フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?

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  • 美術出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784568504286

作品紹介・あらすじ

欧米で撮った写真270点とコラム70本でひもとく知られざる欧文フォントの秘密。

感想・レビュー・書評

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  • ●あくまでも主張は「言葉」でしょ。

    日本人の欧文フォントデザイナーの小林章さんの本です。

    ○欧米で撮影された270点の画像とコラムで
    何故ここにこのフォントが使われているか

    ○何故このブランドのロゴは高そうに見えるか

    それらがデザインを学んでいない人にも楽しめる本です。

    他国のデザインと見比べることで
    日本人はフォントに対しても生真面目で
    フォントの出自に縛られたり
    (実際にデザインの学校でそのように
    教えられてるのも原因の一つですが)

    大文字と小文字を混在させて書くなんて..と
    デザインの幅を自ら狭めていることがわかります。

    ○フォントは見た目でオッケー
    ○自己主張の強いフォントは嫌味、
    あくまでも主役は言葉

    そんな裏方に徹する著者のプロ意識に
    背筋が伸びる思いがしました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そんな裏方に徹する著者のプロ意識に」
      欧文フォント見分けられるって凄いですよね(とっても低レベルの賛辞で申し訳無い)
      まぁ小林章のblog...
      「そんな裏方に徹する著者のプロ意識に」
      欧文フォント見分けられるって凄いですよね(とっても低レベルの賛辞で申し訳無い)
      まぁ小林章のblog「タイプディレクターの眼」は見ていて楽しいです。
      2012/07/20
  • 著者は欧文フォント専門のフォントデザイナー・ディレクター。「ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?」という副題が付いているが、欧州著名ブランドのロゴは、既製のフォントをほとんどそのまま使っているものが多いとのこと(p46)。一部のフォントはMacにあったので、ドローソフトのInkscapeでいくつか試してみた。

    Futura(フツラ)で「LOUIS VUITTON」と「DOLCE & GABBANA」、Copperplateで「DEAN & DELUCA」、Didot(ディド)で「VOGUE」と「ELLE」、Helveticaで「Lufthansa」、「FENDI」と入力し、「LOUIS VUITTON」の字間を広げ、「DOLCE & GABBANA」は逆に詰め、「DEAN & DELUCA」はLightに、「VOGUE」と「ELLE」はBoldに、「FENDI」は少し字間を詰めると、素人目にはほぼロゴに見えてしまう。なるほど、ロゴを偽造する気はないが、これは面白い。

    その他、斜め線が交差しているだけに見えるゴシックの「X」は目の錯覚を考慮して細かく調整されているとか(「O」も同様)、イタリックの使い方や(欧州での)電話番号の表示作法、ハイフンとダーシの違いなどなど、とても勉強になります(そもそもダーシって知らなかった)。

    魅力を感じたのは、FuturaやHelveticaよりTrajan(トレイジャン)、そしてOptimaかな。Gil Sans(ギル・サンズ)やFrutigerも。Trajanは古代ローマ時代の碑文をほぼ忠実にフォント化したもの(p24)、OptimaやOptima nova Titlingも碑文の文字を骨格にしているそうです(p92)。フォントデザインの背景にはヨーロッパ文明の長い歴史があるんですね。

    ちなみに「ハイフンとダーシ」で検索したところ、小林さんのブログが最初にヒット。まだ一部しか見てないが、本書にも匹敵するような貴重な内容を、惜しげも無く開示されているらしく...

  •  美術系に進学した次女が授業で勧められたという本を読んでみました。英語を教えている私にとっても、ずっと謎だったことがわかったり、フォントの歴史がわかったり、とても興味深く読めました。
     実は、長年の謎が解けたのは合字のことなんです。こんな名前があったなんて!みなさんもスペルのfとiがくっついていたりするフォントが不思議だなと思っていませんでしたか?英語ではligature というそうです。合字にしないで並べたものと比較されていたり、あまり見たことのない合字もあったり、おもしろい!

