ニヒリズムの宰相小泉純一郎論 (PHP新書)

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著者 : 御厨貴
  • PHP研究所 (2006年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569652672

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ニヒリズムの宰相小泉純一郎論 (PHP新書)の感想・レビュー・書評

  • 「お前は海外の政治家の本ばかり、読むねんな?」というクエスチョンにお答えします。「いいえ、日本の政治家の本も好きです」という訳で、大野が尊敬するぽっちゃ同士の御厨貴先生の「ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論」という著書を今回読了したのでレビューします。

    御厨先生は、なぜ小泉元首相を「ニヒリズム」と呼ぶかの理由は、彼が「説得せず、調整せず、妥協せず」の「三無主義」でニヒリズムそのものだったと喝破します。

    まず、小泉さんの靖国参拝は最初の年が8月13日、2回目が春季例大祭の始まる前、3回目が1月14日、その次が1月1日だった。

    これを先生の解説によると、「思想や信条の一貫性が全然ないにもかかわらず、行くという姿勢だけは頑固に貫いている(中略)これは憲法を引き合いに出して「心の自由」という一言で押し切っている」というのだ。

    また彼は、例えば未知の憲法改正や女帝の問題についても、はっきりとした見識や主張や思想があるわけではない。全体を見ながら、「まあこれでいいんじゃないの」という程度で話の事を運んでいると思うそうだ。

    これは、日本政治史の中で稀な事だそうだ。自分が確信をもてないその手の話には基本的に口をつぐんで黙っているのが普通だったそう。ところが小泉という人は平気で口にする。彼は今までにはいなかったタイプの総理大臣であり、これを考慮するのが宰相・小泉を考えるにあたって大事な事だそうです。

    また、彼は「自民党をぶっ壊す」と唱えて総理になったが、この過程でも彼の個性が出ていたとのことであった。

    彼が総理を争った有力候補は故橋本龍太郎氏。経世会(元田中派)で数の優位は歴然としていた。しかし、地方票が小泉を総理の座に押し上げたのだ。つまり世論が彼に味方をしたのだ。

    これに当たって、小泉さんが利用したのは「党外の力」それは「国民の力」であり、「マスコミの力」だったのだ。小泉さんは、マスコミの世論調査をよく引用し、これに上手く合わせる形で政策運営をやっていくことに傑出した能力を持っていたという。

    次に、野党との対峙法。選挙で民主党の岡田さんが、自分にも政権を担う力があることを盛んに表明したので、小泉さんに「それなら実績があるのか」と言われた。岡田さんは「ああ、本当はありません」というような顔をしていた。御厨先生は、むしろ平然と「その実績を作るためにこれだけやっているのだ」と言えばよかった、と述懐する。

    話は少しずれるが、御厨先生が海外の若手の政治学者と懇談する時、よくヨーロッパでは「大統領化現象」が起きているという。これは小泉さんのようなカリスマを持つ政治家が政治を担う、というものであり最終的には全てを国民投票で決定するという、議会を軽視するものだとする。

    このように小泉さんに、カリスマ性が身についた原因として、首相就任前に2回総裁選で敗北しているという事実がある。彼は「当選するわけはないのに立候補する」と奇人変人扱いされる。その体験を通じて、総理になるコツを得る。例えば政策については、他人と少し異なったスタンスで行く必要がある、といったところだ。

    政治家やマスコミも小泉さんが総理になったときのパラダイムシフトに気が付かなかったという。その当時の新聞は橋本圧勝を予想していた。

    そのパラダイムシフトを通じて、奪取した総理大臣職であったから、従来のように党の力にはお世話にならない。例えば竹中平蔵さんを重用して、経済財政諮問会議をうまく活用して構造改革を推進した。

    また、彼はとてもツイていた。人気者の田中真紀子さんを(外務大臣)から切ったのは英断だったが、そのせいで支持率は落ちなかった。

    総括として、小泉純一郎は「小泉劇場」をもってして、自分の培ってきたカンを頼りにして、国民世論を味方につけた。日本国民も今まではいなかったタイプの政治家に良... 続きを読む

  • 内容的に取り立ててレビューする内容はなかった。ニヒリズムとは、虚無主義(きょむしゅぎ、英: Nihilism / 独: Nihilismus)ともいい、この世界、特に過去および現在における人間の存在には意義、目的、理解できるような真理、本質的な価値などがないと主張する哲学的な立場である。名称はラテン語の Nihil (無)に由来する。

