- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562040711
感想・レビュー・書評
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刀城言耶シリーズの中で傑作との呼び声高い、第三弾。
本書を読むために、第一弾・第二弾を読んできたようなものなので“さぁて、どれほどのものやら・・”と、ハードル爆上げで読み始めました。
舞台は奥多摩にある〈媛首村〉。
そこに代々続く旧家・秘守家の儀式で、一族の子供の成長・無事を願う「十三夜参り」の最中に、秘守家筆頭・一守家の双児の妹・妃女子が首無し死体で発見されます。
その事件の10年後、双児の兄で一族の跡取り・長寿郎の花嫁を選ぶ儀式「婚舎の集い」でも、花嫁候補者の一人が首無し死体で発見されるという惨劇が再び起こってしまい・・。
とにかく、仕掛けが満載!
シリーズお約束の、おどろおどろしい雰囲気でホラー要素もありますが、内容はゴリゴリのミステリです。
今回は、“首無し死体”がゴロゴロ(汗)出てくるのですが、“対象の入れ替え(首無し死体といえば、まずコレでしょ)”をはじめ、その件についてのありとあらゆる仮説が事細かに検証されるのがポイント。しかもご丁寧に箇条書きになっております。
所謂“読者への挑戦状”的な謎解きに、“受けて立つ”タイプの頭を使うのが好きな方には、もうホクホクの面白さだと思います。
片や、頭使うのダルいなー・・という方には細かすぎる検証が冗長に感じるかもしれません。
とはいえ、めくるめくトリック(密室や入れ替え、叙述もあるよ!)&ロジックに、ミステリの醍醐味を堪能しまくれるのは確かです。
で、圧巻なのが終盤の真相解明部分で、もう二転三転のどんでん返しの連続で、最後は“結局、誰が誰なの・・・?”と煙に巻かれてしまった感じで、啞然となった状態で本を閉じた私でした。
そして、真相がわからんままな事象もいくつかあって(ex,幼少の頃の斧高の家に訪ねてきたのは一体誰だったのか?岩槻刑事の事件は何だったのか?・・等々)、その謎な部分が却ってゾクっとするような余韻となっている印象です。
因みに、こちらは勿論刀城言耶シリーズではあるのですが、言耶はちょっとしか出てきません(言耶の登場云々についても仕掛けがあるんだな、これが)。
で、そんな少ない登場シーンの中で、高屋敷巡査と汽車の中で遭遇した時に言耶が食いついた“山魔”が、次作『山魔の如き嗤うもの』への布石になっているよね・・ということで、こちらも読むしかないやん、と意気込んだ次第です~。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分には難読だった。ただ、これでもかという展開に単純に驚かされたので、面白かったのかも知れない。傑作と称される方が多いので、自分の読解力の無さが悲しい。
科学が進歩した現代では、成り立たないストーリーであるからこその時代設定なんだと改めて思ったし、映像化は困難な作品だと思った。難解な漢字が所々あったので、もっと読みやすくしたら良いと思った。
どのくらいの方が、理解しきれているのか?そもそも理解する必要はなく、理解した範囲で楽しめば良いのか?
読み終え考察をネットで検索する気概もない。
落ち着いたら読み直したいと思う。 -
戦前と戦後に奥深くの山村で起きた惨劇を、およそ30年後に小説形式で記すメタ構成。何百年前の祟り伝説や土俗的風習が残る山村の一族で、跡目争いを背景に起こる殺人劇は、横溝正史の雰囲気漂う世界観。
初読の三津田信三作品。
事件が起こる舞台の全体像(マップ)がイメージしにくいのと、わざわざ難読漢字を使ってる文体も相まって、序盤は読み難かった。事件が起きつつ数多くの謎が処理されないまま物語は淡々と進み、頭の中ははてなマークてんこ盛りだ。終盤、それら多くの謎を一つ一つ列挙することで頭の中が整理され、ある事実をキッカケにあれよあれよと芋づる式に謎が解けていく様は爽快。さらには二転三転の背負い投げでぶん回しつつ、ゾワッと終わらせるラストは、まさしく本格とホラーが融合した着地。一本!
