虚空から現れた死 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

  • 原書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562040902

感想・レビュー・書評

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  • マジシャン探偵”ドン・ディアボロ”もの。中編2編収録。
    グレート・マリーニシリーズで有名な作者ですが、こちらの探偵もなかなかの外連味溢れるマジシャンで。
    スピーディーな展開やマジックを使ったアレコレ、不思議で不可解な事件が起きる→これはマジシャンのディアボロが犯人に違いない! と、猪突猛進で追っかけてくるチャーチ警視にくすっと笑いつつ、ディアボロの周囲を固めるお馴染みのシリーズキャラクター(チーム・ディアボロと呼んでも良い息の合ったやりとり)のキャラ立ちっぷりが面白い。
    これはどちらかというと、これを原作にドラマで見たいタイプの話ですね~。視覚映えする。

  •  ロースンと言えば手品師探偵マーリンで、いくつか忘れられない印象の名作を残している。彼の生み出したもう一人の手品師探偵が主人公ドン・ディアボロ。マーリンの弟分といった雰囲気である。

     マーリンシリーズはどちらかといえば、異色ではあるが正統派の本格ミステリというどっしりとしたものを感じる。マーリンも、なかなかに知的でエレガントな雰囲気である。一方ディアボロの方は、もっと活動的で派手だし、スペシャリストをそろえたチームを持ってたりして、ずっと現代的な印象がある。ペリー・メイスンや、同じガードナー作のレスター・リースシリーズに通じるものがあるように思う。

     出てくる事件は、不可能趣味とちょっとしたオカルティズムに彩られたもので、マリーンシリーズやディクスン・カーの諸作品によく似ている。見えない男が殺人を犯して逃げていったり(実際に見えない男が葉巻を吹かし、煙が出たりする)、密室で巨大なコウモリと共に首筋に噛まれたような傷跡のある女性の死体が発見されたり、である。挙げ句の果ては、探偵役のディアボロ自身がさっさと消失したりする。謎のてんこ盛りという点では、ものすごく贅沢だ。

     解決はちゃんと論理的で、さすがにロースンと思わせるような部分もある。ただその一方、物語の展開を優先したためか、ちょっと無理矢理だなあと思ったり、無理があるんじゃないかなあと思ったりする部分も多い。先ほどの葉巻の煙の種明かしなどは、実に笑えた。

     それよりも、話の展開が早いわりに文章がこなれていなくて、ついて行くのに苦労してしまった。もしかすると翻訳のせいなのかもしれないし、元の文章が「書き殴った」という勢いを大切にしているからなのかもしれない。じっくり読めばわかるのだけど、じっくり読むと逆にあらが目立ってしまうし、やっぱり残念だけど今ひとつ。おもしろいんだけどね。

  • クレイトン・ロースンの本はグレート・マーリニが探偵のものを読んだ事がありますが、もう1人のマジシャン探偵ドン・ディアボロものは本書が初になります。
    地上5階の部屋にいた若い女性はコウモリの鳥小屋…と言い残して死んでしまいます。
    閉められていた窓は大きく開き、そこからコウモリが空へと羽ばたいていき、彼女の喉には小さな赤い傷が残されていました。
    コウモリが殺したとしか考えられない状況に疑いの目は隣室にいたドン・ディアボロに及びます。
    全てを明らかにする為にディアボロは謎を解明していきます。

  • まるでライトノベルを読んでいるかのよう。個性的なキャラクターがそれこそ次から次へと登場し、次から次へと事件が起こる。犯人と探偵役のドン・ディアボロの丁々発止のやり取りや、彼が嫌疑を受け、警察との対決、消失、また事件と息つく暇のない展開が飽きさせない。
    「過去からよみがえった死」は、真相解明よりはそこまでの過程が面白い。ディアボロの消失トリックや、降霊会の怪奇現象など、謎のつるべ打ち。むしろ真相は肩透かしって感じか。
    「見えない死」は前作よりも良い。同じく展開が魅力の大盤振る舞いって感じで面白いし、何よりスピーディ。そしてこっちは真相がかなり意外で、トリックも面白い。もう少し腰を据えて、もう一度ちゃんと読もうと思った。

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