キャッチャ-・イン・ザ・ライ

  • 白水社
3.58
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感想 : 547
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560090008

作品紹介・あらすじ

J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として生まれ変わりました。ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳でありつづけるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。雪が降るように、風がそよぐように、川が流れるように、ホールデン・コールフィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、世代を超え、この世界に存在しているのです。さあ、ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと積んであった本です。
    2003年にこの新訳の初版が出たときに、単行本で買っていました。
    旧訳の『ライ麦畑でつかまえて』は読んでいません。
    青春期に読むべき本を、いい歳になってからやっと読みました。

    主人公のホールデイングは、作家の兄DBと、小さい頃に亡くなった弟のアリー、活発で美しい妹のフィービーの四人兄弟妹です。
    ホールディンは何度も学校を転校しているちょっとした不良で、男子校の寮に入っていて、いつも女の子のことを考えていて、話題はそれしかありません。
    飲酒もし、女の子を買おうとして失敗し、お金も騙しとられます。
    中盤までは、なんだか年頃の男の子の生態が生々しくて、嫌悪感を感じました。これがどうして名作として読み継がれているのだろうかと思いました。
    私が中高生の頃に、弟に借りて読んでいた少年漫画誌のマイナーな方の漫画みたいだと思いました(私はあだち充とかが目当てで借りていました)。

    でも、最後の方になってホールディングは目覚めるんです。最後の最後25章以降はもう文章がスピード感に溢れ、ハチャメチャで「これ、すごく面白い!」と思いました。
    これはやっぱり、青春期に読んでいたらきっともっと印象深く心に刻まれた好きな作品になっていた気がします。
    でも、今の年齢で読んでも1回も読まないより、ずっとよかったと思います。

    • まことさん
      猫丸さん。
      いえ、いえ、確かにそんな楽しみ方も、できますね。
      もし、若い時に読んでいたら違っていたかな、とは思いますが…。
      猫丸さん。
      いえ、いえ、確かにそんな楽しみ方も、できますね。
      もし、若い時に読んでいたら違っていたかな、とは思いますが…。
      2021/04/12
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      まことさん
      若い時は誰もが今と先が見えずに悶々とし、主人公との距離が近い。と言うのがあるでしょうね。

      「ナイン・ストーリーズ」を読めばサリ...
      まことさん
      若い時は誰もが今と先が見えずに悶々とし、主人公との距離が近い。と言うのがあるでしょうね。

      「ナイン・ストーリーズ」を読めばサリンジャーの違う面も、、、
      2021/04/13
    • まことさん
      猫丸さん。
      「ナイン・ストーリーズ」未読です。
      なんか、うちの本棚にあったような気がしますが…。
      探してみます。
      猫丸さん。
      「ナイン・ストーリーズ」未読です。
      なんか、うちの本棚にあったような気がしますが…。
      探してみます。
      2021/04/13
  • あるYouTuberが、「この作品は、10代のうちに読んでほしい。」と紹介されていたのだが、その言葉がよく分かりました。主人公のホールデンの投げ遣りな感じが、思春期の危ういさを醸し出している。誰にも縛られたくないし、相手と会話を合わせようとしない、嘘をつく、自分以外はインチキ野郎だと思う所とか、誰しもが通っていく、この時期の青春感がとっても良かったです。
    村上春樹訳も良いスパイスでしたね。
    何年経っても色褪せない不朽の名作です。

  • 厨二で捻くれてて面倒な性格のホールデン。でも読んでて少し理解できるなと思ったり。

    亡き弟に語りかけ、幼い妹にしがみつかれ(或いはしがみついて)。何故か少し胸が苦しくなる読後…

  • 村上春樹訳の『ライ麦畑でつかまえて』。高校生の主人公がクリスマス前後に起きたどたばたについて回想する青春小説。主人公の心のうちを読者に語りかける文体のため、個人的には村上春樹の訳がしっくりくる。周りが大人へと成長していくのを目の当たりにし、自分だけが取り残され、大人になりきれない主人公。自暴自棄になり、社会や秩序、力などに抗いながら、心の葛藤を描いている。正直、なぜここまで評価されているのか私にはわからない。罵詈雑言のオンパレードを一方的に聞く立場としては、決して心地よい気持ちにはなれない。

  • 村上春樹さんの訳で読みたくて読み始めたものの、スラスラと読み進めるのには少し大変だった。半分過ぎからようやく読み進めるようになったけど、ホールデン少年の複雑な気持ちのうつり変わり方とか、人を斜めに見るとか、人間って複雑なってことが身に沁みる。子供が何考えてるかわからないと思う親(自分だが)、子供も色々と考えて訳わからないんだと言うのを知ることも子育ての第一歩なのかなぁと(勝手に)。この本を何か読んだ後ほっこりするのは良かった。また読み返したい。