週刊文春ミステリーベスト10 5位
このミステリーがすごい! 5位
本格ミステリ・ベスト10 2位
ミステリが読みたい! 3位
《刀城言耶シリーズ》
1.厭魅の如き憑くもの
2.凶鳥の如き忌むもの
3.首無の如き祟るもの
4.山魔の如き嗤うもの
5.密室の如き籠るもの
6.水魑の如き沈むもの
7.生霊の如き重るもの
8.幽女の如き怨むもの
9.碆霊の如き祀るもの
10.魔偶の如き齎すもの
11.忌名の如き贄るもの -
文春文庫の「東西ミステリーベスト100」62位。
読みたいとずっと思っていてやっと読めた作品。
乱歩や横溝正史が好きならきっと好きな世界観だと思う。
この頃の雑誌名とか文豪たちのつながりとかその辺を読んでいても楽しい。
古い因習が残る旧家。本家の跡取り息子の花嫁候補の分家の3人。本家が娶るのは誰か?
この辺りでもう横溝正史の世界。
そして起こる連続殺人事件。
何故、首は切られたのか?解き明かしがまた良かった。
刀城言耶はあまり出てこないけれど、最後の解き明かしでは…!
なんといっても最後のつまりこれって…?という謎かけが余韻をもたらす。
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刀城言耶シリーズ第三作。
久しぶりに再読してみた。やはりシリーズの中ではかなり好きな作品。
横溝正史先生と江戸川乱歩先生への尊敬の念が感じられるような内容で思わずニヤニヤしてしまう。特に江川蘭子が出てきたクダリなんて。
『首のない死体』というテーマは『密室』と同じくらい、ときにそれ以上にソソられるものがある。
今回はその『密室』と『首のない死体』が合体しているのだから堪らない。しかも『首のない死体』は一体ではないのだ。
終盤の『首の無い屍体の分類』という章で解説されているパターンの中に今回の事件の場合は当てはまるのか、それとも更に新しいパターンがあるのか、とワクワクする。
個人的にはやはり今回の事件のようなパターンが一番好き。
一体そこにどんな真実が隠されていたのかとワクワクする。
まさに横溝先生チックな閉鎖的な一族とその一族ならではの因習、束縛、抑圧…もう期待度が否が応でも増していく。
ただこのシリーズの油断ならない点はミステリーとして謎解き、犯人当てで解決とはならないところ。
読後スッキリしたい方には向かないかも知れないが、敢えてそこを狙っている作家さんだから、そこは読者もああでもないこうでもないと妄想を膨らませてみるのも楽しいかも知れない。
しかし他のレビュアーさんも書かれている通り、果たしてこれを刀城言耶シリーズとして良いのかどうか…(これ以上はネタバレになるので書けない)。
シリーズの次作となる作品への伏線はあるのでそこは楽しめた。 -
シリーズ一冊目が挫折したのでこれもなぁ…と思ってて、実際はじめはイマイチのれなかったのですが、途中から気になってきて最終的にはどんでん返しが面白かった。そうなるとは!ちゃんとミステリ的オチでびっくり。
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刀城言耶シリーズ3作目。
でも、刀城言耶は少ししか出て来ないです。
今まで読んだ2作品と同じで、前半はちょっと読みづらい。
後半・・・というか、最後になってバタバタと謎解きが始まるのだけど、このシリーズで面白いのは何通りかの推理が披露される事だと思う。
このおかげで、物理的に成り立っているからと言ってその推理が真実とは限らないという基本的な事実を再認識する事が出来るのがいい。
いくら推理が真実に近くても、すべてを明らかにする事は出来ないだろうな、と思わせてくれる。