ぼくのつくった魔法のくすり (ロアルド・ダールコレクション 10)

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  • Amazon.co.jp ・本 (149ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566014190

感想・レビュー・書評

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  • 舌の先がピリっと来るような、ロアルド・ダールの毒に痺れてみたい時がたまにある。昔話や民話の世界でも、英国のお話って洒落たエッセンスのものが多い。
    ええ?これで子ども向けなの?これでいいの?という類の話がまぁ多いこと。
    映画も然りで、ひと癖もふた癖もあって、ストーリー展開がまるで読めなかったり。
    そしてこのお話も「児童書のふり」をしているが、「良い子のみんなは決して真似しないでね」というお話。
    ところが困ったことにこれが面白いと来ている。自分の中のブラックな部分を秘かになだめるためにも、こういう本は必要かも(笑)。

    怪しげな薬を作るジョージ。
    大鍋に入れるものがまぁすごいこと。シャンプー、練り歯磨き、マニキュア、犬のノミ取り粉、缶入りカレー粉、エンジンオイル、その他諸々。。
    それと言うのも、意地悪なグランマをちょっぴりギャフンと言わせてみたかったから。(このグランマのイラストが、実に嫌味な感じに描けている)
    さて、薬の時間にそれを飲ませてみたら・・

    頼り無さそうなお父さんとお母さんの、ラストの変貌ぶりも見もの。
    どうなる?まさか・・?と思いながら、その奇抜な発想に惹かれてどんどん読み進めてしまう。
    日本人だったら「こんなもの子どもに読ませられない!」と大騒ぎになり、あげくは発禁と言う事態になるかもしれない。
    文化の基盤がそもそも違うのでなんとも言えないが、一体どちらが成熟した社会なのだろう?

    作者は英国空軍の戦闘機パイロットとして従軍していたという。
    撃墜されて長く生死の境をさまよい、生還した後も脊椎損傷による後遺症に生涯苦しめられたのだとか。想像の中で描くブラックな話が、あるいは作者の秘かな楽しみだったのかもしれないな。
    この作品、子どもたちが大喜びするような気がする。
    大人の私が読んでこれだけ面白いのだもの。
    未読の方はぜひお読みあれ。でもどうかおおらかなお気持ちでね。

    • すずめさん
      nejidonさん、こんにちは!
      本書をにやにやしながら読み終えて、nejidonさんのレビューを読んで、またにやにやしていました。
      「自分...
      nejidonさん、こんにちは!
      本書をにやにやしながら読み終えて、nejidonさんのレビューを読んで、またにやにやしていました。
      「自分の中のブラックな部分を秘かになだめるためにも、こういう本は必要かも(笑)」…私もそう思います(笑)
      2021/01/31
    • nejidonさん
      すずめさん♪
      コメントありがとうございます!
      ふふ、私もすずめさんのレビューをニヤニヤしながら読みました(*'▽')
      ダールは大好きな...
      すずめさん♪
      コメントありがとうございます!
      ふふ、私もすずめさんのレビューをニヤニヤしながら読みました(*'▽')
      ダールは大好きなので、すずめさんのレビューがあがるたびに喜んでいます。
      そうねぇ、ああいうことは想像だけにしておかないとね(笑)
      日本では生まれない児童文学だと思いますよ。
      次なるレビューも楽しみにお待ちしてます!
      2021/01/31
  • 深緑野分さんに聞く 本の世界を楽しむ 歴史語る意義追究 K-Person | カナロコ by 神奈川新聞
    https://www.kanaloco.jp/special/serial/k-person/article-391634.html

    ぼくのつくった魔法のくすり|絵本ナビ : ロアルド・ダール,クェンティン・ブレイク,宮下嶺夫 みんなの声・通販
    https://bit.ly/33YlZCd

  • 原著を読んだあとに読みました。
    ダールのブラックさが堪能できる作品です。

    ジョージのグランマが、とことんイヤ~なおばあちゃんとして描かれているのに、にやり。
    本当に容赦なくいじわるに描かれていて、こんなおばあちゃんは嫌だな、とジョージを気の毒に思います。

