男という不安 (PHP新書 150)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569614175

作品紹介・あらすじ

少年犯罪、ひきこもり、ストーカー、中高年自殺といった現代の社会問題の主役は、大半が「男」である。男が弱くなった、危なくなったと言われて久しいが、何が彼らをそうさせているのか。他方、いまの日本の女たちはもはや男など頼りにせず、決然と自立を目指しているかのように多くのメディアは報じるが、それはほんとうなのだろうか?現代日本の男たちが直面している困難を多面的に照らし出し、いまあらためて再考されるべき「男の値打ち」「男の生き方」を模索する真摯な論考。

感想・レビュー・書評

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  • 女性の立場としては、男性の心理や 男性を取り巻く環境、歴史を考え直す機会ってなかなかないと思う。中年期という 筆者曰く[第二の思春期]に自分も差し掛かりつつ、男女の違いを知るため(ひいては亡き父への理解を進めるため)にも読んでみた。自分を客観視するのに役立ったし、終盤部分ではなるほども思う部分もあった。2001年という中年男性自殺率のピークに書かれた本であるというのも、覚えておきたい。/2019年追記→男と女の立場の違い、自由のツケ、という概念。中年という人生の一時期が持つ意味について、男女関係なく考える時期に差し掛かっていると感じる。

  • 反フェミニズムの論陣を張っている著者が、現代において「男」として自己形成することの問題を論じた本です。

    フェミニズムの論者は、「男らしさ」「女らしさ」といった規範は社会的につくられたものにすぎないと主張し、こうした窮屈な制度に縛られず「自分らしさ」を追及するべきだと述べることが多いと著者はいいます。これに対して、力ある存在としての「男」、優美な存在としての「女」という文化象徴的な差異には自然的根拠があると著者は主張します。とはいえ著者も、「男」と「女」の間に価値の優劣があると考えているわけではなく、ただ自然的な事実として差異が存在しており、もし男と女の間に単なる解剖学的な差異しかないのであれば、そのうえに「男らしさ」「女らしさ」という文化的・社会的差異が築かれるはずがないと論じられます。

    つづいて、現に社会のなかで「男」と「女」の間の文化的差異が存在するという認識に立って、こうした社会のなかで「男」として自己を形成するときに直面する困難や、社会の中で「男」に期待される役割について考察しています。

    むろんこうした著者の立場に批判的な読者もいることでしょうし、わたくし自身も必ずしも納得しているわけではないのですが、われわれが現に暮らしている社会の中で「男」が直面する問題を率直に見つめようとする著者の姿勢からは、立場の相違を超えて学ぶべき問題があるということまでは否定できないのではないかという気もしています。現に「男」たちが抱え込んでいる問題を単に切り捨てるのではなく、理想とは程遠いこの社会の中で現に自己形成をおこなってきたわれわれがこれからどのように生きていけばよいのか、という問いかけは、著者のような実存的な立場を守ろうとする論者でなくとも、なお考えていかなければならない問題ではないかと思います。

  • あまり心惹かれないタイトルの本だったのだけど、けっこう面白かった。

    「男」ってなんだったのか、これからの時代求められている「男」ってどんなんだろうか?
    と相対的に見てみることも大切ですよね。

  • 全体を通して憶測に基づいた考えの上に成り立っているように感じた。
    現代の男というものに対して著者の個人的な考えを土台として
    他者から文章を引用してたたき台として論理を積み上げていく内容。

    評論というよりかはエッセイに近い内容であった。

  • 男は損

  • 小浜さんの表現の仕方、書き方が自分と似てる。

  • 「男が弱くなった」は本当ですか?

  • 2005/07/26

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著者プロフィール

1947年、横浜市生まれ。
批評家、国士舘大学客員教授。
『日本の七大思想家』(幻冬舎)『13人の誤解された思想家』(PHP研究所)、『時の黙示』(學藝書林)、『大人への条件』(ちくま新書)、『日本語は哲学する言語である』(徳間書店)など著書多数。自身のブログ「ことばの闘い」においても、思想、哲学など幅広く批評活動を展開している。(https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo)

「2019年 『倫理の起源』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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