流刑地にて (白水Uブックス 156 カフカ・コレクション)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071564

感想・レビュー・書評

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  • 白水社のカフカ・コレクション。「判決」「流刑地にて」「火夫」の各短篇の他、計18篇の小品集「観察」を収録。

    カフカへの挑戦、3冊め。う~む、わからん。「判決」と「流刑地にて」については、結局何が言いたいの?となり、読む側の読解力を試される。すっかり自信なくなりました……(汗)。

    「観察」はショートショートなのかエッセイなのかわからんような、短い散文の寄せ集め。日常をただ描写したようなものだったり、人生論的なものを感じさせたり、意味がわからないものもありつつ、意外に面白い文もある。

    「火夫」は長編「失踪者」の第一章を切り取って短篇にしたとのことだが、ここへきてようやく物語らしいものが出てきた。これは意外性のある展開が素直に面白かったといえる。ただ、これだけではテーマや意図が読み取れず、やはり壮大な物語の序章という感じは否めない。

    「判決」について、カフカと父親の関係も考慮して解釈を云々、というネットの意見もあったが、これは違うと思っている。まずは作品そのものだけで完結してほしいものだ。作者の人生など知ったことか。その上で、読みきれないのは自分の読解力が足らないだけのことだと自覚。まぁ、作家そのものに興味もわくので結局はいつも調べてはいるけれど、作品を読み解くのにそれが必須になるのは違うんではないか。また、作家と作品は別だから、作家が犯罪を犯したりしても作品の価値は変わらないと思うのだけど、どうだろう?

  • カフカの短編集。

     軽い気持ちで読み始めたけど、『流刑地にて』は生々しくてどんどんのめり込んでしまった。よくこんな構想が浮かぶものだな。

     尊厳の無視、地位と権力への渇望、残虐行為への嗜好性、倫理と自らの立場の葛藤などがリアルに描かれていた。物語の序盤で、旅行者が「部外者はその土地特有の慣習に口を挟むべきでない」と考え、残虐行為をただ凝視していた描写が印象的だった。今でも残虐な文化が残っている土地って、現実に沢山あると思う。土地の文化を尊重することは大切だけど、残虐な行為は糾弾して排斥していかなければならない。黙認せずに声をあげるべきであると思う。無関心や無視も、残虐行為の1つだから。

     カフカの本って、いろんなことをぐるぐると考えこんでる点で共感できる。一つの行動を選択するのにも、その人の正義や倫理観に基づいて、ひどく考え込んでる。たまに突飛に思えるし、抽象化された独特な表現を使っていることも多いから、自分も近しいことを考えたことがないと、何を言っているか全く意味が分からないことも多々あるけど。

     『観察』も、日常にありそうなワンシーンを考え込んでる様子がうまく表現されてる。なんだか日記や、カフカの思想の断片を読んでるみたいだった。また数年後に読んで見たら、意味がより深く理解できるようになっているのかな。

     『判決』は全体としてちょっとよく分からなかったな…。表面的な話しか分からなかった。

  • 機械仕掛けの処刑の話。
    カフカって無機質なイメージあったけど、人間の描き方が生々しくておもしろかった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/758504

  • これほど痛ましい孤独はついぞ読んだことがない。

  • 岩波の短編集とわりとかぶってた。

  • 20180422
    「流刑地にて」だよね。普通は。

    独特な世界ですねぇ〜〜〜
    カフカつながりで海辺のカフカ読了時の時みたいな?????感が強い。よくわかんない。

    4年の頃のOPであった文学部のフラ語の授業でカフカ評論やってたけどあれも邦訳自体よーわからんかったのでフランス人はやっぱりよくわかんない。

  • 審判や失踪者のような作品の寄せ集めというかんじ。

    あとがきにもそう書いてあった。

    色々と読んでしまっているから新鮮さはなかったけど、「判決」のストーリーの秀逸さはさすがカフカといったところだろうか…。

  • 「判決」「流刑地にて」「火夫」どれも良かった!「観察」のみ、散文であり仕方がないのだが物語性が薄く読むのに苦労した。
    村上春樹が『海辺のカフカ』で、カフカ少年と大島さんの声を通して、世界の仕組みを描いている(といった感じだったと思うが…)と評した作家・カフカの中でもとりわけおもしろい短編だと言っていた「流刑地にて」。それを読むために読んだ。

  • チェコにあるカフカ博物館で大変興味を持った作品である。

    「ここでは私たちの前に、場所が特定されていない、文明より遠く離れた熱帯地方に置かれた、恐ろしい拷問機械の詳細が浮き彫りにされます。

    カフカの物語は、何か普遍に成りつつある、裁判のパラドックス的な拡大を予期したものとなっています。

    刑執行を自治地域に命じることによって課される刑罰から司法は守られますが、同時に牢獄の形態が社会全体に広がっていき、末梢が近代都市の核に直接影響を及ぼす、管理・監視機構を創造していくことになるのです。」

    ミュンヘンのギャラリーで行われたカフカの朗読会に参加していた知識人はショックを受け、3人の女性が意識を失ったという作品。

    同博物館に公開されていた作品をモデルとした拷問機械とあわせて、開いてみたい。

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著者プロフィール

1883年プラハ生まれのユダヤ人。カフカとはチェコ語でカラスの意味。生涯を一役人としてすごし、一部を除きその作品は死後発表された。1924年没。

「2022年 『変身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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