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この作品からのみんなの引用
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今、リスク評価とそれに基づく対策立案と説明が非常に重要になってきているのは、以前に比べリスクが大きくなっているからではない。むしろ、小さなリスクに皆の関心が集まり始めているからである。かつては、危険とは誰の目にも被害がわかることであったが、今、われわれがリスクとして扱っているものは、かつては見のがされてきたが、新しい分析技術や予測技術で推定される、確率的な事象である。
― 183ページ -
リスク評価は予測だからいつまでたっても真に正確にはならない。その時点でできる最高のことをするしかないのである。その意味でリスク評価は不可能とか正確でないという批判は何の意味もない。なぜなら、リスク評価ができなければ、もっといい加減にその時の気分で為政者が適当に判断することになるからである。今までの日本の行政はそれだったのである。リスク評価のもう一つのいい点は、その評価の方法が誰にもわかることである。
― 164ページ -
では、疑わしいものがあるとき、どうすればいいのか?「禁止する」と「何もしない」という二分法的な考え方では、これからの環境問題には対処できない。その中間の道を選ぶべきだというのが、私の考えである。その中間の道とは、リスク評価をし、リスクの大きさとその物質を禁止したときの別のリスクの大きさを比較しながら対策を立てることである。
― 163ページ
みんなの感想・レビュー・書評
"私は、最初の勝負は数値の確かさだ、そこで生き残れるか否かが決まる、ということをこの経験で知りました。そして以後、データの正確さについては非常に神経質になりました。" "ファクト(事実)へのこだわり、これが私の三十五年に及ぶ大学での研究生活を支えた背骨のようなものです。それはたぶん、言葉への不信感、言葉の無力さ、思想というものへの強い不信感か来ていると... 続きを読む »
昨今特に目にする機会が増えた”リスク”という言葉。自分もなんとなく理解したつもりで使っているが、そもそもどういう意味を表す言葉なのだろうと思い、リスク学の分野で名著と言われている本書を手に取った。
2004年出版の本であるためデータとしてはやや古いものの、身近に存在するリスクの例を挙げ、どのようにしてリスク評価を行うのかという具体例を示している。ここで挙げられているのは主に環境リスクだが、ビジネスにも応用できる考え方だと感じた。
著者のHPによると、現在放射性物質のリスクに関する著作を準備中のようだ。出版が実現すればぜひそちらも読んでみたいと思う。
図書館にて。
なるほど。 池田信夫さんもブログで何度も言っていた。ハザードとリスクは違う。 リスク=ハザード×頻度 さらに、政治問題として環境改善を議論し行動する場合には、リスクの大きさよりもリスク削減のコストをいかに評価するかが重要だとする。そうだろう。本当の実務者として悩んできた人の言葉だろう。 苛性ソーダの水銀法からの転換費用は、一件の知覚障害の患者をなくすために32.8億円だと。これだけ... 続きを読む »
環境問題等に対して、「リスク」という観点をもって臨み、 リスクの削減とコストのバランスを図ろうという考え方は、 しごくまっとうなものだなと感じた。 ダム建設と水害リスクなどでも、最近はこうした評価が行われたりしている。 この本を読んだ後でも、原発事故後のある種の食品に対する、 個々人の反応がヒステリックなものだとは個人的には思いません。 (テレビや新聞でどうようの反応を煽っても... 続きを読む »
友人に進められて読んだ。ナカナカ興味深い内容であった。
1970年代当時、工場排水は自治体で処理するのが普通であった
人間は1人の生死が問題、生物は種の絶滅をリスク評価
時と場所を得た人が知りえた事実を明らかにする
思想の違いを超えて認めることの出来る「事実」が大事
米国では高リスクの仕事は給料が高い、日本はこの傾向がはっきり出ない
住民運動(市民運動)は粉砕するだけではダメ、自分たちの安全を守るためへの「提案」が必要
リスク予測を自分たちの責任で行う
1970年代半ばまで使われていた水田除草剤の不純物がいまだ(1998年ころかな?)に東京湾の底質に残っている
リスク論;リスクの大きさを比較して小さい方を選ぶ。リスク回避にはお金がかかる。つまりリスクマネージメント(リスク管理)が必要になる。
中西準子さんが、「環境リスク学」という新たな学問分野を開拓するまでの過程と、その学問分野についての解説が書かれた本。 私たちの日常生活の中には様々なリスクが潜んでいるが、それらを直接的に認識する機会は少ない。また、そのようなリスクはマスメディアを通して伝えられることが多く、私たちは科学的な裏付け無しにそのリスクを過大、あるいは過小評価してしまいがちである(最近では地球温暖化問題等)。リスクの... 続きを読む »
環境が与える目に見えない影響の大きさや性質を、目に見える形にする「環境リスク評価」で話題になった本。
人からおススメされて読んだが、いったいなぜ名著なのか…。
根っからの文系人間の自分には全然読みやすくなく、
論調も、人から何を言われようと自分はこうやって地道に頑張って成果出しました、のような、
「人と違って自分がすごい」という姿勢が見え隠れし、イラッとしてしまった。
学問的価値は素晴らしいのかもしれないが、全くの素人の自分には全然ダメな一冊でした。
リスクの実態がはっきりしない段階で、リスクとそのリスクに対処するリスクとを比較して、どうすれば一番適切なのか考えなくてはいけない、という提起は説得力あり。やたらと危機を煽るメディアも、とにかく全面的に禁止すればいいという当局も、どっちも正しい態度ではない。
環境問題に、「リスク」の概念を導入して、社会不安をいたずらに煽ることなく、注目されていない重大なリスクを見逃すことなく、バランスの取れた対処ができるよう研究を続けてきた著者の手による良書。
内容は、ダイオキシン、環境ホルモン、BSEなど、最近日本で社会不安を招いたもの。
研究者らしく、データや調査方法を明示し冷静に解説してあるので、マスコミに踊らされてしまった人が読んでも抵抗なく受け入れられるはず。
不安だらけの世の中で生きていくために、ぜひ一度読んでおきたい本。
健康、安全に迷わず飛びつき、危険と聞くとよく見もせずに放り出すのはやめた方がいいんじゃないか。何だって、良い部分もあれば悪い部分もある。そろそろそんな当たり前のバランス感覚に生きる術を僕らは学ぶべきじゃないだろうか。
万人必読。不安を煽る「環境屋」に惑わされないために。(正解とは限らないにしても)合理的な判断をするために。専門家に任せず、自分で決めるために。
現代社会に生きるすべての人が読む価値がある本である。
著者は環境分野におけるリスク論を牽引してきた第一人者。第一章は、今春、横浜国大を退官する際の最終講義模様の再録。孤立にも圧力にも負けず、前人のいない世界を切り開いてきた学者の姿がここにはある。淡々とした記述だが感動を覚える。第二章は、リスク論の基礎的Q&A。第三章以下はBSEや環境ホルモンなどを具体的な素材を掲げながらリスク論の思考方法について解く。個々の問題に対する評価については必ずしも著者に賛同しない方もいるかもしれない。しかし、ここで重要なのは、リスク論の本質をなす思考方式を理解することである。建設的な議論と自立した判断を行なうための基盤となる有力なツールがリスク論である。高邁な思想と高度内容を誰にも理解できる平易な表現で説いている。強く勧めたい。

普通の大学の研究は,社会との兼合いがそれほど強いものではない.でも,中西先生がやっているような環境,それも社会や人間に及ぼすリスクを考える,というテーマは,社会の短期的な損得に思いっきりぶつかる話であ...





