子どもの脳が危ない (PHP新書 101)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569609201

感想・レビュー・書評

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  • 2005/3
    不安感をあおられるが、脳に対して知識のない私が、本書の言うことを鵜呑みにするべきではないことはわかる。

  • 色んな視点で書いているので偏ってないように見えるが、早期出産推奨などはやや強引。説得力には欠ける。

  • 2000年刊(著者は上智大学教授、精神医学専攻の犯罪心理学者)。重大非行事件を犯した少年の脳につき、病気とまでいかないが、正常とも言えない潜在的な異常所見が多く発見される事実を紹介し、その原因を、①胎児・乳児期において、脳が内分泌撹乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)に曝される点、②乳幼児期において、テレビを中心とする大量のイメージ情報に曝されることに求め、その解説をするもの。確かに、内分泌撹乱化学物質が、胎児の脳に影響し、性同一性障害等を引き起こす恐れのあることは聞いたことがあるし、本仮説も興味深い。
    しかし、如何せん根拠が薄弱だし、脳への影響過程も、性同一性障害の場合と異なり、統計データ以上の説明が少ない(化学的プロセスが知りたいのに)。また、非行少年と同様あるいは類似の脳の器質的障害を持ちながら、非行に至らない例もあるとするため、それとの対照や、あるいは脳の器質的障害がないのに非行に走った症例との差異も検討されていない。非常に興味深い仮説であること、内分泌撹乱化学物質が脳に影響を及ぼす危険性には警鐘を鳴らす必要があるゆえに、勇み足ともとられかねない書籍は残念と言うほかはない。
    また、ADHD(注意欠陥多動性障害)と少年非行とを同一地平で論じた場合、どのように論じても、誤導を招きかねないので、構成にも些か疑問を持たざるを得ないところだ。

  • 凶悪犯罪が昨年(1999年)も起きてしまった。犯人が自殺するという結果に終わり、原因を究明することができていない。しかし、もし生きたままとらえられていたとすると、必ず精神鑑定にかけられ、脳に障害などが見つかり、無罪?!となっていた可能性もある。本書では、最近とくに多くなったと言われる若者の凶悪犯罪(連続殺人など)の原因が、脳の障害にある可能性が高いということが論じられている。このような犯罪者では一見とくに問題ないように見えるが、よく脳を調べてみる(MRIなどで)とわずかながら異常が見つかることが多いというのだ。(もちろん、脳に障害がある人がみな凶悪犯罪を犯すと言っているのではない。このことについては、著者も何度も断っているが、誤解のないようにしてほしい。)その原因はいろいろ考えられる。母親がお腹の中に子どもがいるときに飲んだ薬が原因だったり、いわゆる環境ホルモン、ダイオキシンが原因になっていることもあるという。ダイオキシンについてはとくに母乳から乳児に与えられるということで大変大きな問題になっている。乳児の間に脳の大半がつくられてしまうのだから影響が大きい。また、最近よく問題になる「すぐキレる」ということ、そしてADHD(注意欠陥多動性障害-金八先生のデラ)などについても環境ホルモンなどが問題ではないかと言われる。さらに、現在の子どもたちがさらされている、テレビなどからの大量の「情報シャワー」も脳を形づくる上で何らかの影響があるのではないかと言われている。読んでいると少し恐ろしくなる。が、対処する方法もある。私自身は少しどうかなと思う対処法(たとえば子供をたくさん産むことによって母親が子どもに与える1人あたりのダイオキシンの量を減らすことができる、というもの。だいたい、人口が多すぎるためにダイオキシンなどの問題も出てきているのだから。)もあるが、参考にはなると思う。とくに、子ども(乳幼児)のころはテレビをあまり見せない(とくに暴力的なもの)。これなんかはすぐに実行できる。

  • 「給食で死ぬ!」って本の中で紹介されていたこちらの本も読んでみました。同世代に子どものいる親も増えてきた今日この頃、母親から子どもへのダイオキシンの転移の割合の話やテレビの影響、大人になって暴力化する子どもの傾向の話なんかは草の根というか、実際に精神科医として様々な患者に対応してきた結果、わかってきたパターンからの仮説をデータで裏付けていてとても説得力があるように感じました。まぁ解決策は非常に学術的というか理性的だなと思いましたが。。同世代には、時間があれば読んでみて欲しい1冊ですね。

