走れ、風のように

  • 評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566024502

感想・レビュー・書評

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  •  赤ちゃんの時、他の兄弟犬と捨てられて海に漂っていた所を男の子に助けられたグレイハウンド。それから、人の悪意や勝手から3回も飼い主が変わる。しかし、どの飼い主の元でも愛情を注いでくれる人がいて、犬と人とがかけがえのない日々を送る。

     作者のモーパーゴは、戦争のお話ばかり書いている印象がありましたが、この本は珍しく違いました。

     スプリンターとして見事な能力を見せるグレイハウンドはドッグレースにレース犬として使われます。レースの役に立たなくなった犬は、愛護センターに送られ、良い飼い主に巡り合うこともあるけれど、中には行き場がなく銃殺され、野に埋められているそう。その数、15年くらいの間に一万頭も。このことが書かれた新聞記事を読んで、作者はこの物語を書きたいと思ったそうです。

     犬が人の犠牲になる話は、申し訳なく、辛すぎて読むのを躊躇いますが、このお話は、どの飼い主の元でもその時々で名を変える一頭のグレイハウンドが、いきいきと飼い主との絆を愛おしみながら駆け巡っている姿が想像できて、良かったです。ただ最後、ちょっと納得いかない事がありましたが…。
    表紙の絵も素敵です。

  • 本書の主人公は、一匹のグレイハウンド。
    彼は、天性のスプリンター。
    ドッグレースでもその優秀さは発揮される。
    しかし、彼は....

    幼いころから、三回パートナーが変わる。
    人間の身勝手な理由によって。
    しかし、彼はどの場所にいても、その運命を受け入れ、精一杯生きる。
    そして、その姿に、触れ合う人間達の中でとても大事な存在となっていく。

    本書は、ドッグレースのため飼育されるグレイハウンドの多くが、レースで走れなくなった後、処分されるという事実を知った筆者が、そのグレイハンドの物語を書こうと思い立ったそうです。
    犬と人とのふれあい、そして、犬を道具としか見做せない人との軋轢について、きっちり書いてあります。
    いま、本書を読む大人は、そのような行為に対して、抗議することができます。
    必要に応じて、必要な行動に移す。ことを行うのに、ためらってはいけないのだと思います。

  • とにかくこのグレイハウンドの走り!
    風をきって走り抜く姿が素敵過ぎます。人間の身勝手に負けないで強く生き抜く姿に感動します。
    犬の気持ちがよくわかり、一気に読んでしまいました
    表紙の絵も好きです。児童書は子どもだけのものではありませんね。

  • 心優しい子どもや老人と犬の心が通い、辛いときは助け合って幸福感で満ちている場面が温かく、とても良かった。そのため危険な目に合うところは恐ろしくて涙が出る。人間の都合で3回飼い主が変わる犬の話。

  • レース犬のグレイハウンドの目線からの物語。飼い主は3人。最後になんの因果か偶然か、元の飼い主と邂逅するが、今の飼い主と生きる道を選ぶ。疾走感のある作品。

  • いい話だった。
    グレイハウンド、やっぱ、犬を知らないのでそこがもう一つ。
    ずいぶん人懐こい犬みたいだけど。
    最初の飼い主を犬は覚えていたけど、飼い主は覚えていなかった!
    そんなはずはないと思う。
    見かけは変わっても、つまり、若かった犬が老犬になっても、わかると思うのだが。

  • 児童書ということを忘れてしまいました。

    話は、川で流されているところを少年に助けられたグレイハウンドの子犬が、盗まれたり、譲られたりして、飼い主が変わり、5年後に再び少年に出会ったときには、少年は別の犬を飼っており、気付いてもらえなかったという、大変心が痛むものです。
    区切りごとに、犬目線で見たことも書かれて、現実を受け入れていく気持ちがよくわかり、犬の宿命を感じざるを得ず、愛おしくなります。

  • 6/14掲載 標茶町図書館 丹氏

  • グレイハウンドという種類の1匹の犬が、人間の都合に振り回され、飼い主が3回も変わりながらもそれぞれの飼い主と絆を深めて力強く生きていく人生(犬生?)を描いた物語です。
    犬への愛情がとても伝わってくる作品で、犬や動物が好きならきっと気にいる作品だと思います。
    作者は、ドッグレースに出場する犬たちが殺処分される現状を知り、この物語を書こうと思ったということで、そんな描写もあります。
    なので、悲しい現実に気持ちが落ち込むシーンもありますが、それでも飼い主が変わるたびに飼い主や周りの人に愛されるグレイハウンドの様子にとても心が温まります。

    ただ、これは小学校の高学年向けの作品だと思うんですが、3番目の飼い主がおじいさんになり老人ホームの問題に取り組むことになると、小学生はなかなかお話に入り込めなくなるんじゃないかなと思いました。
    1番目と2番目は男の子と女の子なんですが。
    全体的に見るとYA向けな気がします。
    そんな印象もあるせいか、大人でも充分楽しめる作品です。
    私はすごく好きでした。

  • 焼きジャガカーってなによ!
    グレイハウンド犬の物語を書きたかった、とモーパーゴ。奇しくもまた殺処分が絡んできた…。

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著者プロフィール

1943年英国ハートフォードシャー生まれ。ウィットブレッド賞、スマーティーズ賞、チルドレンズ・ブック賞など、数々の賞を受賞。作品に『ゾウと旅した戦争の冬』『シャングリラをあとにして』『ミミとまいごの赤ちゃんドラゴン』『図書館にいたユニコーン』(以上、徳間書店)、『戦火の馬』『走れ、風のように』(ともに評論社)他多数。

「2023年 『西の果ての白馬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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