英国紅茶への招待

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569541983

感想・レビュー・書評

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  • 「とりあえずいつもの」をやめることにした。自分の意思で選んでいないものに囲まれていると生活の質が下がっていくような気がしたのだ。

    自分にとって一番身近な「とりあえずいつもの」はコーヒーだった。ボクの務める会社では毎朝朝礼で毎朝でコーヒーを飲む。数年に渡り毎日飲んでいたコーヒーだが風邪をひいてしばらく離れたのをきっかけに自分が特に求めていなかったと気づいた。

    煙草も吸わない自分がコーヒーの代わりに気分転換のきっかけを探した結果真っ先に思いついたのが紅茶だった。

    少しネットで調べただけでなにやら奥が深そうな予感。特に英国紅茶。

    英国紅茶の優雅な雰囲気に強く憧れを抱き、なにかいい本はないものかと探したところ、この本はぴったりだった。

    著者曰く日本人がお紅茶として飲んできたものは英国紅茶とは大きく異なるらしい。つまり日本人は紅茶を飲んでいるつもりで全く別のものを口にしているのだ。

    紅茶とともに朝をむかえるイギリス人にとって英国紅茶とは英国の文化そのものであるといえる。その文化とは花や果物、庭といった自然の美を楽しむ心や客人をもてなす心、朝のくつろいだ気持ちなど言葉に出来ないものを含んでいる。

    その「雰囲気」としかいえないものをこの本はしっかりと表現している。茶器や茶葉のパッケージを描いた水彩画のイラストも空気を伝える大きな助けとなっている。

    ほとんどの場合、英国紅茶とはミルクティを指す。ミルクティではない時もあるがそれはプレーン・ティであり、レモンティーなどは邪道である。カップにミルクを先に入れるか紅茶を先に入れるかで派閥があるほどにイギリスではミルクティが一般的なのだ。

    英国紅茶は高級茶である必要はない、むしろ適さない。なぜなら一日に何杯も飲むからでイギリス人の年間紅茶消費量は一人あたり3.5キロにもなるのだそうだ。イングリッシュ・ブレックファストとかトラディショナル・ティといった日本でいう番茶のようなもの十分なのだ。

    最後に日本の紅茶選びの問題点は紅茶会社の販売姿勢にあると指摘している。
    いいものをより安く、安いものをよりよくできるはずだ。

    英国紅茶と題材に英国文化を語っている本書だが、ちょっと落ち着いて毎日を楽しみたいと思っていた自分にぴったりの本だった。


    MORIOKA TSUTAYAで購入。

  • 英国紅茶への招待
    (和書)2009年10月10日 18:24
    1998 PHP研究所 出口 保夫, 出口 雄大


    今日はルシピアのお茶の試飲会へ行ってきました。次に何を読もうか迷っていて、この本が非常にタイムリーだということに気付きました。なかなか紅茶も面白い世界だなって思いました。

  • k

  • 英国紅茶についてのあれこれが事細かに書かれていて、

    これさえ読めば優雅なティータイムをすごせるようになれそう。

    特に紅茶の銘柄についての記述は、選ぶ時の参考になった。

    英国紅茶というのは基本的にミルクティなんだって、知ってた?

    英国紅茶というと、優雅に貴婦人がゆったりと時間を過ごすイメージだけで、

    紅茶がどんなものなのか想像したことがなかったので、へぇそうなんだ!とひとつ勉強。

    アフタヌーンティが軽食も兼ねているということにまたひとつ勉強。

    ピクニックに紙コップではなくき、

    ちんとした茶器でお茶を飲むというというの驚きまたまた勉強。

    一度だけ読んではいお終いの本ではなくて、

    この本の通りに淹れた紅茶を飲みながらなんどでも読みたいと思う本でした。


    といっても、すぐに茶器はそろわないので、

    しばらくはこの本の作者が怒りそうな統一感の無い方法で飲むしかないんだけどね。

    そんないいものでなくていいから一式いつかそろえて飲んでみたいなぁ。

    作者が口を酸っぱくして言っていたbように、もちろんミルクはたぁ~っぷり用意してね。

  • (1)「紅茶」と「英国紅茶」とは違うことを主張している。
    英国紅茶は、ミルクティである。
    その風味は、独特の香りとコクがある。

    (2)英国紅茶は、美しい心がいれる。
    英国紅茶には、文化と伝統の美しい流れがある。
    優雅な雰囲気、その雰囲気が、一つの文化である。
    生活のゆとりは、美しい生活を楽しむこと。
    「美しいものは、永遠のよろこびである。」
    A thing of beauty is a joy forever. ジョン・キーツ

    (3)アーリー・モーニング・ティ
    イングリッシュ・ブレックファースト;朝のストロング・ティ
    アッサム茶は、すこぶるパンチがきいていて、
    朝の目覚めにはもってこい。
    茶葉が大きく葉肉も厚く、タンニンの含有量も多い。

