私たちが姉妹だったころ

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制作 : 矢倉 尚子 
  • 白水社 (2017年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560095324

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私たちが姉妹だったころの感想・レビュー・書評

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  • これはまたすごいものを読んでしまった。
    恋愛小説でもないのに、後に残るこの切なさは一体なんだろう、何故だろう。読み終えて、しばらくぼうっと放心してしまった。

    この設定を選び、それをこのように構築し、主人公ローズマリーの回想と気持ちを丹念に描写していく作者の力量たるや。ミステリか?と思わされたり、カズオイシグロのような展開か?と思わされたりしながら読み進んだけれど、結局は今までに読んだどれとも違う。

    切なくてたまらないよ。

  • 心理学実験の犠牲になって人生を狂わされたきょうだいの話、ではあるのだけど語り口がユーモラスで、あっという間に読み終えてしまった。

  • あらすじを説明しようとするとすぐにネタバレしてしまいそうなお話しだが、
    幼年期、とあるプロジェクトの実験台にされていた姉妹にまつわる、その後のお話しを描いている。
    語り口がこれぞ海外小説、という感じのユーモア、皮肉、自虐の連発でそれを読んでいるだけでも結構楽しいが、
    話のわりと早い段階であっと驚く事実が明らかになり、そこがひとつのクライマックスのようになってしまい、途中でちょっと中だるみ。

    これはフィクションだけど、このお話で扱われている「実験」については自分も見聞きしたことがあり、
    「実験」により影響を受けた人たち(及び人じゃない生物その他)のことを考えるとシャレにならない重い気持ちになる。
    シリアスなテーマだけにリサーチもしっかりされているようで、読み応えがある。
    といってもユーモラスな一人称で書かれているので、暗いばかりでは決してない。

  • この物語は家族、兄弟姉妹、友だちなどの絆をひとりの少女の半生の視点から描いています。モンキーガール、なんて言われたちょっと風変わりの彼女の視点は、ときにユニークに洒脱で飽きさせません。物語も、時間を行きつ戻りつした工夫を凝らした構成で安易に先を読ませてくれない楽しさがあります。

    このお話の重要な要素のひとつが途中で明らかにされるので、ネタバレ無しだとそれに触れずに書きたいなと思ってこういう書き方をしましたが…、この重要な存在に対する、少女や家族たちの深い深い愛情のつながりが、たとえようもなく尊くてすばらしいものだと感じました。

    少女の思考はときおりまだるっこしくてややっこしくて、心理学者の血をしっかり受け継いでいる感じもありますが、基本的にはとてもキュートで素敵です。長い長い葛藤を乗り越え、彼女が過去と向き合い、そして大切な存在と再会する場面が、とてもとても良かったです。

    長くて、しかも翻訳物という敷居はあるけれど(そして重要な要素を明かしにくい)、読んでもらいたいなあと思えたお話でした。

  • 何が家族を作るのだろう。
    何があれば家族と呼べるのだろう。
    様々な人の醜悪さ、繋がっては切れ、切れては繋がる糸。
    静かに揺さぶられる小説だった。

  • 各章の扉に書かれているのがカフカの「アカデミーへの報告」だし、姉の正体については初めから「何かある」と思っていたので、さして驚かなかったのだが、時代を行ったり来たりしながら見えてくる、姉を失った家族の姿に言葉を失う。
    家族愛、兄弟愛の話ではあるが、人間と動物の違いはどこにあるのかを考えさせる物語であるし、記憶のねつ造についての話でもあるし、人間の奢りを否応なく認めさせる物語でもある。
    妹を失って人生が大きく変わってしまった優しい兄、苦渋の選択を迫られた両親、自分が姉と分かちがたく一つであったことと、決して同じにはなれないことを考えずには生きられない妹。直接は語られないが、いきなり家族から離されて、獣の群れに放り出された姉の苦しみと絶望は胸を締め付ける。
    背景、ディテールの書き方も見事で、出てくる学者の実験や本や映像も物語をしっかり支える。(ケロッグ博士の評伝は絶対読まなきゃ。)
    すごい作家だなあと思わずにはいられない。
    それにしても『チンパン探偵ムッシュバラバラ』はともかく、『ジャングルの王者ターちゃん』にここで出会うとは思わなかった。ほんと、どこまで調べてるのか。

  • アメリカの作家カレン・ジョイ・ファウラー、2013年発表の小説。

    ネタバレにならずに感想を書くのが非常に難しい作品。
    前半は抜群に面白いのに、物語りの構造がわかってしまう後半は面白みが急速に失せてしまい残念。
    特異な環境で育った女性、その家族の崩壊と再生の物語りであると共に、社会的な問題を真摯に提起していて、論旨には全面的に賛同出来るのですが・・・。

  • 自分がある日「おまえは人間じゃなくてチンパンジーだから実験動物として施設にいけ」と言われたら、さぞかし怖かろうし絶望するだろう…と、素直に思った。
    自分の中にモンキーガールがいることに怯える主人公にも共感。

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私たちが姉妹だったころの作品紹介

2014年マン・ブッカー賞最終候補作
 「あたしファーンがこわいの」幼い日の自分のひと言が、家族をばらばらにしたのだろうか――。
 ローズマリーはカリフォルニア大学で学ぶ22歳。無口で他人とうまく付き合うことができない。かつては心理学者の父と主婦の母、兄と、双子にあたる姉ファーンのいる、おしゃべりな子だった。だが5歳の時に突然祖父母の家へ預けられ、帰ってみると姉の姿が消えていた。母親は部屋へ閉じこもり、父は酒に溺れる。大好きだった兄も問題児になり、高校生の時に失踪してしまう。ローズマリーがこの大学を選んだのは兄の手がかりを捜すためだった。
 アメリカでは1930年代から60年代にかけて、動物を一般家庭に持ち込んだある衝撃的な研究が現実に行なわれ、一家もその被験者だった。この作品は特殊な状況を背景として、家族を失った一家が、家族愛とは何なのかを問い、絆を取り戻そうとする姿を描く。動物と人間、人間の記憶の不可思議さ、きょうだいの愛憎、親子関係の難しさ、友人関係の悩みやいじめ問題など、さまざまなテーマが、幾重にも伏線を張りめぐらして精緻に織り込まれた、愛の物語である。

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