- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569613192
感想・レビュー・書評
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年齢・性別・職業・人種など様々な社会層や場面における言語を研究する「言語社会学」を半世紀に渡って極めた巨匠で、評論家としてのデビュー作・『ことばと文化』(1973/岩波新書)で知られる鈴木氏は昭和元年の生まれ。終戦後に慶応の医学部を卒業するが、文学部に編入して言語学者の道を選んだというユニークな経歴である。英語があたかも世界の公用語のように広まったのは言語として習得しやすかった為ではなく、17世紀以降に世界の海を制覇した大英帝国や、戦後の国際世界をリードしたアメリカがその軍事力と経済力によって言語までも支配した結果であるとし、これからの日本は「言語大国」となって日本語を世界に普及すべしという理論を展開する。「英語をマスターする」ことを目的とする学び方ではなく、「内容を伝えるための英語」を学ぶべきとし、昨今言われている「第二公用語」としての英語など全く不要と切り捨てる。
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タイトルに興味を持って手に取った本だった。英語が苦手な私としては、英語はいらないなら楽ができる、ぐらいに思っていたのだが、読んでみてとても衝撃を受けた。私は以前、駅で女性に声をかけられた。突然知らない人に声をかけられたというだけでも人見知りの激しい私にとっては緊張してしまうことなのだが、さらに日本語以外で話かけられて何を聞かれたのか以前にどこの言葉なのか、英語なのかどうかさえわからなかった。結局その時は慌てるばかりでほぼなにも答えられなかった。しかし、この本を読んだら、日本国内で外国人と話す必要があったらまず日本語で話すべきだと書かれていたのだ。英語で話しかけられたら英語で返さなければならない、と私は勝手に思いこんでいたのだと気付かされた。日本にいるのだから、日本語で話したところで全く問題ないし、日本に来る人の中には日本語を勉強してきている人がたくさんいるのだとようやくわかった。
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英語一辺倒になってしまった日本の英語教育に対する警告。
言語本来の機能というより、政治と言語に関する本。
英語を勉強している限り永遠に英米の英語母語話者には議論で勝てない。
イングリックという言葉は流通の面で問題があると思うが
英語を勉強する分専門の勉強が出来る英米人には
どう頑張っても日本人は確かに勝てないと思った。
国連に資金を世界で一番払っているのに
日本語及び日本の世界に対する影響力がこんなにも低いのは甚だ疑問。
英語教育にもお金は必要だが、世界に日本語普及の投資もするべきだと思った。
話者人口の面でも世界有数の巨大言語である日本語なのだから
経済超大国である日本に見合った言語の扱いを受けて当然だと思う。
かなり急進的な発言もあったが、
マゾ的な態度はもうやめて、サド的態度で日本語普及を日本は目指すべきだと思った。
なお、著者も述べているが日本語普及に際して、植民地を増やすという意味ではなく、
国際会議や、国連など不当な扱いを受けている日本語の地位を上げるべきである。
国連で日本語が公用語になれば、
最低二つは公用語が使えなければならないという職員の条件の一つを
日本人は日本語でクリアしたことになり、職員も増えるとのこと。
確かに公用語の英語、フランス語、スペイン語、ロシア語などは
しょせんヨーロッパの言語であって、アジアの人々にとって
かなり不利なであると思う。
技術的にも経済的にも高いレベルにある日本なのだから、
公用語になってしかるべきであると思う。
将来日本をリードする人にぜひ読んで欲しい本。