地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み 関西2 近鉄・南海

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  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560096871

作品紹介・あらすじ

鉄道から近代日本を眺める

 近畿日本鉄道は都市間連絡や参詣、観光、信者輸送などさまざまな性格をもつ路線を抱え、約500キロの路線網を誇る大私鉄である。生駒トンネル建設で起きた事故、近鉄最大のターミナル・大阪阿部野橋駅の経緯などを振り返るとともに、吉野を目指し、また伊勢神宮への延伸を実現していった歴史を繙いていく。
 南海電気鉄道は現存する日本最古の私鉄である。大阪南部から和歌山にかけての良質な木材はよく知られていたが、海路での運搬方法は気象状況に左右されやすく、また高野山を目指す多くの参詣者や観光客のためにも鉄道敷設が強く求められた。
 南海の競合線JR阪和線は当初、阪和電気鉄道という私鉄で、その運転速度は戦前定期列車の国内スピード記録をもつ。これに対して、南海は昭和11年に「わが国で初めて冷房電車運転」を行なう。冷房車が大手私鉄の通勤列車に本格的に浸透するは昭和50年代以降である。
 昭和12年、日中戦争が始まると、贅沢な冷房は停止を余儀なくされる。私鉄の歴史は近代日本の歩みそのものとも言える。鉄道会社職員や沿線住民の声と当時の地図から「鉄道王国」日本の姿を浮かび上がらせていく。カラー地図多数。関東関西全5巻完結。

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらずおもしろいよねこのシリーズ。
    南海は阪堺線と平野線、近鉄もあすなろとか湯の山、養老あたりについても書いて欲しかったかな。

  • 古い地図と鉄道省の文章で私鉄創設期の状況を明らかにするこのシリーズもいよいよ関西最後、近鉄と南海です。

    近鉄の伊勢進出については「東への鉄路」という名著があるのでこちらの方が詳しいですが、南大阪線と南海電車については良く理解できました。

    非常に面白いシリーズなので、是非とも続けて欲しいです。

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著者プロフィール

今尾 恵介(いまお・けいすけ):1959年横浜市生まれ。地図研究家、エッセイスト、フリーライター。中学生の頃から国土地理院の地形図に親しみ、時刻表を愛読する。音楽出版社勤務を経てフリーライターとして独立、イラストマップ作成や地図・鉄道関連の著作に携わってきた。著書に『日本の地名おもしろ探訪記』『日本地図のたのしみ』『ふしぎ地名巡り』(以上ちくま文庫)、『地名の楽しみ』(ちくまプリマー新書)ほか著書多数。

「2023年 『ふらり珍地名の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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