  • 環境ホルモンと脳の関係、薬剤投与による胎児の脳への影響、注意欠陥多動性障害について、子供たちのテレビによる影響、サバン症候群についてなど、様々な側面から子供の脳に及ぼす影響と精神医学的見地からの見解が書かれている。
    その中でも特に衝撃的だったのは、一見すると正常に見えても脳を調べるとそこに異常が見つかることがあるという話。
    本書の例だと、母胎にいる脳の形成段階で何らかの外的要因によって引き起こされた可能性が高い。
    そして、その異常によって、凶暴性が増したり人格形成に何らかの影響を及ぼす可能性があるようだ(そもそも、人格とは脳が形成すると考えると当たり前の話ではあるが)。

    また、著者は注意欠陥多動性障害など脳の異常を変り種とし、その存在意義として以下のように書いている。
    「人類が、未来においても起こるであろうと予想される大きな環境変化に対応して生きのびていくためには、われわれの内部に豊かな多様性を持った性格の変異が生じ、それらすべての多彩な性格の人々が共生・共存をはかり、明日の変化にそなえることが重要である。変り種を、異常・病気・障害・変質などと呼ぶことはもちろん自由だが、かれらが明日の救世主である可能性にも思いを致す必要がある。その異形の存在に対する畏敬の念を失わないことこそが、種の維持のためには有利な態度であり、また人間的な態度であるといえよう」
    「変り種の存在を尊重することは、俗ないい方をすれば、保険をかけるのと同じようなものである。彼らの存在は、ときには社会的コストとしか感じられない場合もあろう。しかし、社会が変貌したり、自然環境が変化したときに生きのびられるのはどのような人なのか?それは、人知では予測できない。だからこそ、人類は多くの個性豊かな人種に分化し、同じ人種の中でも、多くの個性を生み出し、病人・障害者も含めてこれを包みこみ、未来の生活環境の変動にそなえているのだ」

  • [ 内容 ]
    長年にわたり精神鑑定を手がけてきた著者は、重大殺人犯において、胎・乳児期に由来する脳の異常が高率に見られることを発見した。
    学級崩壊、衝撃的な少年非行―近年の子どもたちのこれらの問題行動は、脳の異常によるものではないか?
    そこには胎・乳児期における環境ホルモンの摂取が影響しているのではないか?
    また情報環境の変化により、子どもの脳の働き方も変わりつつあるのではないか?
    子どもたちの危機を、「脳」の視点から冷静に分析した、衝撃的な問題提起の書。

    [ 目次 ]
    第1章 子どもたちが変わった
    第2章 少年非行の臨床から
    第3章 犯罪者の脳を調べる
    第4章 ある少年死刑囚の場合
    第5章 脳と環境ホルモン
    第6章 ADHD―注意欠陥多動性障害
    第7章 新たなOSの登場
    第8章 創造と病理
    第9章 対応そして予防

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 凶悪・異常事件の犯人の脳には、器質的に、つまり脳のハードの部分に欠陥があった、ということを複数の実例をもとに解説する恐るべきレポート。
    (ただし注意したいのは、気質的に問題のある人がすべて犯罪者になるというわけでは、まったくないということです)
    子どもの脳について広範な視野から論じていて、大変参考になる内容です。
    とくに、乳幼児期のテレビが脳の発達に与える悪影響については、示唆に富んでいます(小さい子どもがいる人、特に考えなしにテレビを見せている人は、ぜひ読んでください)。

    ただ、発行時点で死刑囚だった足利事件の冤罪犯・菅谷さんの脳に言及している箇所があり、それはそれで事実としても、今となってはこの書き方には問題ありか?

    [099.3. ]

  • 福島章の本はトンデモだという話も聞くがどうなんだろう?

  • 環境ホルモンが子どもを犯罪者にする?!犯罪者の精神鑑定で著名な医学者による告発。

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