はじめて考えるときのように: 「わかる」ための哲学的道案内

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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569614670

作品紹介・あらすじ

「考える」ことを考える哲学絵本。

感想・レビュー・書評

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  • 〇哲学は「考える」ことなのだ
    〇夜空はなぜ暗いのか問題。何回か目にしてるけど、めっちゃなぞって考えてるけどわからん。エウレーカがくるときあるのかな~
    〇植田さんのイラストが良いなあと。
    あとがきを読んで、野矢さん、植田さん、森本さん、鈴木さん、みなさんの良いものの結晶がこの本なのだなあと思いました。
    〇この本を手に取るきっかけを作りたいものだ

    ◎考えることを考える
     ことばと景色にあなたの考えをしのばせる
     あらたな風景に出会う一歩を踏み出すために

    1:「考える」って何をすることだろう
     哲学の問題はナゾナゾみたいなもの
     目には入っているのに気付いてないこと、見えてないことがたくさんある
     「考える」ってことは、耳を澄ますこと

    2:問いのかたち
     問いの逆説「これはいったい、どういう問題なんだろう」
     「考える」ということは、今まで気づかれていなかった新しい結びつき、新しい関係を探し求めること
     問題が生まれるまで、長い時間がかかるものもある

    3:倫理的に考えるだって?
     「論理は考えないためにある」
     推論の形
      AはB CはB だから、C はA
      A またはB Aではない それゆえB
     観察や論理は問題を解くときに欠かせない素材
     それを、取捨選択し繋げていくことが「考える」こと
     コンピュータは推論はできても「考える」ことはできない 今はまだ

    4:ことばがなければ考えられない
     「ないもの」は「ある」のか
      否定の不思議
     「考える」と「反応」
     「もしかして」←考えている
     「論理的な可能性」と「論理的な不可能性」
     ことばの箱庭
      …状況をパーツに分けて考える
      …ことばがなければ可能性はない=ことばがなければ否定はない

    5:見えない枠
     論理の神様…あらゆる可能性が視野に入る
     フレーム問題
     ディープブルー…物知りの愚者
     エキスパートロボットと人間の違い
     “常識”とは
      常識を使い分ける
      やわらかい常識
     懐疑する哲学者
      疑いの足場

    6:自分の頭で考える
     考える→頭とか脳だけで考えるのではない
         手で考えたり、紙の上で考えたり、冷蔵庫の中身を手に持って考えたりする
        →自分ひとりで考えるものでない 
         多くの人たちの声や、声にならないことばや、ことばにならない力が働いている
        →ヒトとの出会いが大切
     頭の外で考える
     「思う」ことと「考える」こと
       「何も思いつかない」≠「考えられない」
     頭の中に引きこもるのではなく、問題のまなざしで自分を外に開いていく
     頭の外に「ヘウレーカ」がある
     「意見を持っている」≠「考える」
     新しいことばだけが、新しい可能性を開いてくれる
      新しいことばは、他人からもたらされる
     見えない枠と戦う
     仲間内に引きこもるのもだめ
     考える技術
     ①問題そのものを問う
     ②論理を有効に使う
     ③ことばを鍛える
     ④頭の外へ
     ⑤話し合う…人に伝えようとすることで、問いの形をハッキリさせる
           さまざまな意見、視点、新しいことば、新しい意味の広がりに出会う

     「つめこんで、ゆさぶって、空っぽにする」

  • ここ1年で1番琴線に触れた本だった。

    考えるとは何かについて考えさせられた。

    少し哲学的な内容でありながら、分かりやすい例えや具体例で書かれているので、自分のことについて当てはめて考えることができる。

    (例えば、
    「子どもが欲しがる文房具ってなーーんだ」っていうナゾナゾを考えるとき。
    答えは出たか?
    あなたの頭の中はどう考えているだろう?)


    そして、よりよく考えるためのヒントという形で、素敵なキーワードが散りばめられてる。

    気に入ったワードを4つ

    常に耳を澄ませる

    ことはをきたえる


    頭の外に解はある


    つめこんで、ゆさぶって、空っぽにする




    時間がたったら、また読んでみたいと思う。
    また、新しい発見があるに違いない。

  • 植田さんの絵は常に孤独とセットになっているような気がして、なんだかしんみりとしながら読んだ。野矢さんの文章面白いエッセイとか書いてくれれば読みたいな。

  • 共感よりも違和感や反感に出会う方が世界が拡がる。

    自分が共感したり、好きだと思うこと、ものに安住してしまいがちですが、敢えて自分とは違うこと、ものに積極的に関わることも大切にしなければと思いました。

  • とても深い本だった。考えるということは、わかっているようでわかっていない。言葉にしてはじめて考えていることになるのかもしれない。はじめに言葉ありきとは名言だ。枠に縛られず、自由奔放に考えをめぐらすことができるようになりたい。