    …が、グランマへの仕返しにジョージがとった方法に、さらににやり。
    毎日グランマが飲んでいる薬を、自分で作った魔法の薬にすりかえちゃえ!…と早速、ジョージは大きな鍋にいろいろなものをぶち込んでいきます。
    歯みがき粉やひげそりクリームなんかいい方で、床みがきワックスやら犬のノミ取り粉やら、果ては家畜用の薬までどんどん鍋に入れていくジョージに、だんだん清々しさを感じてきます。

    家の中にあるいろんなものをごちゃまぜにしたら魔法の薬ができるなんて!…というわくわく感。
    「めでたしめでたし」とは言い切れない余韻。
    楽しさと怖さのスパイスがちょうどよく効いたお話でした。
    大人になってはじめて本書を読んだけれど、もし小さい頃の自分が読んでいたら、はたしてどんな感想を持ったかな…ちょっと聞いてみたいな、と思うのでした。

  • 新書サイズで字は大きめ、イラストも多く30-40分で読めてしまいます。

    主人公のジョージはとても意地悪で嫌なことばかり言う実のグランマと一緒に住んでいる。そしてどうしてもそのグランマのことを好きになれない。

    グランマは一日に3回茶色の薬を飲む。意地悪への仕返しと、どうにかこの性格を治せたらという気持ちで、家にあるシャンプーやらシェービングクリームやらを混ぜて薬を作って飲ませたら、グランマの背がぐんぐん伸びて。。。という、ジャックと豆の木か?とツッコミを入れたくなるようなストーリー。こういう話、男の子は好きだったりするなと思いながら読みました。

    私が惹かれたのは、ストーリー自体よりむしろ作者の経歴や生きてきた軌跡でした。

    イギリス空軍のパイロットであったが不時着して長く生死を彷徨い、戦後に短編小説を書き始めて人気になったとのことで、王立美術大学で教鞭をとった時期もあるらしい。また重病の子供達に惜しみない援助をした人で、『たとえ短い一生であろうと、思う存分生きてほしい』という思いでこの作品を書いたのだと思って読むと、まったく違うものに感じる。

    8歳のジャックが主人公のようにストーリーが構成されていますが、実は背が伸びて二階の屋根まで突き抜けたグランマの台詞、『わたしゃ新鮮な空気が吸いたいんだ。何しろ20年も外に出た事がないんだからね!』が、大事だったのかと感じました。

    • Michiyo  Kさん
      nejidonさん、こんばんわ(^O^☆♪
      コメントありがとうございます。嬉しいです。

      nejidonさんの『読んでみたくなるような』レビ...
      nejidonさん、こんばんわ(^O^☆♪
      コメントありがとうございます。嬉しいです。

      nejidonさんの『読んでみたくなるような』レビューにいざなわれて初めてダールを読みました。そのほかにもnejidonさんの本棚からたくさんの『読みたい』が私の本棚に登録されて、充実してきました。

      この人が良いと言っているから読んでみようというのは、Amazonなどのレビューとは似て非なるものですね。
      2020/09/24
    • nejidonさん
      Michiyo Kさん、温かい言葉をいただき涙が出そうなほど喜んでおります。
      自分のレビューはあまり好きではないのですが、そのように読まれ...
      Michiyo Kさん、温かい言葉をいただき涙が出そうなほど喜んでおります。
      自分のレビューはあまり好きではないのですが、そのように読まれている方がいらしたとは。。本当に嬉しいです。
      何よりも、読んだ本についてお話できる方がここにいらしたということが、嬉しい。
      Michiyo Kさん、これからも色々な本を読んで参りましょうね。
      私ももう少し続けてみようという気持ちになりました。
      ありがとうございます。
      2020/09/24
    • Michiyo  Kさん
      え?もしかしてやめようと思われていたのですか?300人以上のフォロワーがおられるのに?
      直接コメントをしない方のなかにも、私のようにneji...
      え?もしかしてやめようと思われていたのですか?300人以上のフォロワーがおられるのに?
      直接コメントをしない方のなかにも、私のようにnejidonさんのレビューで次に読む本の候補を広げている方がたくさんおられると思いますよ。

