螺旋の底 (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
3.35
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本棚登録 : 144
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562049028

作品紹介・あらすじ

屋敷の中央をつらぬく螺旋階段。その底は牢獄のように暗く、厳重に旋錠され、陰惨な過去を封じ込めてあるのだという。その家に嫁いできた彼女の目的、それは「螺旋の底」をあばくこと。また、いっぽうの夫も彼女を迎え入れたのには「ある理由」があった-。

感想・レビュー・書評

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  • 屋敷の中央をつらぬく螺旋階段。
    その底は牢獄のように暗く、厳重に施錠され、陰惨な過去を封じ込めてあるのだという。
    その家に嫁いできた彼女の目的、それは「螺旋の底」をあばくこと。
    また、いっぽうの夫も彼女を迎え入れたのには「ある理由」があった―。

    あ~、またこの手のトリックにひっかかってしまったぁ!
    という深木さんの3作目。
    いかにもな一人称で、そこはかとない違和感を覚えていたにもかかわらず完敗・・・。
    エピローグでめちゃめちゃ混乱しましたから。
    細かい点を精査しながら読むタイプではないので仕方ないとはいえ。
    「そこ」は全く疑ってなかったもんなぁ。
    再読必至。

    ラストが説明的すぎるのと、殺人トリックについてイマイチわかりにくかったのがマイナスではありますが。
    しかしここまで全作ハズレなし、って本当凄い。
    当然、次も期待しちゃうな。

  • (No.13-30) ミステリです。

    内容紹介を、表紙裏から転載します。
    『屋敷の中央をつらぬく螺旋階段。
    その底は牢獄のように暗く、厳重に施錠され、陰惨な過去を封じ込めてあるのだという。
    その家に嫁いできた彼女の目的、それは「螺旋の底」をあばくこと。
    また、いっぽうの夫も彼女を迎え入れたのには「ある理由」があった。』

    深木さんの今度のミステリの舞台は日本ではありません。鉄道を使えばパリから2時間半あまりしかはなれていない、北フランスの静かな村ラボリ。
    その昔にはこの地域を支配していたゴラーズ家は少しずつ没落してはいますが、今でも権威があり村の名士です。
    第二次大戦直後に村で起こった事件の中心だったゴラーズ家。村人は全員知っていて、でも口をつぐんでいます。被害者側、加害者側全員が。

    まるでお城のような大きなお屋敷。
    嫁いできた妻は、何か目的を持っているらしい。そのためにあえて結婚したみたい。
    夫も秘密を持っているよう。
    使用人なのに屋敷に君臨している家政婦のデュポン夫人。
    通いの使用人だが財産管理も任されている男で寡黙なジャン=ルイも何か謎めいていて。

    おどろおどろしい雰囲気、全員腹に一物!何が目的?何があったの?
    早く知りたくてついつい読むスピードが上がります。
    視点や相手に対する呼びかけ方が巧妙で、やっぱりうまくやられてしまったわ。はぁ~そうだったんですね!
    でも、気持ち良いだまされ方でした。殺人事件が起こるのですが、あっさりした描き方だったのであまり心を動かされなかったのは逆に良かった気がします。
    最後の方で一気に説明してしまってますが、出来ればじわじわと読者自身に気付かせて欲しかったかな。

    もう一度確認したくてページをめくる・・・こういう楽しみがあるミステリが好きです。

  • 久しぶりの叙述ミステリー。非常に面白かった。先日読んだ「欺瞞の悪意」も本格ミステリであるが、こちらは舞台が日本でなく時代も今から100年ほど前というちょっとゴシック味があって個人的にこちらの方が好み。いわゆるリアリティや社会問題、風刺といった別の要素も同時に楽しめる社会派ミステリとは対極にあり、純粋にトリックや謎解きや雰囲気を楽しみたい、もしくは構成や演出が上手くできているため「騙されたい」人にオススメです。以下、読んでる最中の感じた違和感をいくつか列挙しました。