  • サリンジャー版「人間失格」ですね。

    自分は特別で周りはどうかしてる、っていう感覚ってやっぱりあるものです。だから、このホールデンくんもさして特別でも、変でもない。でもそんなことって当時はわからないものです。

    読んでて苛立つし、恥ずかしいし、懐かしいし、分からんでもないから、
    結局惹きつけられていました。

  • ■月曜日の通勤電車、また回り始める社会に自分を適応させるのをあきらめ、いつもの駅を乗り過ごしててみたくなる。■

    【注】作品の世界観に酔ったまま、ホールデン口調で書かせてもらいます。お許しを。

    僕は自分の考えをしっかり持ってるように装うのがうまいんだ。けど本当はそうめんみたいに流されやすいし、自分の芯なんてコシのないうどんほどもないのさ。
    よかったら、ラーメンでも食べながら僕のたわごとに付き合ってくれないか。

    ホールデン、君って奴は苦労を知らずに育って社会をなめ切ってる。いいとこ育ちの金持ち坊ちゃまさ。でもまあ憎めないヤツだよ。
    わかってる、今の上から目線の言いぐさは僕のひがみだ。ぶっちゃけ、鼻をかんだチリ紙をゴミ箱にポイってするみたいに行き当たりばったりで行動できる君がうらやましかったんだ。

    例えば、僕はつまらない政界のゴシップや芸能界のスキャンダルにいちいち目くじら立てる大衆を鼻で笑う。資本主義やら市場経済とやらでできてるらしい現代社会にしたり顔でうんざりしている。そのくせ、その胡散臭い社会がひいた安全なレールの上を僕はちゃんと走っているんだ。結局、口だけは評論家みたいに偉そうだけど、君みたいにお利口さんをやめてドロップアウトするだけの度胸は鼻クソほどもなかったってわけ。

    この前だってそうさ。本の中で君と女の子がいい感じの場面で、職場最寄り駅が近いことを告げる車内アナウンスときた。君ならどうする?このまま無断欠勤して南の島まで行ったって死にはしない。

    でも僕には絶対できないんだ。沖縄でソーキそばをすするのはまた今度ってことにして、そそくさと読みかけの本を片付ける。機械的に電車を降り、足は勝手に職場へと向かうんだ。政治家の不倫とかに目がない連中と一緒にね。今日も一日、メールや決裁の処理、おまけに何が言いたいのかさっぱりわからない上司(たぶん火星人)に振り回されてヘトヘトになるってわかっていてもさ。

    もううんざり!やってられん!なんて同僚や友人と毒づいたりしながらも、このロクでもない人生ゲームを定年まで続けるだろうこともわかってる。実際中毒性のあるゲームだよ。僕はもうとっくに飛び出すという選択の余地のない茹でガエルさ。
    わかるだろ。要するに僕は怖いんだ。君は自分が臆病だって言ってたけど、僕は自分が臆病ってことを人に言えないくらい臆病なんだよ。

    ところで、明日は早起きして上の娘とジョギングなんだ。あの子は毎週楽しみにしてるんだよ。
    とりとめのないたわごとに付き合わせて悪かったな。ラーメン伸びるぞ。
    おやすみ。

  • 人間関係は大事にするべきだよね、まったくの話。

  • 1人の青年の語り口調で描かれる青春の一幕。

    「天気の子」で主人公の穂高が東京に家出してきた荷物の中にある描写から気になっていたがようやく読めた。

    読んでて主人公の天邪鬼さや唐突な衝動にしばし苛々させられたのは、自分が少しは大人になったからなのかもしれない。
    主人公の言動は、言葉に表せない大人への苛立ちや、自分はこんなもんじゃないっていう根拠なき自信が見え隠れし、自分が中学生くらいの時もこんな感じじゃなかったかなと小っ恥ずかしくなる。

    今いる環境に何某かの不満を抱えて飛び出してしまう様はそれこそ天気の子の穂高少年そっくりだった。

  • コールフィールドのあまりにもむき出しな青臭さに気恥ずかしくなることも多々あった。そんなことどうでも良くなるくらい、掛け値なしの名作だった。
    社会からはみ出そうとしてるわけではないのに周りへの漠然とした違和感が常にあって、人は成長の過程のどこかでエゴと社会の折り合いをつけていくわけだけれどエゴを突き通せば社会の規定のレールからは瞬く間に外れていく。自分だけが狂っていて社会がマトモなのか、自分だけがマトモで社会が狂っているのか、どっちか区別がつかなくなって、うらぶれた気分になるコールフィールドをさらに追い詰めるラストの展開、、、。
    コールフィールドが社会に向けている眼はあまりに澄んでいる。

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