北の古文書 (世界の迷路Ⅱ)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560081785

作品紹介・あらすじ

父や祖父の人生を辿りつつ、19世紀北フランスの歴史や、それを語る自らの相貌を立ち上がらせる。母・父・私をめぐる自伝的三部作、第二巻。

感想・レビュー・書評

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  • 2011-11-18

  • マルグリット・ユルスナールの回想録三作の2作目。
    1作目は母の家系を書いたが、こちらは父の家系を書いている。

    著者は自分のことよりも先祖に当たる人たちを描いている。
    まるで第三者であるかのように視点は遠くを見つめている。

    この本の終わりの方に生後6ヶ月のマルグリット・ユルスナールが登場するが、「実際彼女はとても老いている」と描写されていることにはっとした。
    「訳者解題」にも引用されているので2度はっとした。

    延々と彼女自身ではなく家系について書かれていた後に赤子の本人が登場する。
    明るくみずみずしい場面に花が咲くような登場の仕方ではない。
    長い歴史のゆえに存在することになった「古い」「年老いた」遺産であるかのようだ。

    個々の私達もそうかもしれない。
    長い先祖の歴史があって自分が産み落とされ、自分でそれを認識することで自分を作っていく。
    つまり生気を得る、遺産の塊だったのが人として若返っていく。

    そういった先祖と自分の流れを見るという意味で、とても貴重な文学だと思う。

  • (後で書きます)

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著者プロフィール

1903年ベルギーのブリュッセルで、フランス貴族の末裔である父とベルギー名門出身の母とのあいだに生まれる。本名マルグリット・ド・クレイヤンクール。生後まもなく母を失い、博識な父の指導のもと、もっぱら個人教授によって深い古典の素養を身につける。1939年、第二次世界大戦を機にアメリカに渡る。51年にフランスで発表した『ハドリアヌス帝の回想』で、内外の批評家の絶賛をうけ国際的な名声を得た。68年、『黒の過程』でフェミナ賞受賞。80年、女性初のアカデミー・フランセーズ会員となる。母・父・私をめぐる自伝的三部作〈世界の迷路〉――『追悼のしおり』(1974)、『北の古文書』(1977)、『何が? 永遠が』(1988)――は、著者のライフワークとなった。主な著書は他に『東方綺譚』(1938)、『三島あるいは空虚のビジョン』(1981)など。87年、アメリカ・メイン州のマウント・デザート島にて死去。

「2017年 『アレクシス あるいは空しい戦いについて/とどめの一撃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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