  • 文字もデザインだからなんでもあり。そこにいちいち意味を求めるのは違うと思う。しっくりくればいいんじゃないかな

  •  『欧文書体 そのその背景と使い方』『欧文書体2 定番書体と演出法』を書かれた小林章さんのフォントの本。

     著者の小林さんは、世界的な書体デザインのコンテストで2度グランプリを受賞し、ドイツのライノタイプ社で、タイプディレクターとしてフォントの制作指揮と品質検査をなさっています。その小林さんが、ヨーロッパで使われている欧文フォントについての様々なことを、一般の人にも分かるように書かれています。

     主にドイツ、その他フランス、イギリスなどのヨーロッパの街角で使われている文字。街中でそれぞれのフォントの個性や味わいがたくさんの写真で紹介されています。

     また、小林さんが作られたり、古いフォントを描き直したりした物もあります。

     本を見ながら、このフォント見たことある、このフォント視認性がいい、などいろいろと気づかされることがありました。
     また、フォントは純粋にデザインで選んでもいい、国による個性はあまり考えなくてもいいんだということも書かれてありました。Futuraはドイツで生まれた書体ですが、世界中の印刷物やロゴに使われています。
     冒頭のLOUIS VITTONのロゴがFuturaだったというのには、おお~、そういえばそうだと驚き。

     今まで街中や本、雑誌などで目にしていた様々な欧文フォントについて、再発見があって楽しかったです。オイラ個人的には、FuturaとHelveticaが好きですが、この本を見てFrutigerとその改良版であるNeue Frutigerもお気に入りになりました。読みやすいサンセリフ体が好きみたいです。

  • フォントの歴史や背景について勉強してみようと思い、見つけた本。

    いつも好きだった書体の歴史や成り立ちが知れて、大変楽しかった!
    読後はカルディの紅茶のパッケージを見ただけで、ある程度原産地がわかるようにまでなりました。

    同著者の『欧文書体―その背景と使い方』よりも、フルカラーで写真が多く、とっつきやすかったのでこちらを選択。

  • だいすきな文字の本です。看板や商品、誌面に使われているフォントを中心に取り上げて、欧文フォントの秘密を教えてくれます。世界中を旅しているようなわくわく感のある本です!

  •  高級ブランドは、どうして高級にみえるのだろうか。それは、無論蓄積された伝統であるとか、信頼という目にははっきりと見えないものが作用していることは間違いないと思う。
     だが、例えばルイ・ヴィトンのロゴはなんとなく高級そうにみえる。その文字には安定感がある。
     つまり、それはいわば「永遠の過去」が持っている権威をロゴが体現しているのだ。ただ単純にLOUIS VUITTONと文字が配列されているわけではない。実は文字の間隔に工夫が凝らされているのである。フォントには様々な種類があり、ある種の暖かみや逆に冷たさを演出できたりする。がフォントの重要な役割は、伝える言葉が見る人の頭に違和感なくスッと入っていくような自然さを持たせるということなのだ。

  • 図版が沢山載っていて、事例とともに紹介してくれるのでとてもわかりやすい!
    フォントの形そのもののことから、文字間、合字など幅広い範囲を語られていて、1ページ1ページ、めくってゆく度に新しい発見があって楽しかったです。

    それから、載せてある全ての書体のよみがなを表記してくれているのも良かった。
    私はどう読むのかわからない書体が結構多かったので、お恥ずかしいことにこの本に出会うまでDidotを「ディドット」と読んでいました。本当は「ディド」だったんですね。

    本の中に何度も同じ書体が出てくることがあるので、それを辿れる書体索引が巻末に入っているのも親切設計。
    とても素敵な本です。

  • 欧文書体の第一人者小林章氏による欧文フォントの実際の使用例。それぞれのフォントの成り立ちと効果が非常に分かりやすく説明されていて、なぜそのブランドにそのフォントが使われているかがすとんと腹に落ちる。今までそこまで気にせずに、感覚で選んでいたフォントだが、あながち間違ってはいなかったので安心したり。良書です。