      本を読んだあとに、あの人はこれをどう思ったのかな?と思う時間も楽しいですよね。

      これからもよろしくお願いします^_^
      2020/09/24
  • ダールの作品はとことんバカバカしくて、とことん笑える。そこが素敵。いじわるな祖母をぎゃふんと言わしたくて、そこら中のものを放り込んで作ったクスリを飲ませてみたら、あらビックリ。いやさ、ビックリどころじゃないんだろうけど。
    とことん面白いことを追求した、真面目におバカな物語。こういうのをもっともっと子どもたちに伝えなきゃね。

  • おばあちゃんにやる嫌がらせのつもりが、金儲けにしようとする話に移るなんて、そんな想像力に憧れる!*\(^o^)/*

  • 児童書に出てくるおばあちゃんって、たいていは主人公を導く賢人か、あるいは口は悪くてもすっぱりホンネで生きるすてきな人なんだけど、このグランマはホントにただのいやないじわるばーさんなのね(笑)。
    そしてこの魔法のくすりの大胆な作り方ときたら! ドバー、ボチャボチャ、ザザーッってなもんで、たまりません。『チョコレート工場の秘密』にもこういうブラックなテイストが感じられるけど、それを凝縮したような作品なのでした。
    そういえばわたしも子どものころ、オロナイン軟膏を水にとかして(とけなかったと思うけど)それを冷蔵庫にしまったことがあったっけ(笑)。思い出しました。

    【2011.12.13再読】
    なんと10年ぶりの再読。
    これ、よく読むと、お父さんがけっこうひどいな(笑)
    妻の母親であるグランマがきらいで、最後、小さくなるクスリを飲むようけしかけてるじゃないかw まあ、基本的にグランマ自業自得ではあるのだが。
    そして、くすりを作ったジョージがいささか茫然としているのにもかかわらず、読み手もどこか爽快感をくすぐられるという……これぞダールワールドなんだなあ。

  • かわいくて酷

  • 図書館から借りました

     ファンタジー 現代?
     意地の悪いグランマ(祖母)に、意地悪された男の子「ジョージ」。
     彼はおばあちゃんのために、素晴らしい薬を飲ませようと、家の中の薬品をあらいざらい鍋に入れて煮込んで薬を作る。

     ……無夜は子供ではなく、ある程度知識があるので「楽しく」は読めませんでした。
     だって「蚤取粉(劇薬毒物)」「ペンキ(猛毒)」……、「脱臭剤」「マニキュア」「脱毛剤」「エンジンオイル」。
     ……死にますよ? ちょっと、マジで逝きますよ?
     これを飲ませて、グランマは巨人になるのですが……いやはや、恐すぎます。
     洒落になりません。
     終わりも、しゃれになりません。

     猛毒な物語でした。
     さりとて面白くなかったかといえば、十二分に面白かったのです。
     ただ、入れるものに露骨な「毒物」はやめて欲しかった……。そんだけです。

  • ちょ、終わりかた……!
    これでいいんかいっ!って、ツッコミたくなる。


    そういや私も昔は、シャンプーと歯みがき粉と洗顔クリームと洗剤で、魔法のくすり作ろうとしたな。
    お母さんにこてんぱんに叱られたけど。

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著者プロフィール

ロアルド・ダール(Roald Dahl)
1916年9月13日 - 1990年11月23日
イギリス・ウェールズのカーディフにて、ノルウェー移民の両親のもとに生まれた。第二次大戦中にイギリス空軍エースパイロットとして活躍するが、事故で重傷を負う。その時代の逸話をもとに、作家デビュー。ブラックユーモアあふれる短編小説、児童文学の書き手となった。
代表作に、『チョコレート工場の秘密』。ティム・バートン監督にジョニー・デップ主演で『チャーリーとチョコレート工場』として映画化された。他にも『父さんギツネバンザイ』などがあり、『ファンタスティック Mr.FOX』として映画化された。

ロアルド・ダールの作品

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