もうすぐ夏至だ

著者 :
  • 白水社
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本棚登録 : 97
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560081310

作品紹介・あらすじ

細胞生物学の権威であると同時に歌壇の第一人者が、亡妻河野裕子とともに築いた創造の日々を、見事な筆致でつづる待望のエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 「"知ることは感じることの半分も重要ではない"といったのは、『沈黙の春』のレイチェルカーソンだったと思うが、私がいつも思うのは、知識を説明することに較べて、感じたことを表現することはとてもむずかしいということだ。」

    その通りだと思う。卒業旅行として国内海外の素晴らしい建物や景色に出会った時、どんなにガイド本を読み込もうと、一瞬で感じた想いをアウトプットするのは大変難しい。その感動を表現できる同等の語彙力があったらいいのになぁと何度思ったことか。

  • 妻の女性誌で初めて永田先生を知った。生物学の京大教授にして歌人という二刀流に興味を持ち本を読んだ。タイトルもすごく魅力的だし、内容も家族、仕事、歌など、非常にしまった文章で書かれていてすごく良かった。

  • 今自分が思うことを書き綴る事ができるってすごい事だなと思う

  • タイトルに惹かれて手にした。「もうすぐ夏至だ」や「後の日々」では永田、河野夫婦につがいのひとつの在り様を教えてもらった。父親、母親になってもずっと恋人同士として互いを見ていたんじゃないのかな?そしてそれに適うだけ二人はお互いを引き付ける何かを持っていたんだと思う。いくつになってもそんな関係でいたいから結婚するけど、何十年も一緒にいるとなかなか難しいことなんだとオイラにもわかった。伴侶を失ったときに永田先生みたいに感じるとは限らない。伴侶が介護を経て亡くなったとしたら、オイラはほっとしちゃうかもしれない。痴呆でも生きていれくれればいい、っていまのオイラは言えないな。残念なオイラだ。
    「時間という錘」で研究者と歌人の二足のわらじについて触れているが、なんか勇気をもらった気がする。せっかく始めたボランティアだけど、仕事を理由にその役割にもう一歩踏み込むことにブレーキをかけてしまうところだった。やりたくて始めたこと、まわりに迷惑をかけるのはダメだけどそうでなければやってみればいいんだよね。仕事だってそうだよね。言われたことばかりするよりも、自分でよかれと思ったことを自発的にした方が楽しいに決まってる。

  • メモ『タンパク質の一生』
    詩歌文学館@北上市
    賀茂曲水宴@上賀茂神社四月第二日曜

  • また読みたい

  • 細胞学者にして歌人でもある著者によるエッセイ集。意外なことに初のエッセイ集とのことだが、大事な人との別れを綴った心情の描写などは心にぐっとくるものがある。

  • 最近永田和宏づいている。
    はずかしながら、最初にこの夫妻のことを知ったのはつい最近で、新潮の「波」だったはず。そこで書かれていたエッセイと短歌が素晴らしく、永田氏の著作を読みたくなって、目についたものをどんどん手に取っているといった次第。

    河野裕子氏やご家族とのエピソードなどをまとめた章、主に日経に掲載されたエッセイをまとめた章、科学者としての立場から書かれた章の三つに分かれており、書かれた時期や場面がいろいろなエッセイをまとめて作られているので、他の著作で既に読んだエピソードとダブるものもままあるのだが。
    これが歌人のなせる技というべきなのか、非常に文章がうまい。どれもごく短いエッセイばかりなのだが、その短い中でこれと押さえる言葉選びが見事で、すっかりはまってしまった。
    河野氏との仲睦まじいエピソード、奥様の余命わずかにしてご夫婦で詠んだ歌など、お二人の深い愛情を強く感じる。

    「時間に錘をつける」短歌って、いいなあ。
    きっとまた永田氏の著作は読むだろうなあ。

  • 永田和宏『もうすぐ夏至だ』読了。
    亡き妻、河野裕子さんにふれる筆は微かに揺れるが、科学と短歌、二つながら懸命に向き合ってきた誠実な人柄が、抑えた筆致から伝わってくる。

  • 歌人永田先生のエッセイ。本職の細胞学者としての緻密な観察眼を​やわらかい文章がうまく包んでいる。

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著者プロフィール

永田和宏(ながた・かずひろ)京都大学名誉教授、京都産業大学名誉教授。歌人・細胞生物学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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