英語はいらない (PHP新書 136)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569613192

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  • 年齢・性別・職業・人種など様々な社会層や場面における言語を研究する「言語社会学」を半世紀に渡って極めた巨匠で、評論家としてのデビュー作・『ことばと文化』(1973/岩波新書)で知られる鈴木氏は昭和元年の生まれ。終戦後に慶応の医学部を卒業するが、文学部に編入して言語学者の道を選んだというユニークな経歴である。英語があたかも世界の公用語のように広まったのは言語として習得しやすかった為ではなく、17世紀以降に世界の海を制覇した大英帝国や、戦後の国際世界をリードしたアメリカがその軍事力と経済力によって言語までも支配した結果であるとし、これからの日本は「言語大国」となって日本語を世界に普及すべしという理論を展開する。「英語をマスターする」ことを目的とする学び方ではなく、「内容を伝えるための英語」を学ぶべきとし、昨今言われている「第二公用語」としての英語など全く不要と切り捨てる。

  • [ 内容 ]
    「言語」は、ときに国をも破壊する恐ろしい力を持つ。
    「英語公用語論」まで叫ばれているが、経済大国となった日本に、外国語を公用語とする必要はない。
    また、一生かかっても英語の完全習得は不可能。
    むしろ勉強すればするほど、日本語や他言語への関心が薄れてしまう等、失うものが多くなる。
    ゆえに日本人には「英語はいらない」。
    今後求められるのは、英米語ではない「新しい英語(Englic)」の使用と日本語の国際普及であると著者は主張。
    昨今の英語礼賛に警鐘を鳴らし、真の国際交流を可能とする方法を提案する。

    [ 目次 ]
    序章 金力政治から言力政治へ
    第1章 英語の怖さを知らない日本人
    第2章 言語はどのように国際語となるか
    第3章 日本人に英語はいらない!
    第4章 英語を学ぶ資格ありますか―英語学習者のための国際常識
    第5章 新国際語・イングリック入門
    第6章 真の国際人になるために
    第7章 日本はなぜ言語的に孤立しているのか
    第8章 英語よりもなぜ日本語か
    第9章 どうする?国際化時代の英語

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • タイトルに興味を持って手に取った本だった。英語が苦手な私としては、英語はいらないなら楽ができる、ぐらいに思っていたのだが、読んでみてとても衝撃を受けた。私は以前、駅で女性に声をかけられた。突然知らない人に声をかけられたというだけでも人見知りの激しい私にとっては緊張してしまうことなのだが、さらに日本語以外で話かけられて何を聞かれたのか以前にどこの言葉なのか、英語なのかどうかさえわからなかった。結局その時は慌てるばかりでほぼなにも答えられなかった。しかし、この本を読んだら、日本国内で外国人と話す必要があったらまず日本語で話すべきだと書かれていたのだ。英語で話しかけられたら英語で返さなければならない、と私は勝手に思いこんでいたのだと気付かされた。日本にいるのだから、日本語で話したところで全く問題ないし、日本に来る人の中には日本語を勉強してきている人がたくさんいるのだとようやくわかった。

  • 英語一辺倒になってしまった日本の英語教育に対する警告。
    言語本来の機能というより、政治と言語に関する本。
    英語を勉強している限り永遠に英米の英語母語話者には議論で勝てない。
    イングリックという言葉は流通の面で問題があると思うが
    英語を勉強する分専門の勉強が出来る英米人には
    どう頑張っても日本人は確かに勝てないと思った。
    国連に資金を世界で一番払っているのに
    日本語及び日本の世界に対する影響力がこんなにも低いのは甚だ疑問。
    英語教育にもお金は必要だが、世界に日本語普及の投資もするべきだと思った。
    話者人口の面でも世界有数の巨大言語である日本語なのだから
    経済超大国である日本に見合った言語の扱いを受けて当然だと思う。
    かなり急進的な発言もあったが、
    マゾ的な態度はもうやめて、サド的態度で日本語普及を日本は目指すべきだと思った。
    なお、著者も述べているが日本語普及に際して、植民地を増やすという意味ではなく、
    国際会議や、国連など不当な扱いを受けている日本語の地位を上げるべきである。
    国連で日本語が公用語になれば、
    最低二つは公用語が使えなければならないという職員の条件の一つを
    日本人は日本語でクリアしたことになり、職員も増えるとのこと。
    確かに公用語の英語、フランス語、スペイン語、ロシア語などは
    しょせんヨーロッパの言語であって、アジアの人々にとって
    かなり不利なであると思う。
    技術的にも経済的にも高いレベルにある日本なのだから、
    公用語になってしかるべきであると思う。
    将来日本をリードする人にぜひ読んで欲しい本。

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著者プロフィール

1943年岩手県生まれ。三菱系エレベーター会社を経て1967年に独立創業し、鈴木エレベーター工業(現在のSECエレベーター)を1970年に設立。独立系エレベーター保守会社という新しい業態を日本に誕生させる。エレベーターの構造を知り尽くす「技術屋」で、ビジネスの面でもエレベーター業界の風雲児として活躍する。

「2017年 『技術屋が語るユーザーとオーナーのためのエレベーター読本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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