バーナム博物館 (白水uブックス―海外小説の誘惑)
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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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だが、ひとつの人生全体を冒してしまう情熱の神秘を、誰に解きほぐすことができよう? それまで順当に進んでいた人生に、たった一度の取り返しのつかない方向転換を強いて、その軌道を曲げてしまう情熱の謎を?
― 299ページ -
いいかい、君は彼女のことを何も分かっちゃいない。彼女の存在を信じてさえいない、オリヴィアなんて名前の子はいやしない。そもそもこんなことばかりやっていて、一体何になる? もうどうしようもないんだよ、君。タオルを投げるのが身のためだよ。リングを去る時間だぜ、坊や。もう勝ち目はゼロさ。おしまいなんだ、わが友よ。もうこれっきりなんだよ。
― 80ページ -
まあまあ、そうカッカするなよ、ロバート。芸術家というものは、いかなる場合にも抑制を失ってはならない。君、抑制を失っちゃいないだろうね、ロバート。抑制を、失っては、いないね?
― 80ページ
みんなの感想・レビュー・書評
想像につぐ想像の世界は、まるでコーヒーの表面で粉末状のミルクが永遠にゆるゆると浮沈しながら奇妙な模様を描いていくようでもあった。他者の想像をのぞくということが、いかに淫靡で魅力的で、はっと気づいたときに少しばかり居心地の悪い恥ずかしさを感じてしまうものか……言うなれば、読んでいるうちに否が応でも自分の浅ましさをほじくり返されるという(苦笑)、あまりありがたくない小説だった。
幻想文学って夢と現実が混ざるようなのもあれば、幻影と現実、虚構と現実、の組み合わせのものもある。現代アメリカの作家であるこの人の作品で、懐かしくさみしく美しく、読んだ人のこころにしみるのはまぎれもなく幻影、だとおもう。故郷なき新大陸アメリカの郷愁よ我は汝を愛す...!!過去たくさんの人々にあいされてきた文学作品を下敷きにしたものや、一見クラシカルでありきたりなミステリー小説にほどこされたゲーム盤のしかけなど、憎いね!小憎らしいね!!クックゥゥ〜!!って唸っちゃう短編ばかりで、その並び方もなにげに素晴らしい。T・S・エリオットの詩の『漫画訳』小説にはたまげた!!!
過去の航海を思い返すシンバッドと 不思議な国に迷い込むシンバッドの「シンバッド第八の航海」 空想上のオリヴィアとデートをする「ロバート・ヘレンディーンの発明」 落下中のアリスの思考をたどる「アリスは、落ちながら」 映画館のカーテンの裏に忍び込む「青いカーテンの向こうで」 弟の誕生日に集まった兄弟と彼女の「探偵ゲーム」 見るたびに違う印象を与える「セピア色の絵葉書」 不思議な展示品ばか... 続きを読む »
酸素の薄い万華鏡ルームに閉じ込められたような気持になる本。息苦しく、目がチカチカする。ちょっと山尾悠子っぽいけどもっとカラフルで、物でページがぎっちぎちに詰まっている。
二話目を読み始めたところで、再読らしいことに気が付いた。覚えていた二編(「ロバート・ヘレンディーンの発明」「雨」)と表題作は特に面白い。
ミルハウザーの創造力に私の貧弱な想像力が全っ然追いつかない・・・ごめんなさい。
でも、必死で追いかけてるんですよ。
目眩がするような世界観は、映像で観てみたいような、観たくないような複雑な気持ちになる。
どこまでも増殖する独特の世界は映像の枠に収めてほしくない気持ちの方が、やっぱり強いかな。
「探偵ゲーム」と「バーナム博物館」、「幻影師、アイゼンハイム」が好き。
「シンバット第八の航海」 「ロバート・ヘレンディーンの発明」 「アリスは、落ちながら」 「青いカーテンの向こうで」 「探偵ゲーム」 「セピア色の絵葉書」 「バーナム博物館」 「クラシック・コミックス#1」 「雨」 「幻影師アイゼンハイム」 の短編10編。 ごめん、たぶんこれを読むにはまだまだ私は未熟なの。 この濃密な世界に浸りきれない自分がも... 続きを読む »
「シンバッドの第八の航海」… 子供のころ、「アラビアンナイト」が大好きで、何十回も読んだのを思い出しました。
濃密なファンタジーというか、ミルハウザー独特の影や霞が漂います。
作品の濃密さに疲れてしまう人もいるのかもしれないけど、やっぱり読まないのはもったいない‥。
ずっと持ち歩いているうちに、本がボロボロに。。
人生の最後に読みたい作品候補のひとつが「バーナム博物館」。
これは個人的なベスト100小説に入るでしょう。
短篇集。10篇収録。 感動というよりは、感嘆!その精緻な描写に、その想像力に、その発想に・・・・まさに本文中の一文の、“精緻な細部の膨大な集まり”といったイメージ。 「ロバート・ヘレンディーンの発明」で描かれた頭痛のバリエーション。読んでいるだけで頭が痛くなってきそう。 「アリスは、落ちながら」は何となく既視感があるなぁと思ったら、ディズニー・アニメのあの部分を、もっと引き伸ばして、もっと詳... 続きを読む »
ミルハウザー独特の伝聞調の語り口。ワンパターンに
思えるところもあるが、博物館の猥雑さと語り口の几帳面さ
のアンバランスが妙にマッチしていて面白い。
所収佳作、『アリスは、落ちながら』の光のきらめきと緑の若葉、
英国の自然の美しさに陶然となる。
幻想の航海、盤上ゲーム、魔術、博物館…。最後のロマン主義者ミルハウザーが織りなす幻影と現実のモザイク模様。ときには『不思議な国のアリス』や『千夜一夜物語』を下敷きに、ときにはポーに敬意を表しつつ、想像力のおもむくままに紡ぎだされた十の物語。
例えば『セピア色の絵葉書』は、終始、絵葉書に関しての情景描写について語られている。絵葉書についての状況が変わっていくに連れて、描写も変化していく。どの物語についても同じことが言える。耽美的で、幻想的で、精緻な語り口は、読者の想像力をかき立ててくれる。めくるめき万華鏡の世界に浸りたい方には是非お勧めします。
『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』(洋書は1冊棚に入れておきました)を事前に思い出しておく/読んでおく方が楽しめるかも?
"Clue"というゲームについても知っているとなお興味深く読めます。
ミルハウザーの短編集。童心に帰って、不思議な世界にひたれるような作品ばかりでした。特におすすめなのが「アリスは、落ちながら」「青いカーテンの向こうで」「クラシック・コミックス#1」「幻影師、アイゼンハイム」どれもが、読むと脳内で色鮮やかに情景が浮かびます。
ミルハウザーの物質に対する執拗なまでの描写にやみつきになります。1つの物体に対して、ここまで描写できる作家は稀でしょう。

[ 内容 ]
幻想の航海、盤上ゲーム、魔術、博物館…。
最後のロマン主義者ミルハウザーが織りなす幻影と現実のモザイク模様。
ときには『不思議な国のアリス』や『千夜一夜物語』を下敷きに、ときにはポ...