    ・女性視点のパートの時は、女性の名前が会話文に登場しないこと。
    ・女性視点のパートではお互いシェリー(英語で言うところのダーリン)呼びだったのに
     男性視点のパートでは女性の名前が明記されていること。
    ・後から気づいたことだがそれぞれのパートでフォントが異なる。これは後から気づいたが、読んでるときは違和感を感じたが特に気にしなかった。
     よくよく考えると、男性視点パートのフォントはゴシックに感じさせる演出がされている。

  • 2019.06.27 図書館

  • 屋敷の中央をつらぬく螺旋階段。その底は牢獄のように暗く、厳重に施錠され、陰惨な過去を封じ込めてあるのだという。その家に嫁いできた彼女の目的。それは「螺旋の底」をあばくこと。また、いっぽうの夫も彼女を迎え入れたのにはある理由があった……

    思いがけず舞台はフランスでした。本人と夫視点でのキャラクター差に違和感めちゃめちゃあったから種明かしでスッキリはしたけど、なんか座りの悪い終わり方だった。なんで一回犯人仕立て上げまでして終わりにしたのに今頃になってやっちゃったの?ぶり返したの?そもそもなんために殺してたの?少年限定の性愛者になったってこと?お互い都合良い結婚だと思ってたのに終わりかけになにゆえ急に妻の浮気が気になりだすの?統合するための夫の行動が腑に落ちないことが多くて気になってしまった。

  • 再読必至の、目をみはる逆転劇!
    外国が舞台の作品ですが、翻訳作品と違い読みにくさもなくさらりと読めました。
    要塞の様な屋敷、不気味すぎる螺旋階段の底、各々の秘密…。雰囲気のある作品。
    欲を言えばキリがないけど、殺人鬼の心理等はもう少し描いても良かったのでは。

  • 深木さん三作目。
    いきなり外国の話で戸惑ったが読みやすいので入り込めた。
    ミステリーというよりはサスペンス? 新婚夫婦それぞれに相手に隠し事があり、新婚生活を送る館や同居する家政婦や下男にも秘密がありそうで。
    それぞれの目論見が早い段階から分かってしまうのであとはそれらがどういう結末を迎えるのかを見つめるだけ…と思っていたら、最後に明らかになるトリック。
    ただ個人的にはこのトリックがあってもなくても展開に変わりはないかな、と。このトリックを突っ込んでくるなら何故もっと凝った結末にしなかったのかなと疑問。
    まぁ楽しめたから良し。

  • どんでん返しがうまいなあ。思っていた人物と違うとは。舞台が海外だと、ちょっとイメージがわきづらくて敬遠しちゃうけど、確かにこれは日本が舞台ではなくてヨーロッパが似合うかも。

  • 北フランスの村にあるゴラーズ邸の中央をつらぬく螺旋階段。その底は陰惨な過去を封じ込めてあるのだという。ゴラーズ家に嫁いできた女の目的、それは「螺旋の底」をあばくこと。また夫にも彼女を迎え入れた理由があり…。

    フランス人の母と日本人の父をもつ女の復讐であることが最後にわかる
    17年前と連続殺人事件と犯人の二番目の妻となる話が交互に出てくる

    フランスがドイツに侵略されていたヴィシー時代
    レジスタンスが密告により拷問され殺された。
    密告者は戦争後、殺されて城の地下室に埋められた
    田舎の有力者の権力が強く、警察も調べない

    権力者の子孫は殺人鬼
    少年を殺して地下室に埋めていた
    地下室への扉の鍵を子供の頃に発見

    城の家政婦は城主の愛人。正妻との間には子供ができず、殺人鬼の実母。連続殺人をしていた息子の犯罪に手をかす。

  • フランスの小さな田舎の村、その丘の上に建つ要塞のような地主の建物。その建物には特徴的な螺旋階段があり、封印された地下倉庫には陰惨な過去が眠っている。
    その屋敷の主のもとに嫁いできた、人には言えない思惑を秘めた女と、異様な裏の顔を持つ主の男の物語だ。
    すっかり最後まで騙されて、種明かしをされてああっとなった。
    定番といえば定番かもしれないけれど、とても緻密に描かれたミステリーの王道だ。

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著者プロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目の作家。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』『ミネルヴァの報復』『消えた断章』『罠』など多数。

「2023年 『欺瞞の殺意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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