    トラディッショナル・ティ
    milk in First milk in After

    (4)インド茶
    ダージリン茶;
    インド北部のヒマラヤの高地で産出される。
    直射日光と霧と涼しい気候 
    4月から5月 ファースト・フラッシュ(一番茶) 色は薄い
    6月から7月 セカンド・フラッシュ 「マスカットの香り」
    10月頃   オータムナルフラッシュ

    アッサム茶;インド東北部の山地;丈が、15メートルになる。
    本格的生産が、1840年代以降になる。
    4月から6月 セカンド・フラッシュ
    ストロング・ティ 赤黒い パンチがあり、コクがある。
    タンニンの量が多く、薬学的に、整腸作用がある。

    ニルギリ茶;南部インド;ニルギル地方は、高地。
    くせがなく、セイロン茶ににて、柔らかい。

    セイロン茶 
    高地     
    ヌワラエリア茶;「セイロンのシャンパン」

    中央高原西側 
    ディンブラ茶;「フルーティな風味」

    東側 
    ウバ茶・・・最高級;世界3銘茶
    香りが、バラやスズランににている。渋みが特徴。
    紅茶の色合いは、紅みが澄んでいて美しい。
        
    中国茶;紅茶、半発酵茶、緑茶、白茶

    キーマン茶;発酵茶;三大銘茶;
    蘭の花の香りを持ち、紅茶の色合いも美しい
    上海の西部アンホイ省 1000メートルの高地
    女王の紅茶:キーマン・インペリアル     

    ラプサン・スーチョン茶;南部福建省 
    発酵茶をさらに燻製したもの
    (竹で編んだザルのうえにひろげて、松の生木を燃やし、
    その煙でいぶす。そのため、松の香りがする。)

    ウーロン茶;半発酵茶

    ユンナン茶;香りがよい

    ハーブティ;
    「カモミール」大地の林檎という意味。消化促進と鎮静作用。

  • 紅茶好きな人には面白い読み物。

  • 『英国紅茶の館』で紹介。著者によると、「現在私達に与えられている英国紅茶の最も基本的な知識は出口保夫、春山行夫、荒木安正、各氏の御著書からうかがいますと、・・・」と書かれており、この3名の著作は是非とも押さえておくべきかと思った。

    そして、読んでみたら、期待を裏切られず、奥の深い世界が読みやすく、味わいのある文章で綴られていた。MIFとMIAのことや、日本でのロイヤルミルクティのことなど、英国正統スタイルと日本での紅茶文化など、比較文化論的な叙述も興味深い。
    一番最後で紹介されていた椿山荘でのアフタヌーンティーがとても気になった。なんでも、雰囲気が素晴らしいそうで、「もうわれわれはわざわざロンドンまで行って、サボイやリッツのアフタヌーンティーを飲まなくてもよいなとさえ思う」そうだ。是非行ってみたいと思った。

  • 健康のため、コーヒー党から紅茶派に転向しました。

    コーヒーを飲んでいたころは、ミルクを入れないで飲んでいたら、神経性胃炎になりました。
    コーヒーにミルクを入れて飲むようになったら、肥満性脂肪肝になりました。
    そこで、お茶に転向しました。
    お茶も、緑茶、麦茶、烏龍茶、紅茶といろいろ試して、飽きないのが紅茶だと分かりました。

    紅茶党にとっては、とても興味のある内容が書かれています。

    インドの
    アッサム
    ダージリン
    ニルギリ
    という3大茶場。

    セイロンの
    ウバ。

    紅茶の会社として
    リプトン
    ブルックボンド
    トワイニング
    という日本で有名なブランド以外にもいっぱいあること。

    バーブ茶として
    ピーターラビットにでてくるカモミール。
    ドッグローズスイートブライアという品種の薔薇の果実を使った ローズヒップ。
    ミントを使ったものもあるとのこと。

    イギリスの大地に降り立ったことがないので、
    知らなかったことがいっぱいかかれています。

    紅茶の話にふさわしい、おちついた挿絵も秀逸です。

    紅茶を飲みながら読みましょう。

  • 紅茶とイギリス好きが伝わってくる。熱いエッセイ集です。

  • 10年前に買い求めた本です。
    父親の文にご子息が、イラストを描かれている素敵な本です。
    寒い夜、アールグレイの熱々の紅茶を淹れて読むのも。

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著者プロフィール

1929年、三重県生まれ。早稲田大学教育学部大学院修了。英文学専攻。早稲田大学名誉教授。おもな著書に『キーツとその時代 上・下』『ロンドン塔』(以上、中央公論新社)『英国生活誌 1・2』『午後は女王陛下の紅茶を』『イギリス四季暦 ——春夏篇——・——秋冬篇——』(以上、中公文庫)、『ロンドンの夏目漱石〔新装版〕』(河出書房新社)、『キーツ全詩集 1・2・3』(白凰社)、『イギリス文芸出版史』(研究社)、『英国紅茶の話』『イギリスはかしこい(共著)』(以上、PHP文庫)、R・ブレア著『詩画集 死よ 墓より語れ』〈翻訳〉(早稲田大学出版部)、『ワーズワス 田園への招待』(講談社+α新書)ほか多数。2009年、瑞宝中綬章受賞。

「2014年 『評伝 ワーズワス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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