フードセキュリティ: コメづくりが日本を救う!

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  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535555945

感想・レビュー・書評

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  • 食料偽装問題、低自給率など、日本が抱える食糧問題の現状を解説しつつ、将来的な方向性を示唆する本。

    国内の食品偽装問題、海外からの農薬汚染冷凍食品。 我々を取り巻く食糧事情は良いとは言えない。 そもそも自給率が低く国民を養うだけの農作物が無い以上、海外から輸入するしかない。 自分が幼少のころから減反、減反と言っていたが何故なのか? 本書では現在を語るために、これまでの日本の農業の歴史も細かく記載している。 過去において時代にそぐう手法が、現代に大きな痛手を与えていることが分かる。

    日本の農業を変革させるためには法制上の問題あり、生産コストの問題あり、まだまだ道のりは遠いが、いずれにしても今その一歩を踏み出さないことには未来は開けないことは強く実感した。

  •  会社の同僚に勧められ、会社の近くの図書館で借りて読み始めたが、仕事が忙しくて(言い訳だろう!)読破するのに1ヶ月以上を要してしまった。

     書かれている内容を、実におおざっぱに要約すると、減反制度をやめ、お米の価格は世界的な市場経済にゆだね、生産農家が成り立たない分については、有用な農家(ここでは専業農家)についてのみ直接支払いを行い、経営を保証することで、お米の販売価格が下がり、世界とも渡り合える環境が整い、日本の消費者も安いお米が購入できる環境が整い、さらには農産物に対する補償ではないので海外輸出もできるため、すべてが丸く収まるということである。

     確かに、ここのところ読む本には、兼業農家の怠慢というか、引くに引けない事情が、JA、農協の複雑な状況を生み出し、減反制度、そしてそれに対する補助金をつくり、それに巣くう議員を生み出しているということが書かれてある。かなりの面で、ごもっともであろう。

     ヨーロッパがすべてのお手本でとは言わないまでも、民主主義、資本主義を取り入れたのであれば、アメリカを見習うのではなく、その先の歴史を歩んでいるヨーロッパをみていく必要があるのだろう。

     この春、農水省を自主退職した、著者 山下さんの今後の活動に興味津々である。

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著者プロフィール

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
1977 年東京大学法学部卒業。ミシガン大学行政学修士、同大学応用経済学修士。博士(農学)。農林水産省ガット室長、地域振興課長、農村振興局次長などを経て、2008年より独立行政法人経済産業研究所上席研究員、2010年よりキヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
主な著書に、『国民と消費者重視の農政改革 ―― WTO・FTA時代を生き抜く農業戦略』(東洋経済新報社、2004年)、『食の安全と貿易 ―― WTO・SPS協定の法と経済分析』(編著、日本評論社、2008年)、『環境と貿易 ―― WTOと多国間環境協定の法と経済学』(日本評論社、2011年)、『日本農業は世界に勝てる』(日本経済新聞出版社、2015年)など。

「2016年 『経済政策論 日本と世界が直面する諸課題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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