部長。為替アナリスト。
ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン証券などの為替ディーラーを
経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。
その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で
個人金融部門の投資調査企画部長として、
金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。
2016年8月より現職。
テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、
金融市場の解説を行っている。
著書に『為替がわかればビジネスが変わる』『〈新版〉本当にわかる為替相場』
『ビジネスパーソンなら知っておきたい仮想通貨の本当のところ』などがある。

「2019年 『富裕層に学ぶ外貨建て投資』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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