真実を聞いてくれ: 俺は劣化ウランを見てしまった

  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535584440

作品紹介・あらすじ

SUPPORT THE TROOPS!の合い言葉におおわれた国論の陰で何が行われたか。アメリカの戦争の真実を戦場から告発する。

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの章の裏のページに、溶けた兵隊の写真が挟み込まれている。砂漠の真ん中で胸から下が溶けて消えている兵士、右半身が溶けている兵士、道路の端に腕だけが残っている兵士、トラックの荷台やタイヤの周りに体のあちらこちらが溶けた数人の兵士たち。これらは全て劣化ウラン弾の被害によるもので、著者の元軍人のデニス・カインが撮影したものである。


    彼は1991年の湾岸戦争で、三日間かけてバグダットに向かっていた時に、突然撤退命令が出て数時間で引き返したという。合衆国の兵士全員が撤退したのだ。それは、戦争に勝利したからではなく、放射能汚染のためだったと書いている。

    帰還した兵士たちは次々と死んでいったが、それに対する説明はなく、停戦後なので戦死扱いにもならなかったらしい。また退役軍人局が治療を与えないまま家に帰らせたので、海兵隊員の中には自分の家の前で内臓を地面に流して倒れたり、また皮膚がはがれ続け、命を失ったり人がいたという。また、湾岸戦争帰りの夫を持つ妻は、セックスの後で女性器が焼けるように熱くなると訴えている。それは兵士の精液に入り込んだ劣化ウラン弾の化学物質の所為なのだ。湾岸戦争帰還後に軍人の家で生まれた子どもの67パーセントが重い障害を持っていたらしい。生まれつき脳がない、手や足がないなどの症状だ。

    そのようなことが湾岸戦争で起こっていたにも関わらず、アメリカ政府は隠しとおして、兵士たちに伝えることもなくその後の戦争でも、劣化ウラン弾を使用してきた。アメリカだけではなく、核保有各国の政府は劣化ウラン弾に関わる情報の統制や被害事実の隠蔽をし、逆に無害であると言い続けたのだ。

    今まで何度か書いてきたけど、日本の自衛隊の人たちは大丈夫なんだろうか。言いたくても何も言えないんだろうか。でも、もしそうなら、勇気を持って告発して欲しい。それが日本のため、世界のためだと思う。

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