自分に気づく心理学 幸せになれる人・なれない人 (PHP文庫)

著者 :
  • PHP研究所
3.64
  • (35)
  • (30)
  • (56)
  • (7)
  • (4)
本棚登録 : 587
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569574004

作品紹介・あらすじ

人づきあいがうまくいかない理由、絶えず心を襲う不安や不機嫌の原因は、心の奥底に抑圧された"依存性"にある。自分の中で満たされていなかったものに気づき、偽りの生き方をやめたとき、新たな人生が開ける…。本書は、現代人の心の深部の歪みを、幼少期の親子関係までさかのぼって解明し、自然な感情のままに生きることの大切さを説き明かす。生きている実感がよみがえる心の手引書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いつの頃からか素直な気持ちを殺して心と頭がバラバラになる。口から出る言葉はどれとも違ったもの。

    そんな深層心理がなぜ起こるのかを紐解く加藤諦三先生の著者。
    目を背けたくなるような現実、不思議な感覚がなんで起こるのか、淡々と諭すような本でした。

    子供の頃には戻れないとしても自分の根底を知ることでコントロールできるものを一つ二つ見つけて足掛かりにしたい。

  • 読みやすくデザインされた絵図が多い自己啓発本よりもこっちをおすすめしたいです。読みづらいところはあるけど、表面的なところで終わってない。少なくとも私は、この本に人生を変えられてしまった気がしました。

  • 人間の心の働きについてより深い理解を得ることができた。自分を大切にすることを十分に意識していた。だが、自分を守ることに対する心の砦が不十分で傷つけられるたびに心深く歪みを感じていた。
    そんな中、この本に出会い、"自分が自分に対して優しい母親のようになる事"という言葉に、何か自分の中に小さな光るものを感じた。
    わかっていたようで分かっていなかったと思う。
    "自分が何を求めているか"を考えたときに、一番に頭に思い浮かぶ言葉は、信頼、安心感、力(権力)、メンターだと思った。

    自分のことを今まで以上に大切に、そして自分が自分で私のことを傷つける人間から守っていきたいと思った。
    また、自分に優しい人を自分の周りに置いておきたい。自分に優しい人と言うのは、自分に対して甘い人と言うことではなく、自分自身のことを大切にできる。故に、相手に対しても優しくあれる人という意味。

    この本を読んで、1番の驚きと思ったのは、"他人が自分のためにならない時、他人を責めながら、自分が自分でないような不確かさを感じる"と言う言葉。
    そのような時、心の中を占めているのは、私自身ではなく、支配的な私の父親。他人に対して不満になり、支配的になった時、私は私ではなく、私が恐れた父親に私はなっていたと言う部分。
    自分がどこにもいなくなってしまっている状態、神様、不在状態のようなものが感覚的に同じなのだろうと思った。

  • 大人になってもず~っと心の中に「幼児性」が息を潜めていて、時折なにかの拍子にダダをこねて暴れ出す。「千と千尋の神隠し」に登場する大きな赤ちゃん「坊」みたいな、僕の中にも棲んでいる「大きな子供」の存在である。

    この「大きな子供」という概念に初めて出会ったのは「成長マインドセット」という本だった。その後、心理学や仏教の知識を広げるにつれ、モヤモヤしたり、イライラしてたり、沸騰に達して怒ったりした後に自問すると、この「坊」の後ろ姿や暴れた痕跡、気配を感じられるようになってきた。

    人生の長さだけ居座り続けている大きな子供。
    だけに駄々をこねるとやっかいなのだ。
    この「大きな子供」の存在感の大きさと、それがどれだけやっかいであるかを知りさえすれば、なだめる方法もあれやこれやと考え、試す努力を支払うようになる。

    この本はその試行錯誤(あるいは「大きな子供」との付き合い方)の大変さを思い知ることができる。一読では僕にはカオスにしか思えない。いまのところ、マインドフルネスのスキルを高めて「坊」に注がれているネガティブなエネルギーを中断し、手放そうと試みるくらいしか思いつかないが、加藤諦三さんの本をもっと読んで理解を深めたいと思った。

  • タブル不倫の末に両者離婚して、めでたく再婚。

    しかし、その後に待ち受けていたのは神経症的な人間同士の恐ろしい傷つけあいであった、、、

    本編には何ら関係ないことをかいてしまったが、私がこの本を読み、今まで何だか生きずらいと感じたことや、冒頭で記した悪い行動について、何かおかしなことをしていると思った個々の点が、全て一つの線となった。

    神経症な人間とは?その原因とは?どう対処すべきか?