  • 面白かった!セリフとサンセリフの違いを知ってて、いくつかのフォント名をふんわり覚えてる程度の知識しかなくてもわりとサクサク読めた。
    ああこの文章を書いた人はフォントが本当に好きなんだなぁ、という感じで、読んでて楽しかった。

  • フォントの与える印象とか、どうやったらどう見えるのかとかに興味があって読んでみた。
    高級ブランドのロゴが格式高そうに見えるのは、ローマ時代の石碑に使われていたフォントを使っていたりだとか、活版印刷で用いられていたフォントを使っていたからだとかいう背景があることがわかって面白かった。
    同じフォントでも、文字の幅を広げるとゆったりとした印象になり、逆に狭めると都会的で若者っぽい感じになるらしい。

  • 読みやすいが、筆者の着眼点が細すぎてついていけないところも多々。
    欧文書体に関する記述のみ。

  • 街を彩るフォントの数々。
    高級ブランドが使用しているフォントは全て独自のものかと思いきや、他でも使用されているフォントであり、そして間隔の開け方等でオンリーワンに見えるのが驚き。
    既存のフォントも細かなアップデートがなされていて、より美しく読みやすくなっているのも素敵。

  • WEBデザイン勉強中で読んでみましたが、とても楽しく読めました。
    よく見るロゴが、このフォントで、それにはこんなストーリーがあって、似ているのはこのフォントだけどこれだとかっちりしすぎちゃうかな…みたいな説明なので、ただカタチを見るだけじゃなく、いろんな角度からフォントを知ることができ、頭にスーッと入っていきました。
    フォントに少しでも興味ある方はぜひ読んでみてほしいです。

  • •普段何気なく見ている文字の秘密を紐解けるようでとても楽しく読めた

    •筆者の方と街を歩くと、さまざまなフォントが目に止まり、撮影したり、大変そうだなぁと思った(褒めている)
    街の写真が一緒に掲載されていて読みやすく、フォントの解説や使用例と一緒に筆者の感想が書かれているのが考え方を知ることができるので良かった

    •考えてみれば分かることだが、書体をデザインする仕事、書体のデザイナーがいることを初めて知った

    •フォント1つで印象が変わり、フォントが作り出すイメージや使い方がとても大切だと思った

    •好きな言葉
    「フォントは見た目で選んでオッケー」
    「形が目立つって事は字の形に邪魔な要素があるってこと」

  • 文字からカルチャーが読み取れるのが面白い

  • 普段何気なく目にしているロゴや看板も、
    実は細部の拘りがあるんだと教えてくれる本です。

    普段なかなか気にしないフォントの世界を知ることで、世界がすごく広がります。

    理論的な難しい説明は少なく、ほとんどが写真のため、
    デザインに興味がない人でも気軽に楽しめます!
    是非読んでみてください!

  • 欧文フォントのデザイナー

  • めちゃめちゃ面白かった
    フォントには普段意識しない常識がある

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著者プロフィール

ドイツ・モノタイプ社タイプディレクター。欧文書体の国際コンペティションで2度のグランプリを獲得して2001年よりドイツ在住。有名な書体デザイナーであるヘルマン・ツァップ氏やアドリアン・フルティガー氏と共同で欧文書体開発を手がけたほか、日本語書体「たづがね角ゴシック」のディレクションを担当。欧米、アジアを中心に講演やワークショップを行い、世界的なコンテストの審査員も務めている。著書に『欧文書体』『欧文書体2 』『フォントのふしぎ』(美術出版社)、『まちモジ』(グラフィック社)、共著に『英文サインのデザイン』(BNN新社)がある。

「2020年 『欧文書体のつくり方 美しいカーブと心地よい字並びのために(3,000円+税、Book&Design)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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