- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560095614
作品紹介・あらすじ
ピュリツァー賞受賞作!
ISILの指導者バグダディがカリフを自称し、イスラム国(IS)の「国家」樹立を宣言してから四年。この間、有志連合の空爆を受けるなどして勢力はやや衰えたとはいえ、今もシリア・イラクの各地で激しい攻防が続いている。このISの前身である「イラクのアルカイダ」は2004年、ヨルダン生まれの悪名高いイスラーム主義者ザルカウィによって設立された。
本書は、ザルカウィとその後継者を中心に、ISが生まれた背景から現在に至るまでを詳細に描いたノンフィクションである。街のチンピラがアルカイダとつながって国際的なテロ組織を主導するようになった背景には何があったのか。イラクのフセイン政権打倒に走った米国失策の誘因とは――。200人を超える関係者らの生々しい証言と精緻な裏づけにより構成され、丁寧な人物描写と複雑にからみ合った相関関係から、組織の構造や事件・事象の全体像を鮮やかに浮かび上がらせる。
中東取材20年のジャーナリストが独自の人脈を駆使し、スパイ小説さながらの手に汗握る筆致でISの変遷と拡大の背景を描き切った、調査報道の白眉。
感想・レビュー・書評
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トランプが来日したね。
ってな事で、ジョビー・ウォリックの『ブラック・フラッグス 「イスラム国」台頭の軌跡 上巻』
ヨルダンのチンピラから世界を震撼させるテロリストになったザルカウィの話。
宗教、信仰、侵略、報復、時代、カルト、色んな要素が絡み合って誕生したテロリストのザルカウィ。
時代背景がズレてたらザルカウィはこんなに成らなかったんじゃないかと思う反面、他の首謀者が現れてたのかと……。
永遠に終わりのないジハードに洗脳させるカルトが出来るなら、平和に共存出来る洗脳をしてもらいたい。
東京オリンピックでテロが起こりません様に
2017年46冊目 -
2020年11月15日読了
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ニュースでは知れない、テロという一言では理解できない、人々の生い立ち、経験、それが積み重なってある現状。
フィクション以上にことの運びがうつくしく、想像以上におそろしい現実。 -
ピュリッツアー賞受賞作。ザルカウィというジハーディストを中心にイスラム国の興亡を描いている。下手なスパイ小説より面白い。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou25601.html
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イスラム国がどのようにして生まれ、どんな経緯で広がっていったのか。上巻では、ザルカウィというヨルダン生まれの指導者の生い立ちと、彼がイラクで徐々に勢力を拡大していく様が描かれています。
この分野、個人的には全く詳しくなかったので本著は良い機会になりました。アメリカのイラク占領前に、ザルカウィはビン・ラディンから資金援助を受けていたんですね。
テロを起こす側、守る側双方の目線で描かれるため、登場人物は非常に多いのですが、綿密な取材に基づいた記述は臨場感があって、一人ひとりのキャラ立ち(と言っていいのやら…)がハッキリしていて読み物として面白く読み進められます。さすがピュリッツァー賞受賞作品。
読んでいて苦々しく感じたのは、アメリカがイラクで実施した政策のまずさ。(後からなら何とでも言えるのですが…)「衝撃と畏怖」作戦と称して戦術的には勝利したものの、現地の統治機構を破壊してしまって行政が成り立たなくなり、そこをザルカウィにつけ込まれてシーア派とスンニ派の対立構造、加えて米軍も含む三つ巴の争い状態が生まれてしまう。
上巻で面白かったのはヨルダンの情報機関GIDの活躍。「赤い悪魔」なんて二つ名がついている人物もいて、テロ計画への対処なんかのエピソードも面白かったです。
しかし本著、校閲不足の感が否めない。目を挙げると…ってどうやって挙げるんだ!似たような誤字脱字が5箇所以上あり、見つけるたびに集中力が削がれてしまったのが残念。 -
本書を読めば、イスラム国(ISIS)がどのような経緯で出来たのかが良くわかる。
ザルカウィと彼の死後のバグダディの活動が、膨大と思われる取材から非常に丁寧に記載されている。
アルカイーダとの微妙な関係や、イラクやシリアの情勢不安をうまく利用したり、周辺国の思惑の裏をかいたりと、テレビ報道からでは決して見ることのできない真の世界がここには記載されている。
断片的なテレビ報道だけで判断するのではなく、本書のような真実をいかにして世の中に広めていくかが重要だと思われる。 -
ヨルダン,イラクを経て,いかにしてザルカウィが力をつけジハーディストのスターにのし上がっていったかを丁寧に記述している.特にヨルダンの事情については知らなかったことが多く,負の連鎖が綿々と続く悲劇にやりきれなさを感じた.
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イスラム国のできるまでを緻密な取材に基づいて検証している.ピューリッツァー賞受賞.上巻では主に「イラクのアルカイーダ」を創立したザルカウィの生い立ちも含めた動向を中心に描いている.