    そんなことがかかれている。


    何か原因が分からないが何となく生きずらさを感じている人が読んでみる価値がある本。

    神経症的な人に当てはまるなら自分を変えることができる大きなチャンス。

    • hugenさん
      タブル不倫の末に両者離婚して、めでたく再婚。

      しかし、その後に待ち受けていたのは神経症的な人間同士の恐ろしい傷つけあいであった、、、

      本...
      タブル不倫の末に両者離婚して、めでたく再婚。

      しかし、その後に待ち受けていたのは神経症的な人間同士の恐ろしい傷つけあいであった、、、

      本編には何ら関係ないことをかいてしまったが、私がこの本を読み、今まで何だか生きずらいと感じたことや、冒頭で記した悪い行動について、何かおかしなことをしていると思った個々の点が、全て一つの線となった。

      神経症な人間とは?その原因とは?どう対処すべきか?

      そんなことがかかれている。


      何か原因が分からないが何となく生きずらさを感じている人が読んでみる価値がある本。

      神経症的な人に当てはまるなら自分を変えることができる大きなチャンス。
      2021/05/29
  • 自分に当てはまる事ばかり書かれていて、
    読むのが苦しかった。けれども、
    そこにあったのに気付かなかったもの、
    気付けなかったものが見えた。
    文章に偏りがあるようにも思うが、
    誰しも得る物があると思う。

  • 甘えることはみっともないことと、生真面目な人は思っている。甘えの欲求が激しいにもかかわらず、甘えを自らに禁じて生真面目に振舞っている人間には、人間としての魅力が無いのである。

    相手が常に自分の期待通り動くということを求めているのが甘えである。
    日常生活で単純な事実を言うと、それを自分に対する攻撃と受け取る人は多い。単純な事実に触れること、あるいは単純な希望を述べること、それらのことがその人には文句と感じられる。

    人は自分の自然の感情で生きることができれば、そう心の空虚さに苦しむこともないであろう。自然の感情で生きられず、作られた感情で生きるから、生きていることに意味を感じられなくなるのである。自分がどこで自然の感情を見失ってしまったか、反省してみることである。あなたは自分の自然な感情に罪悪感を持っている。だからつくられた感情を脱することができないのである。いろいろな領域で次々に何かを達成することで生きようとするよりも、自分の自然の感情と、何とか接触しようと心がけることであろう。

    私は白昼夢によって自分の満たされない甘えの欲求を間接的に満たしているのだ、ということを理解した。私の心の底にある満たされない愛情欲求が、私をあのような白昼夢にひたらせているのだと分かってから、白昼夢に浸ることもなくなった。食欲や性欲がどうしようもなく肉体にあるように、心理的にはどうしようもなく甘えの欲求がある。

    そこにいるがゆえに不満なのではなく、その人の心の中に問題があるがゆえに、どこにいたとしても不満になっている人はほっておくほうがよいと書いたが、困ったことに気持ちのうえではほっておけないというのが幼児性を残した大人である。自分の気持ちがそのようにして近くの他人に絡んでいってしまう人は、まず自らの幼児性を反省することである。自分の気持ちが相手に絡んでいってしまうことを思いやりというような言葉で正当化していると、いつになっても思いやりのある人間にはなれない。思いやりを持つためにはまず相手を理解しなければならないであろう。しかし自分の気持ちが相手に絡んでいくときは、決して相手を理解しようというのではなく、自分の思うように相手の気持ちを支配しようということにしか過ぎない。

    怒ったら罰せられる、この感じ方によって生きることが地獄になってしまった神経症の人のなんと多いことか。

    心に葛藤のある人は他人の心を理解できないということは大切な点である。心の葛藤のない素直な人は、他人の心を理解できるということでもある。他人の心を理解できるということが心の健康な証拠でもある。

    他人があなたを好きになった時、あなたは欠点まで好きになったということではない。その他人にとって好きなあなたの嫌いな点にしかすぎない。

    自分が心の底で自分に満足していないということに気がつき、自分が自分に満足できるようになれば、他人もまた欠点のある自分に満足しているということが自然と感じられるようになる。

    たとえば子供をきれいな景色を見せにどこかへ連れて行ってあげる。これは子供に表現された直接の愛である。しかしこのとき子供は別にきれいな景色を見に行きたくないかもしれない。いや行きたくないというより、おもちゃで遊んでいたいかもしれないし、友達とピンポンをしていたいのかもしれない。そんな子供の心を無視して、連れて行ってやることもできる。そして自分は子供のことを考えてやる良い親だと思うこともできる。しかし、例えば子供が欲しがっているノートがあったとする。そのノートはなかなか普通の文房具店ではみつからない。もうメーカーで生産をやめてしまっている。でもたまたま子供がそれを欲しがっている。その時、そのノートをさがすことに、陰でどれだけ努力をするかということが間接的な愛の表現である。あそこの店にいったらあるかもしれない。もしかしたらあの人に聞いたらどこにあるかわかるかもしれない等、いろいろさがすことである
    それを忙しい中でも忘れないということが間接的な愛情表現である。

