超男性 (白水Uブックス 77 小説のシュルレアリスム)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070772

感想・レビュー・書評

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  • 「あなたは誰です、人間ですか」、壮絶な自転車レースと性交ゲームの果てに「超男性」を待ち受けるものとは。性交ゲームなんて淫らな小説かと思うが、単純なポルノグラフィティではなく、難解なSF?だ。奇書と呼ぶ人もいる。その世界観は、読み難さ、澁澤龍彦の訳と絡み合って独特の雰囲気を醸す。早飲みするような読書では味が滲み出ない。ゆっくり咀嚼して飲み込まないと訳が分からない。

    「シュルレアリスム」は日本語では「超現実主義」と訳され「意識と無意識の混ざった状態」つまり「夢と現実の混ざった状態」という意味のようだ。ダリの溶けかけの時計のような絵画のイメージだが、ビジュアルアートと共に文学の世界でも表現される。しかし、この表現は、音楽ではあまり聞かない。現実を下地に非現実を表すような境目が無いからかも知れない。

    そうすると、小説など極端に言えば、日常的な言葉世界に奇抜な価値観を混ぜるのはお家芸であり、一部を歪ませたり、仮想世界、思考実験のような世界を描きやすい。AIが作る画像や文章のハルシネーションが近いかもしれない。このハルシネーションを理解しようとしても難しいのではないだろうか。理解するのではなく、錯視を味わうものとして楽しむというのが良さそうだ。

  • 高度に人間の言語を使えるようになった宇宙人が書いたらこんな感じになるのかな?ってかんじの小説。ジャリはそもそも宇宙人では、という点については反論できない。

  • 「恋愛なんて取るに足らない行為なんですよ。際限なく繰り返すことができるんですからね」という有名なセリフから始まるナルシストにして陽気で逆説的な男ジャリそのもののような小説。19世紀末フランスシュールレアリスムの代表作のひとつであり、更に澁澤龍彦の名訳。ジャリは自意識過剰の男で、読んでて腹が立ってくるのだが、後をひく。

  • ――愛とは、感情ではなく行為なんです。

    すごい言葉だと思う。ちょっと福留孝介っぽい(違う)

  • なんの話(笑)って感じの内容なんですが、ユーモア? なのかな。超絶倫人が出てきて色々やる話。シュルレアリスムといわれるともう少し哲学的な印象があったり。言い回しもよくわからないところがあったり。全体的にはぶっ飛んだ内容なんだけど語り部は普通に変なことを語る感じ。変なの(笑)というのが、率直な感想。

  • 男性性とは運動or生産であり、それを絶え間なく続けられる存在は「超男性」になる。主人公はその「超男性」となり、彼と同じく休まず動き続ける人間ではない存在(機械)との親和を深めていく。しかし、機械(レコード再生機)は人間の女性に恋に落ち、人間のような存在へと変わってしまう。
    物事は動き続け、人間は機械に、機械は人間に変化していく。

  • 白水uブックスのシュルレアリスム系ラインナップに
    軽くかぶれていた頃、勢いで買って読んだ一冊。
    肉体の限界に挑む様々な競技(!)に参加して男っぷりを上げ、
    一般男性のレベルを超えた
    「超・男性(Le Surma^le)」になろうとするアンドレの、
    ユーモラスでナンセンスな物語……でも、
    ラストが意外にしんみりしていてビックリ。

  • 2017年1月22日紹介されました!

  • 再読。超男性、わかりやすく言うなら一種のスーパーマン。体力的なことだけでなく性的な面でも通常の男性を超越。だからといって異常性はないので、別に他者を不幸にしたりしないところがいい。ちょうどマンディアルグの「~イギリス人」も再読していたので、マルクイユ氏は、ああいう人に比べてとても紳士だし慎み深いと思った。

  • 羽田圭介がお勧めしてた本。極限

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