ベケットと「いじめ」 (白水Uブックス 1083)

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  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560720837

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  • 対人関係の変化と混乱、そのメカニズムを捉えるのがドラマ。今日では人間がいる前にメカニズムがある。そしてそれを確かめられるという逆転現象。

    人間が主役でなく、関係が主役で関係のメカニズムを探ることで辛うじて人間が確かめられる。

    いじめ
    その日たまたま誰かによって初案されたほんの冗談のようなものか、陰険な意図のもとに企まれ、長期によって準備されたものか。重要な点として、彼らが意識してそうしたのではない。彼らが臆病だったから、卑怯だったから、横着であったからそうしたわけではない。

    いじめた子供達への復讐のために自殺する。
    現在の自殺は他殺に近くなってきていて、他殺は自殺に近くなってきている。自殺は自己主張として、他殺は自己否定として。

    うーーん、。逆張りで自殺する方が悪いとか、死にたいという人間は本当に死ぬ気がない人といって本当に限界にいる人を追い詰めるような言説だと思う。苦しくて読めない。ただ普通の人がいいそうなことを逆にしただけで、統合や超越が図られていない。これはどちらかといえばいじめで人を自殺させた人が読んだ方がいい本

  • 関係に回収されてゆく個、つまり孤。個々人の主張よりも、各人の関係を考慮し、「空気を読む」ことが必要な時代。それをひしひしと実感すると同時に、空おそろしくもなった。

  • 「関係」をキーワードに20年前に書かれた演劇論だが今尚示唆に富む。
    演劇は、20%の理論化可能領域と、80%の「よくわからないけど演劇を演劇たらしめているもの」でできているそうな。

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著者プロフィール

1937年、旧満州生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。東京土建一般労組書記を経て、1967年、劇作家になる。岸田國士戯曲賞、紀伊國屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞、朝日賞など受賞多数。2020年3月3日逝去。

「2024年 『増補版 言葉への戦術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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