アレックス・ファーガソン 人を動かす

  • 日本文芸社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784537261394

作品紹介・あらすじ

イングランドのプレミア・リーグでマンチェスターユナイテッドを率いてサッカー界の頂点を極めたアレックス・ファーガソン。本書は、「強い組織の作り方、人材の発掘法、生かし方」についてを、ファーガソンが自身の指導者としての体験を踏まえてまとめたもの。いかに強い組織を作るか、いかに強い人間を作るか、その方法を文字通り微に入り細に入り解き明かした「勝つための帝王学」である。サッカーファンのみならず、経営者・ビジネスマンなど、広い読者層にアピールする一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ビジネス書として、サー・アレックス・ファーガソン(元マンチェスター・ユナイテッド(MU)監督)のチームマネージメントの志向について書かれていた。

    サッカーの監督とマネージメントと関係はないように感じる人もいるだろう。しかし、監督にも大きく分けて3種類ある。Selector、Head CoachとManagerだ。

    「監督」というと、多くの場合Head Coachという役割だが、Managerという「監督」がいる。チームや監督個人の志向によって異なるが、ファーガソンはManagerに属すだろう。他にも、FCバルセロナの故クライフ元監督、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督もManagerだろう。これまでの日本代表の監督もそれに近い。

    Managerとしてのファーガソンが語る志向について、ベンチャーキャピタリストであるサー・マイケル・モーリッツが解き明かす。

    ファーガソン自身も言っていたが、MUに来た時から監督として完成していたわけではない。失敗もあった。しかし、方法として熟成させていったものはあるが、揺るぎない芯を持っていた。その芯が、ビジネス成功者との共通点でもある。

    また、強豪チームでは失敗は許されない。同様に大手企業でも失敗は許されない。しかし、強豪チームになるため、もしくは大手に成長するまでに失敗を繰り返してきたはずだ。強豪チームであれ、大手企業であれ、新しいことに挑戦している限り失敗のリスクはつきものである。それを管理職・経営者は考えておくべきである。そして、若い者に失敗を許容するだけの寛容性を持つべきである。

    特に日本社会では。失敗は経験として蓄積されるのだから、成長する。失敗もしたことがない未経験者よりよっぽどリスクは低い。切腹の文化は捨てたほうがいい。

    大半はファーガソンの、実例を引き合いに様々な志向が展開されていた。中にはしつこいようにも感じるほどの数出してきた例もあったが、勉強になる話がほとんどだ。最後には、共著者のモーリッツがよりビジネスにおける共通点を出しながら、まとめている。それだけでもだいぶ勉強になる内容にも感じた。

    強豪チームでは失敗は許されない。同様に企業でも失敗は許されない。しかし、強豪チームになるため、もしくは事業成功するまでに失敗を繰り返してきたはずだ。強豪チームであれ、大手企業であれ、新しいことに挑戦している限り失敗のリスクはつきものである。それを管理職・経営者は考えておくべきである。そして、若い者に失敗を許容するだけの寛容性を持つべきである。特に、再挑戦が許されない日本社会では。失敗は経験として蓄積されるのだから、それが成長になる。失敗もしたことがない未経験者よりよっぽどリスクは低い。切腹の文化は捨てたほうがいい。

    失敗した者を、理由も聞かずに切り捨てて、またゼロからやり直すなんてナンセンス。その失敗の理由を本人とともに追及して、失敗する一歩手前からやり直した方がよっぽど効率的だ。

    誰も失敗を望んで失敗する者などいない。何も勉強せずに、ただただ突き進む者もいるだろう。そんな者にはまず学習することを教えればいい。それがわかっている者には、先人の失敗を教えればいい。さらに、似たものを学習し、想定されうるあらゆる失敗を考えておけばいい。それでも失敗したら原因を考えればいい。そして、それらを一人でできるようにさせる。そしたら、背中を押して前へ進めさせればいい。

    サッカーとしては、MUもFCバルセロナのように一貫したサッカーができるように継承してほしいという感想。同じサッカーという訳ではなく、何かアイデンティティを持ってほしいという意味で。ドリームチームと言われたバルサ。クライフ監督のもとプレーしたグアルディオラ。そして、それを受け継ぐ形となったグアルディオラ監督。その後も、バルサを知る者が監督を務めている。ファーガソンも後継者を育てながら、監督を務めていけば今回のような失敗はなかったと思う。特にギッグスには選手時代からもっと手をかけて育てればよかったのに。ギッグスは去ることになったが、またいつかMUに戻ってきてほしいと願う。お金あるBIGクラブならそれくらいの投資はできると思うし、した方が長い目で見ればいい投資だと思う。出来上がった監督を連れてきて出来上がったチームに当てはめると、当たりはずれが大きいというリスクもあるし。

    翻訳の喜多直子氏は、文学にもサッカーにも精通しているようである。豊かなボキャブラリーのファーガソンや具体的なサッカーの話題も読みやすかった。



  • ■あらすじ


    ■コメント
    ・明らかにビジネスマン向けの内容

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著者プロフィール

1941年、スコットランドのゴヴァン生まれ。センターフォワードとして得点を重ね、少年時代から応援していたレンジャーズに当時のスコットランドでは最高額の6万5000ポンドで移籍する。 1974年に監督としてスタートを切り、イースト・スターリングシャーとセント・ミレンで指揮を執ったのち、アバデイーンを1982-83シーズンのUEFAカップウイナーズカップ優勝に導く。1986年にマンチェスター・ユナイテッドの監督に就任。獲得したトロフィーの数は38個で、クラブワールドカップ、チャンピオンズリーグ2回、プレミアリーグ13回、FAカップ5回が含まれる。通算49個のトロフィーはイングランドのサッカー監督として史上最高である。 1999年にナイトの称号を得た。2013年、ユナイテッドを再びプレミアリーグ優勝に導いたのち引退。

「2016年 『アレックス・ファーガソン 人を動かす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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