指輪の文化史

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著者 : 浜本隆志
  • 白水社 (1999年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560028209

指輪の文化史の感想・レビュー・書評

  • ●構成
    序章 指輪文化の謎・空白の一一〇〇年
    第一章 指輪ア・ラ・カルト
    第二章 指輪のフォークロア
    第三章 指輪と政治的・宗教的権威
    第四章 指輪とシンボル
    第五章 指輪と時代モード
    第六章 指輪と誕生石
    第七章 指輪物語
    終章 ヨーロッパと日本の指輪文化の比較
    --
     現代において、指輪は基本的にはファッションのため、もしくは結婚・婚約の証として着用されている。しかし、日本では古墳時代までは指輪が使用されていたものの7世紀以降消滅してしまい、歴史上に再登場するのは明治以降である。一方西洋社会においては、古典時代から中世・ルネサンスを経て現代まで指輪は使用され続けている。なぜ日本では指輪に関して1000年以上もの空白期が存在したのか。その間西洋ではどのように指輪が使用されてきたのか。本書はこの問いかけから始まる。
     西洋において指輪は、様々な利用のされ方をしてきた。権威の証、個人の印章、呪術的な護符、記念物、毒針を仕込んだり殴打用の武器としての活用、指貫、ファッションとしての指輪、そして婚約・結婚。材質やデザイン、使用される宝石にも様々あり、使用の目的によって千変万化した。
     歴史的には指輪は、王権の証、印章、護符、装飾としての使用から始まり、記念や武器を経て古代ローマ期には婚約、ついで結婚の証として使用される。装飾及び印章としての利用が最初期にみられ、やがて契約の一種としての婚姻・結婚の際にも夫婦を固く結ぶ絆として用いられた。また指輪には魔力があるものと信じられており、悪魔からの守護、戦いのときの護り、幸運の願いなど様々な想いが込められていた。
     こうした指輪における様々な側面は、時代が進むにつれ次第に薄れていき、とくに習俗として残存しているのは婚約・結婚の証のみになっている。この場合の指輪は、元々は互いの貞節を護るものであった。また、指輪を占星術からの発展として誕生石で装飾するようになったのはルネサンス期以後である。
     冒頭の問いかけである、日本における指輪の空白期については、聖徳太子の冠位十二階によって冠や装束の色及び布素材の違いによって身分を識別できるため、装身具が不要となり消えていったこと、遊牧民族が常に自分の財産を身につけて移動することに対して、日本は外敵の居ない島国であり貴重品を見に纏う必要性が低かったこと、日本においては契約という概念が発達しなかったため印章を広く用いなかったこと、などを挙げている。
     全体としては事物や習俗などを取り上げて解説する内容で、著者の史観や強い主張を掲げた内容ではないと感じた。それは著者自身か日本では「指輪そのものを文化論的に考察した本」がないという問題意識からくるのかもしれない。
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