ヴァンダル興亡史: 地中海制覇の夢

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  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560028919

作品紹介・あらすじ

五世紀の中頃、ヴァンダル族はゲイゼリック王のもとで西地中海に君臨する一大海上勢力を短期間で築くが、やがてローマ帝国に滅ぼされてしまった。このゲルマン系の一部族・ヴァンダルの足跡と盛衰を描いた雄大な歴史読物。

感想・レビュー・書評

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  • ヴァンダル族をテーマにした歴史本は少ないからそれだけでも高評価したい。あらゆる闘争と遍歴を乗り越えて、一代のうちに華々しい栄光を都に飾ったゲイセリックが、いかにして北アフリカの地に一族の運命を託したのか、そして幾度となく侵攻するローマ帝国軍をも何度も打ち倒したのか、さまざまなエピソードと登場人物を交えながら紹介する。蛮族として歴史上忌み嫌われ、また事実何度も地中海の都市で殺戮と諒奪行為を繰り返しても、やはりその力強さには圧倒されてしまう。そしてそのうちで繰り広げられる政治上の駆け引きでは当時のヨーロッパ社会を知ることができるし、まだ国家という概念が未成立だった時代のことを学ぶことができる。
    退屈してしまう箇所はあったとしても、平家物語もびっくりな武勇や逸話も紹介されていて、それを知るだけでも読む価値はあった。

  • 地中海に消えたあるゲルマン民族の歴史

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=090074

  • まあまあ面白かった。ヴァンダル族、というネタの選択はとてもよかったんじゃないかな。ゲルマンの中では異色の、いわば海洋民族。その王様で、ゲイゼリックという名の英雄的な人物の活動も知れたし。わりと好きだよゲイゼリック。

    ヴァンダルの王族として東ヨーロッパに生まれ、西へ西へと大移動を続ける中で一族の王位を継ぐものの、この時点では内地の、それも流浪の王に過ぎない。それが40歳くらいでスペイン南端からアフリカ大陸に押し渡って、今度はローマ領のアフリカ北岸を矢のように東進。ついには大都市カルタゴを攻め落とし、そこを中心に海洋国家ヴァンダル王国を築く。

    その本質は海賊稼業に近かったにしても、まさに英雄的な事績だ。そして長命し、実に80代半ばあたりまで、東ローマ帝国みたいな当時の大国相手にも怯むことなく対等の関係に立ち続けた。

    ただ3部作通じての問題だけど、相変わらず説明が粗い。それがとっても残念だな。
    ○位置関係の説明が雑とか、
    ○ときどき主語が特定しにくいとか、
    ○特に活躍するわけでもない個人名の列挙が目立つとか、
    ○頻出するいたずらな体言止めにイラッとくるとか(塩野七生の真似?)、
    ○ムーア人をナチュラルに野蛮人扱いしてるとか、
    ○女性への偏見がちらほら覗くとか、
    ○人間関係一般へのあっさい考察や「滅亡の美学」のたぐいをしばしば披露したがるとか、
    プチストレスがひっじょーに多いです、この人のものの書き方は。

    いやほんとに、編集の段階でもっとブラッシュアップできなかったもんなのかな。ヴァンダル史にせよ東ゴート史にせよ、日本語の類書なんてあまりないだろうだけに、なんとも惜しい気がしてしまうのです。

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