  • 著者が頭に浮かんだまま本にしてる感じ
    考えるってなんだ。
    深くて難しい、一回じゃわからない。

  • 考えるということを考える。そもそも考えるってどういうことだ?
    トンチみたいなことはともかくとして、こうした思考の積み重ね、スパイラルが人類の知性を研ぎ澄ました原因にもなっているのだろう。

  • 頭の中を覗き込んでいるような感覚になる本でした。考えるということは、してるようで出来ていない、気がつけばどこかに飛んでいってしまうような感覚があったので、つかまえるのがとてもむずかしいと感じていました。
    つめこんで、ゆさぶって、空っぽにしていいんだ、と思ったらちょっと安心した。。p172.173 とても大切に心に留めておきたい

  • YouTubeでお気に入りの「哲学チャンネル」で紹介されていたことがきっかけで、あえて考えることを考えてみたくなり購入。

    本書は、「考えるということはどういうことか?」という問いについて、平易な言葉で様々な例え話を交えながら読者に語り掛けている。
    この分かりやすい文体と語り掛け口調によって、単に書き手の言説を理解しようと構えるのではなく、読み手も考えさせられる気分に浸ってしまうところが本書の特徴であるといえる。

    巷間では「ロジカルシンキング」や「論理的思考」の重要性を謳う書籍や記事に溢れているが、論理的な推論や計算は、それ自体考えることではないと著者は述べる。
    「考える」というのは、論理による推論や計算や観察を、問題解決のもとに取捨選択してうまくつなげることだと。
    現代的に解釈すると、GPTに代表されるAIが推論した結果を、問題解決のために取捨選択して再構築することこそが、生物の中で人間に唯一与えられた能力である「考える」ことなのかもしれない。

    本書は哲学者が著したものではあるが、著者の専門に基づいた哲学的フレームワークや思考法を用いて論考を進めていくのではなく、あくまでも哲学者が読者に対して問いかけながら「考えることを考えさせる」というスタイルを最後まで貫いている。
    その中で、例え話に人工知能を考察するうえで有名な「フレーム問題」を挙げているが、著者はこの思考実験を通して読者に「常識、前提、言葉、問い、対話、懐疑、アウトプット」などの重要性を説いている。

    自己啓発的内容のビジネス書やセミナーでは、問題解決のためのツールとして論理的思考を全面に押し出してくるが、場合によっては論理は思考を停止させてしまうリスクもあるということを改めて考えさせられた。
    やはり前提や常識を鵜呑みにせず、懐疑や対話を通じて問題の本質を追究する行為こそが「考える」ということなのだと自分なりに解釈するに至った。

    また、時折挟まれる挿絵も本書の特徴である。
    著者は、「考える」ということは現実からいったん離陸して、可能性へと舞い上がり、そして再び現実へと着地することだと述べている。本書においても、挿絵の存在によっていったん著者からの問いに対して考える時間を与えられているようでほっこりする。
    そういう意味で、「読書は考えることそのものである」と言えるのではないだろうか。

    論理の罠に陥らないよう、今後も読み返していきたいと思える一冊であった。

  • 何度か読み返したい本。

    考えるとはどういうことかを、易しく導いてくれる哲学本。
    考える力がほしくて読んだ。
    考えるとは、問題が常に頭のすみにあって、あらゆることがその問題解決に繋がらないか意識しているってことらしい。
    考える方を育む本というより、「考える」という行為はどういう時に起こっていて、一般的に言われる「~して考える」(論理的に、や、自分で等)とは何か、を分かりやすく解説してくれてる本だった。
    作者の考えた「考えるとは」を凄く的確に言葉にしてて、漠然と使ってた言葉がこんなに解体の余地があったんだなってハッとしたし、これが考えるってことなんだろう。
    あと、話口調で取っつきやすいから、初めての哲学書でもなんとかなった。

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著者プロフィール

1954年(昭和29年)東京都に生まれる。85年東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院教授を経て、現在、立正大学文学部教授。専攻は哲学。著書に、『論理学』(東京大学出版会)、『心と他者』(勁草書房/中公文庫)、『哲学の謎』『無限論の教室』(講談社現代新書)、『新版論理トレーニング』『論理トレーニング101題』『他者の声 実在の声』(産業図書)、『哲学・航海日誌』(春秋社/中公文庫、全二巻)、『はじめて考えるときのように』(PHP文庫)、『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』(哲学書房/ちくま学芸文庫)、『同一性・変化・時間』(哲学書房)、『ここにないもの――新哲学対話』(大和書房/中公文庫)、『入門!論理学』(中公新書)、『子どもの難問――哲学者の先生、教えてください!』(中央公論新社、編著)、『大森荘蔵――哲学の見本』(講談社学術文庫)、『語りえぬものを語る』『哲学な日々』『心という難問――空間・身体・意味』(講談社)などがある。訳書にウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(岩波文庫)、A・アンブローズ『ウィトゲンシュタインの講義』(講談社学術文庫)など。

「2018年 『増補版 大人のための国語ゼミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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