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- Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560042663
感想・レビュー・書評
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異様な文章の妙に口に心地よいリズム感を追っているだけでとても「読んだ」とは言えないし、それはそもそもこの本がある意味では読めない本だったとしても、その読めなさすらつかめていないという意味で根本的に読めていなかったのだけど、それでも面白いのはこのエクリチュールの現前性とでもいう感覚、たとえば文章の規則を悉く無視した破格の文体で何かが書かれるとき、その時多くはエクリチュールの暴走とでも言うべき、壊れ方自体が面白い文章になっているし、そうなるのを逃れられないことが多いと思うのだけど、ここでは全くそういうベクトルに意識が向かっていず、多分狙ってやった、それもテクニカルな狙いばかりではなくかなり明確な目的意識によって書かれたのだろうなということを思わせ、というのも読んでいる間にするすると頭から抜けていく、頭に入らないというのではなくイメージの飛躍によって今この瞬間読んでいる場所しか掴むことができず、その関連性を追おうとした途端今追っているところが曖昧になり、つまり普通の読み方ははねつけられ徹底して読んでいる今にしか軸足を置けないようになっているという気がしたのだけど、そうは言っても頭に入っていないのだから言い切るには心許なく、楽しかったけれどやはり疲労も大きかったし、私は読者としてあんまりこの本には選ばれなかったなという印象だけが大きく胸の内に残ったのでした。
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