おかみさん学: なぜ人を育てるのがうまいのか

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569641331

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  • おかみさん(相撲界)、あるいは女将さん(料亭、旅館等)たちは、
    何とも封建的で、時に旧弊がのさばる環境の中で
    今日も健気に働いている・・・。

    この本を読んで思ったのは、
    おかみさん/女将さん業とは
    一見程遠いと思える業界で働く者にとっても、
    おかみさん/女将さんたちの働きぶりが
    参考になる部分は大いにあるような気がする、ということ。

    著者によると、おかみさん/女将さんの特徴は以下の通りだという。

    1.予備知識もない社会への果敢なる挑戦
    2.ほかの仕事と比べ、四六時中休まる暇がなく、損得抜きの滅私奉公
    3.仕事をする上で、手本とすべき熟達者に囲まれている
    4.周りに育ててくれる応援団がいる
    5.気配り、もてなし、心意気を兼ね備えている
    6.夫との二人三脚で、難局に立ち向かう
    7.プロ意識に徹し、 しつけ、しつけられる大切さを自覚している
    8.環境は厳しく、順風満帆ではないが、伝統を継承しながら、粉骨砕身している
    9.明るく前向きである

    これら9項目は、おかみさん/女将さんたちにとどまらず、
    全ての働く人々にとって必要なことではないだろうか。

    著者はこうも書いている。

    「報われないことが多い裏方仕事で、体力勝負ともいえる滅私奉公。
     そうしたやり切れない扱いに対しても、一切腐らず、
     困難な状況に立ち向かい、
     与えられた環境で精一杯の自己実現を果たそうとする気丈さ。」

    「根っからの仕事好き。
     仕事を通して、持ち前の創意工夫で成長させ、
     同時に、自らも成長させようとしている。
     伝統を重んじながらも、拘泥することなく、
     新しい息吹も吹き込みながら、自己実現を図ろうとする。」

    「弟子や従業員にも、人間形成の一環として
     仕事の場面では厳しくしつける。
     ただ、同時に気配りを働かせるという、
     プロとしての心配りも忘れていない。」

    「とにかく向学心が強い」

    「自らのおかみ稼業は、決して順境ではないが、
     逆境をものともしない心意気がある。」

    「これまでの実績を、決して自身の功績と思わず、
     周囲の先輩、熟達者、それに応援団によって
     育ててもらっている、と謙虚である。」

    「気配り、もてなし、心意気の原点は、
     家族の絆にあるようだ。」


    ここに書かれた一つ一つの言葉が身に染みる。

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著者プロフィール

早稲田大学大学院日本語教育研究科教授、日本言語政策学会前会長
モナシュ大学日本研究科 応用言語学博士(Ph.D)
専門:第二言語習得、言語教育政策、サスティナビリティ
主著:『ことば漬けのススメ』(明治書院、2010年)(第二回国際理解促進優良図書優秀賞)

「2019年 『持続可能な大学の留学生政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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