大英帝国衰亡史

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569554761

作品紹介・あらすじ

大国はいかにして主役の座を降りたのか。衰退の運命に敢然と立ち向かい、美しく幕を引いた人物たちの生き様を通し、「滅びの理」を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 大英帝国の衰退要因の一つとして第二次世界大戦における対独戦争遂行への全面傾斜がある。これは欧州諸国間の戦争に黒子的に振る舞う従来の英国の伝統に反していた。通俗的な議論はチェンバレンの宥和政策を失敗とし、チャーチルの姿勢を評価する傾向があるため、新鮮である。
    「敗戦よりも、国力の根底を費消し尽くした(そしてそのことに気付かぬ)勝利のほうが、国家にとっていっそう危険な場合がありうる」。日本は国力の根底を費消し尽くした敗戦という過去があり、この失敗を繰り返さないことに意識が向く。しかし、重要なことは敗戦でも勝利でも、国力の根底を費消し尽くさないことだろう。
    この点で目の前の問題に全力投球で頑張ることを美徳とする日本の頑張りズムは有害である。シリコンバレーではFail Fastが合言葉になっている。戦後日本の土建国家的な公共事業や東京オリンピックは、反対派が予測するほどドラスチックな失敗にならないかもしれない。そうであるとしても、「国力の根底を費消し尽くした成功」になるかもしれない。

  • 【要約】


    【ノート】

  • 94年初出だが20年後に新版がでたことからもわかるように、変わり行く国際環境において、時間を超えて大変示唆に富む一冊です。自由貿易の展開と国家盛衰の関係性は、どの国どの地域にとっても教訓となります。
    特に、ブロック圏外への輸出が急に減少する大英帝国衰退期の始まりにおいて、本格的に帝国主義的行動をとってきた過去は印象に残りました。

  • イギリスのとは何か?
    ①「勢力均衡」に表される外交論。戦略。諜報。
    ②その期限は、エリザベス王朝に遡る。低地。
    各章特記
    第1章 大英帝国、外交力、勢力均衡
    第2章 勢力近郊の起源、エリザペス王朝の活躍
    第3章 異端児を排除しない英国エスタブリッシュメントの風土。
    第4章 
    第5章 開放経済→輸入代替→輸出大国→新興国の台頭→ブロック経済 イギリスモデル
    第6章 21世紀を先取る意味でのボーア戦争(ナチス、ベトナム戦争)
    第7章 新興国アメリカの台頭、人種(アングロサクソン)を重視した宥和外交がイギリスの国力を落とす。

  • 請求記号:E/233.06/N38
    選書コメント:
    社会派の英国史が主流の中で、独自の視点でイギリス史を描いています。基本書ではありませんが、英国史のサブ文献として、読んでみては?
    (環境創造学部環境創造学科 高井 宏子 教授)

  • 読みにくい翻訳だなと思ったら、日本語の原本でした。

  • 大国はいかにして主役の座を降りたのか。19世紀後半から20世紀半ばに至る大英帝国の衰亡の流れを検証。衰退の運命に敢然と立ち向かい、美しく幕を引いた人物たちの生き様を通し、「滅びの理」を描きだす。

    第1章 「パクス・ブリタニカ」の智恵
    第2章 エリザベスと「無敵艦隊」
    第3章 英国を支えた異端の紳士たち
    第4章 帝国の殉教者ゴードン
    第5章 「自由貿易」の呪縛
    第6章 「ボーア戦争」の蹉跌
    第7章 アメリカの世紀へ
    第8章 改革論の季節
    第9章 悲しみの大戦
    第10章 ロレンスの反乱
    第11章 “バトル・オブ・ブリテン”、そしてフル・ストップへ
    第12章 旗の降りる日

  • 大英帝国という名称と今のイギリスの有り様になんとなくギャップを感じていたがこのような転落の経緯があったとは知らなかった。第二次世界大戦以降のイギリスの状況は決して戦勝国て言えるような体をなしていなかった。もともと帝国を支えていたのはエリートたる英貴族階級だったのだろうか。その貴重な若い芽を第一次世界大戦で喪失したことがここまでも急な衰退を招いたということか。人財という言葉がこれほどまでに意味をもつ史実はないんじゃないかな。それにしてもパレスチナの3枚舌外交はこの国家の衰亡に抗うジェントルマンらしからぬ所作だったわけだ。

  • さらっと読めて流れが掴めたので良かった。巻末に掲げられている参考文献を漁りたい。

  • 大英帝国の衰退を、いろんな側面から考察した一冊。
    語り口調がそう固くないので、結構あっさり読めた。

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著者プロフィール

1947年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。英国ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。京都大学助手、三重大学助教授、スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学教授、京都大学教授を歴任。石橋湛山賞(1990年)、毎日出版文化賞・山本七平賞(1997年)、正論大賞(2002年)、文藝春秋読者賞(1999年、2005年)受賞。専門は国際政治学、国際関係史、文明史。主な著書に『帝国としての中国――覇権の論理と現実』(東洋経済新報社)、『アメリカ外交の魂』(文藝春秋)、『大英帝国衰亡史』(PHP文庫)、『なぜ国家は衰亡するのか』(PHP新書)、『国民の文明史』(扶桑社)。


<第2巻執筆者>
小山俊樹(帝京大学教授)
森田吉彦(大阪観光大学教授)
川島真(東京大学教授)
石 平(評論家)
平野聡(東京大学教授)
木村幹(神戸大学教授)
坂元一哉(大阪大学名誉教授)
佐々木正明(大和大学教授)

「2023年 『シリーズ日本人のための文明学2 外交と歴史から見る中国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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