    他人に対する自分の態度、他人に対する自分の感じ方、自分に対する自分の感じ方を変えることができてはじめて、心理的離乳は完成したといえるのではなかろうか。そうなって初めて本当の自分になれたと言える。

    いつも自分を守ることを考えていないと不安になってしまうので、ついつい防衛的になってしまうが、他人のことを考えれば、他人がそれほど自分にとって脅威にはなっていないことがよく分かるであろう。他人を自分にとって脅威にしてしまうのは、ほかならぬ自分の防衛的な心の姿勢なのである。他人に対する思いやりができてくれば、他人はそれほど自分を傷つけはしないし、他人は自分を傷つけるだけの力を持っていないということもわかってくる。他人は他人でしかないのである。他人に心を開くと、そのことが分かってくる。他人の行為を感じることができるというのは要求ではない。他人が他人の自発性において自分に好意を持っているということが感じられるということである。

    心理的に成長するには好意が必要なのに、好意の必要な人が、他人の好意を感じることが難しいのである。心理的に成長した人は他人の好意を感じることができる。それだけにある人々にとっては大変難しい心理的成長が、別の人々にとっては気付かないうちに達成できてしまう事なのである。
    愛情欲求が満たされていれば、他人から良く思ってもらうなどということはそれほど重要なことではない。よく思ってもらえればもらえたで、それはありがとうということであって、それ以上の価値は自分にはない。

    まず自分を大切にすることを心掛けることである。自分を大切にするということは、自分にやさしくするということである。自分が自分に対してやさしい母親のようになることである。自分が自分の理解者であり、自分の保護者になろうとすることである。決して自分に対して批判的になってはいけない。

    他人の期待にこたえられないのが怖くてあなたは勤勉に頑張っている。それが何よりもあなたが愛情欲求不満である証拠だ。愛情欲求不満でない人も、他人の期待に応えようと勤勉に頑張る時がある。しかしそれは期待に応えられないことが怖いからではない。それはあくまで他人への愛情である。

    情緒的に成熟した人は、ある人が自分に優しくするという行動をとった時それを許す(ここ一番重要!)

    救ってくれと叫んでいる者は、どう生きてよいかわからないのである。「これ」で生きていけるという何かを求めているのである。心の満たされた者にとっては、「これ」で生きていけるというような「これ」を必要とはしない。

    この本を読んで、自分の何が満たされていなかったのかということに気付いてくれればそれは十分である。

  •  読むと人生が少しだけイージーモードになる気がします。何かに気づくだけで自分の置かれた状況がよくなるなんてことはないだろうと思いながら読み進めましたが、他人に自己を投影していることに気付くだけで気持ちが随分と軽くなるように思いました。甘えの欲求を認識することで、自分を客観視し、他人への理解が深まる。しかもその気付きがないことには、自分の中の積極的な感情が育たず、人生から良いものが逃げていくと解かれています。

     他人の眼を気にしている方も多いと思いますが、他人は自分の人生の責任を取ってくれるわけではないので、自分の内面に自身を持てば良いと諭されています。

  • この人の書くことめちゃすごすぎてすき!
    Kindleで読んどるが本も買おうかなと思っている。
    この本群を読んでいたらかなりの事が解決していきそう。

  • 自分の気持ちより周りの評価が気になる人、ちょっとしたことでイラつく人、極度の恥ずかしがり屋や嫉妬心が強い人など、生きづらさを抱える人や周囲を困らせる人の根底には、甘えの欲求への強すぎる渇望があるという。自分のことをよく知り自分をいたわることが、幸せに生きるコツだそうだ。様々な対人関係のトラブルに対処できる手がかりがたくさんあった。また読み返したい。

全47件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科を修了。元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員。現在、早稲田大学名誉教授。
主な著書に、『自分の心に気づく言葉』『心を安定させる言葉』(以上、PHPエディターズ・グループ)、『心の休ませ方』『自分のうけいれ方』『不安のしずめ方』『自分に気づく心理学』『やさしい人』『絶望から抜け出す心理学』(以上、PHP研究所)、『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか』(三笠書房)、『心と体をすり減らさないためのストレス・マネジメント』(大和書房)などがある。

「2023年 『ブレない心のつくり方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加藤諦三の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×