本格的: 死人と狂人たち (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
3.05
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本棚登録 : 84
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562036820

作品紹介・あらすじ

数学科助教授は、異常な興奮状態に陥ると天才科学者に変態し、これまで数々の論文をものしてきたという。その彼がフィールドワークと称する「覗き」、その最中に殺人事件が発生し、あろうことか自分が容疑者にされてしまう。疑惑を払拭するために興奮状態になった彼が指摘した「真相」とは。研究しているのかされているのか、微妙な線上に繰り広げられるへそまがり理系ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 「変態」
    ちょっと好みに合わなかった。増田氏のキャラクターが強烈で。キャラクターで読ませてしまうのはズルい。
    「擬態」
    「廃墟と青空」と言い、こういう本筋とはちょっとズレた話を延々と読ませるのが上手い。ネタには気づかなかったので、本講は落第ですね。
    「形態」
    あり得ない話を信じ込む感じは帯の山口氏の作風に近いかも。本当に何処に落ち着くのかわからない。非常にスリリングな読書。初めはクローン→子供を動物病院に持ち込む不可解な母親→動物園での誘拐→不妊治療→すり替えと運命的な出会い。誘拐ネタはこうも出来るのかと。
    「実体」
    やっぱり「本格的」というより「偏執的」だよ。と笑いながら読んだ。素敵。

  • またまた変わった作品でした。
    綾鹿科学大学の教授たちに関連する3つの事件からなる短編集ですが、最後に読者への挑戦があり、とてもサービス精神のある一冊です。

    「変態」…数学科助教授の増田はフィールドワークと称する覗きの現場で女子学生の他殺体を発見する。
    容疑者となった彼は、異常な興奮状態に陥ると天才科学者に変態するという特性を利用し犯人を推理するが。。。
    とにかく変態っぷりにあぜん。いいのでしょうか、こんなので。

    「擬態」…理学部生物学科講師・上手による擬態の講義が展開されます。
    毎回丁寧にレジュメを作成し最後にはこれらについての試験が。これも一種の読者への挑戦状ですね。
    擬態の講義がとても興味深かったです。勉強になりました。

    「形態」…学長の関は後輩の甥がクローンではないかという疑惑を持っていた。
    そして起こった甥の誘拐殺人。はたして犯人とクローンの真偽は?
    これまたクローン技術について興味深く読みました。
    真相はまあ、よくありますよね。

    そして「前期試験」という読者への挑戦を挟み、補講の「実態」で楽屋オチ。
    最後まで楽しませていただきました♪

    3つの事件にでてくる谷村と南の刑事コンビのやりとりも笑えました。
    出てくる名前といい、やっぱり東川さんを思い出します~。
    鳥飼さん、まさかこんなお話を書かれる方だったとは。名前とタイトルで硬い文章を想像していたので良い意味で期待を裏切られっぱなしです。
    しかし本書の装丁、ほんと気が抜けます。

  • 全体的には「やり過ぎ」感が漂う。どの話もオチが……。ふざけているのは嫌いではないが、それが成功しているかどうかは、また別。

  • おもしろいような、おもしろくないような。
    最後のは完全に蛇足だな。

  • 本格的 死人と狂人たち
    200809読了。
    今年61冊目今月2冊目。
    #読了
    #本格的
    #鳥飼否宇

    図書館本。
    短編集なのだがそれぞれ登場人物のアクが強い。
    「擬態」がベスト。
    講義そのものが面白いが、そこにネタをしかけたのか!という驚き、小さな違和感が、全部伏線。

    本格のようで本格でない、絶妙なタイトル。行き過ぎな感も否めないが。

    真面目に不真面目ね。

  • 美しき数式で人間社会を解き明かしたいもとい覗きがフィールドワークの変態さん。
    告発を擬態の講義に擬態させる狂人さん。
    綾鹿科学大学ではヘンテコどもが教鞭を執っている。
    確執なんかも生じている。
    ときに執拗に配置された伏線が、そこら中に蔓延っている。
    てなもんで、変な謎解きが4つ。このしょーもないひと時に味わいがあるのです。

  • 本格的なバカミス、あるいはユーモアミステリ。
    二話目の「擬態」のアイディアが物凄い。純粋に、擬態の講義が興味深く、夢中で読んだ。
    「変態」「形態」もなかなか。増田先生、面白いです。

  • 変態のよる論理のアクロバット。一点突破してる感がよかったです。

  • 評価が難しい作品。作中で自ら指摘しているように本格っぽい作品であり、本格ではない。では本格とは?と言うのも難しい問題であるが、この作品の中でその答えは学長の名前と同じくぼやかしてしか提示されていない。覗きの為にアパートの一室を借りてしまう増田教授の努力だけが印象的になってしまったのが悲しい。官能的の前にこちらを読んだほうがよかったかな。

  • 擬態について非常に勉強になった(笑)登場人物が個性的で結構好きです。

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著者プロフィール

1960年福岡県生まれ。九州大学理学部卒業。2001年『中空』で第21回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。主な著作に「観察者」シリーズ、「綾鹿市」シリーズなど。碇卯人名義でテレビドラマ「相棒」シリーズのノベライズも執筆。2016年『死と砂時計』で第16回本格ミステリ大賞【小説部門】を受賞。

「2021年 『指切りパズル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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