- Amazon.co.jp ・本 (94ページ)
- / ISBN・EAN: 9784566010710
感想・レビュー・書評
-
うたがう気持ちなどなかったのに、人から悪意を吹きこまれてすっかりそちらへなびいてしまう王さま。
ほこりたかきガチョウのガーウェインは、自分が信頼していた王さまがそんなふうになってしまい、また友人たちも自分を見捨てたことにショックをうけ、逃げだして世捨てびととして生きることに……。
そのころ「真犯人」であるねずみのデレクもまたこころをいためていた。
それぞれの弱さと、つらさ、贖罪。この物語では、それを法のさばきではなくお互いのこころとこころのぶつかり合いと赦し合いで描いてみせる。
ちょっとぐるぐると話が回るところもあるけど、こころの動きがていねいにえがかれた秀作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
盗まれた人、盗んだと思われた人、実際に盗んだ人。疑った人、疑われた人、疑われなかった人。全員傷を負った。が、負けなかった。反省し許し許され。
でも罪を犯した人は最後に告白しなくてよかったんだろうか。告白させてもらえず抱えていかなければならないということが罪に対しての罰なのかもしれない。 -
短いお話でしたが、
これは大人も楽しめるとてもよい児童書でした。
主役は宝物庫の見張り番のガチョウさん。
見張っても見張っても、どんなにがんばっても宝物が消えていってしまうのです。
犯人は誰なのでしょう。なぜ宝物は消えていってしまうのでしょう。
犯人さがしのミステリーあり、
友情あり、道徳的なところもあり。
さて、1番後悔しているのは誰だったでしょうね。
とてもとてもよいお話でした。
むすめにも読みたいと思います。 -
超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超気に入ったよ!
-
今年の小学校一年生に読んでやりたい絵本50冊
その50
ウィリアム・スタイグは絵本界では有名で、巨人の一人です。
「ロバのシルベスターと魔法の小石」は確実にいつも良い絵本リストに入ってくる一冊でしょう。
アニメになってヒットした「みにくいシュレック」もご存知の方は多いでしょう。
でも幼年文学を知っている人はそんなにいません。
「盗まれた宝物」は音読したらどのくらいかかるか……。
学校で読むなら4回くらいかかるかなぁ。
ガチョウのがーウェンは宝物倉の番人でした。やりたくてやってたわけではありません。ガーウェンだって毎日いろんなことをしたかった……。でも王様に頼まれたので、王様を敬愛していたお人好しのガーウェンは、王様のためなら、と引き受けていたのです。
ところが宝物倉から宝物が消え始めたのです。
そして驚いたことにガーウェンは逮捕され、裁判にかけられ、鍵を持っているのは誰か? 王様と私だけです、では、私が盗んだというのか?とんでもございません、というやりとりのあと、ガーウェンと目があった友だちが、みんな目を反らせたのを見てしまったのでした。
絶望でいっぱいになったガーウェンは空へ逃亡し(ガチョウは羽がありますから)遠くの森で孤独と悲しみに苛まれながら逃亡生活を送るのでした。
そうしてそこにもう一人、愕然としているものがいました。犯人です。
ただきれいだから、ともって行った犯人は、もし自分がやったといえば、ガーウェンと同じ目に合わされるのかと思うと怖くていいだせなかったのです。でも、無実の罪で苦しんでいるガーウェンを思うと犯人もまたみじめな、つらい暮らしになりました。
という、これは冤罪事件、の物語なのです。
これが児童文学の真骨頂……。
これを大人の小説で書いたら登場人物は何百人にもなる600ページほどの分厚い本にならざるをえません。
でも子どもの本の、擬人化、という手法をつかえば、登場人物は10人ほど、100ページの物語にできるのです。
しかも読んだあとのショックはガチョウのほうが上だろうと思います。
短いほうがショックは大きいでしょうから(ですから、分厚い大人の小説は、そのかたち、でしかできないことを狙うのです)。
この話にスタイグがどう決着をつけたかは、読んでからのお楽しみです。
大人なら、15分もかからず読めるでしょう。
スタイグも外れのない作家ですが、この本が日本に翻訳されたのは1977年ですから、もう45年も前の作品です。
が、いまだに現役、最前線の物語だと思います。
2022/09/30 更新
※こちらは以前も紹介済みですーーーーーーー
◆◆ ベッドでミステリー ◆◆ 第二十一回
・・・ 第二十一回 「ぬすまれた宝物」 ・・・
ウィリアム・スタイグの子どもの本で、たった100ページですが、大人をも十分満足させるでしょう。
ガチョウのガーウェンは、別にやりたかったわけではないのですが、王さまが大好きだったので、我慢して宝物殿の番人をしていました。
ところが……。
どんなに必死に頑張ってもお宝が消えていくのです。
そうして裁判にかけられたガーウェンは、
鍵は誰が持っているか?
私と王様だけです
と答え、有罪、といわれ、その上、それまで友だちだと思っていた人たちがふいっ、と顔をそらすのを見てしまいます。
絶望したガーウェンは空を飛んで逃げ出し、逃亡者の暮らしを始めるのですが……。
そうしてそこにはもう一人絶望した人がいたのです。
犯人です。
まさかガーウェンが有罪になるとは思わず、でももう怖くていいだせなくなってしまった彼は考えに考えてガーウェンを探しにいきます。
そう、これは犯人探し&冤罪事件の話なのです。
そうしてそれをリアルではなく動物を主人公にしてしまえば登場人物たった10人で表現できる……。
結末がどうなったかは、読んでみてのお楽しみ。
児童文学の強みを最大限活かした傑作です。
2018年06月26日 -
絵本作家で有名なスタイグの読みもの。
序盤はミステリー仕立てで、面白かったです。
真犯人の苦悩あたりから大団円までは、スタイグらしい流れでした。
古い本ですが、エスプリの効いたいい掘り出し物でした。 -
ガチョウのガーウェインは王様の宝物殿見張りの役主任。宝物殿から宝石がなくなった。かぎをもっているのは王様とガーウェインだけ・・。
(『キラキラ子どもブックガイド』玉川大学出版部より紹介) -
ミステリーだった!! 絵も可愛らしいし、全く古さを感じさせないたします内容に拍手しました。オチも、誰も傷つかない終わり方で、現代の子どもたちも楽しめる内容だと感じました。
-
宝物庫の番人のガチョウが主人公。宝石が盗まれた罪をなすりつけられてしまう。本当の犯人は?本当の犯人は反省はしているんだろうけれど、王からの裁きは受けなくてよかったのか?とも思ってしまう。苦しんだのかもしれないけれど、無実の罪を着せられたほうがつらいのでは……。
-
想像していたオチではあったけど、私的には逃げ切ってほしかったな。
王様とかが一生後悔するオチがよかった。