  • オーラルヒストリーの御厨貴さんの本

    「劇場熱」にやられた国民、小泉流のメディアの使い方等手法について言及されていて、熱が冷めない時期に書かれたものとしては非常に正しい指摘

    劣化コピー的なハシズム等への対策本としても有用かと思います。

  • 東京大学先端科学技術研究センター教授の御厨貴(1951-)が安倍内閣発足直前に出版した小泉首相論。

    【構成】
    序章 三つのタブーがなくなった
    第1章 選挙を好感度調査にした男-宰相・小泉の登場
    第2章 数の政治から劇場型政治へ-宰相・小泉の手法
    第3章 小泉内閣の歴史的な意味-宰相・小泉と自民党
    第4章 なぜ小泉政治は面白いのか
    第5章 小泉劇場のライトモチーフ
    特別対談 小泉時代 日本はどう変わったか-松原隆一郎との対話

    小泉政権の時期に様々なメディアで取り上げられた小泉首相の政治手法の特徴が述べられている。大嶽秀夫『日本型ポピュリズム』などと比べてもかなり薄い内容であり、実力のある歴史学者が書いた本とも思えない出来である。

  • 大学1年生の頃、御厨先生の授業を取っていたので買いました。

  • オーラルヒストリーの第一人者である筆者が、小泉政権について述べている本。

    時々筆者の意見が入っているが、5年以上たった現在、それが当たっていることも多い。その検証の意味では、決して悪くはない本だと思う。

  • [ 内容 ]
    空前の支持率で五年の任期を全うした総理大臣・小泉純一郎とは何者だったのか。
    人品骨柄から権力構造までを再検証する。
    聖域なき構造改革、ワンフレーズ・ポリティクス、サプライズ外交など、小泉劇場を語るには欠かせないキーワードの奥には、新しい政治の胎動が垣間見える。
    この大転換は世界的な潮流なのか?
    なぜ小泉政治はこんなに面白いのか?
    説得しない、調整しない、妥協しないという「三無主義」を貫いてきたニヒリスト首相を解剖することは、まさに21世紀の政治を見通すことになるだろう。

    [ 目次 ]
    序章 三つのタブーがなくなった
    第1章 選挙を好感度調査にした男―宰相・小泉の登場
    第2章 数の政治から劇場型政治へ―宰相・小泉の手法
    第3章 小泉内閣の歴史的な意味―宰相・小泉と自民党
    第4章 なぜ小泉政治は面白いのか
    第5章 小泉劇場のライトモチーフ
    特別対談 小泉時代日本はどう変わったか―松原隆一郎との対話

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    [ 参考となる書評 ]

  • 20110211 新しい知見は得られなかった。

  •  小泉純一郎を論じた一冊。小泉首相を、個人的なキャラクター、派閥・政党との関係・現状・変化、戦後政治における歴史的な位置といった視点から分析している。「説得せず、調整せず、妥協せず」の三無主義が小泉の政治手法の特徴であるとし、そこにはある種のニヒリズムが存在すると指摘する。
     本書を読んで感じるのは、政治におけるパーソナリティの重要性である。強力な小泉政治の背景として、内閣制度の強化や小選挙区制といった制度的側面を強調する論もあったが、やはり小泉自身の独特なパーソナリティが大きく政治に影響していたのだということを再確認できた。
     本書は、非常に読みやすい。しかし、その分、内容はやや薄く感じた。同じような内容の繰り返しが多い気がする。他の小泉内閣を扱った本に比べればやや物足りないか。
     

  • 美しい国へを読んだときも思ったけど、政治って結構面白いよね、こうやって説明されれば〜(笑)小泉さんのすごさと適当さがよくわかりました。

  • 5年に及ぶ小泉内閣を分析した1冊。小泉純一郎という人間に注目し、現代政治における彼の存在意味と方法論という視点で論じているのが良い。政策で論じるよりも、文化論で論じる方が小泉首相を分析しやすい。それだけ特異な首相であり、歴史的に見ても存在意義の高い首相であったことはこの本が書くとおりに思え、興味深く読めた。「小泉以後」の政治が気になるところだ。ただ、この本は、同じ内容を何度も繰り返し語りすぎることがいささか気にかかる…。

  •  退陣を控えた小泉首相が、ついに「終戦の日」に靖国神社を参拝した。彼にしてみれば、公約の遵守であり、有終の美を飾るにふさわしいセレモニーだったのだろう。有言実行という一点に限定すれば、立派なものだとは思うが、「参拝は個人の自由」というのであれば、公用車もSPも一切従えず(玉串料をポケットマネーで払っても、公費を使っている)、単身「個人・小泉純一郎」として参拝すればいい、とは思っていたが。
     気がつけば五年に及ぶ長期政権を維持した小泉首相。本書は熟練の政治史家が、その意義を分析したものである。小泉首相が、その自覚もないままに、従来の政治のあり方を破壊・変革したこと、そして、その多くが不可逆の変化であることが指摘されている。
     いずれ、小泉首相の功罪を冷静に見極める時が来るであろうが、その際の基本文献の一冊となるであろう。

  • 「オーラル・ヒストリー」で有名な御厨貴氏による小泉内閣論。最近、小泉内閣を論じた書物が多く刊行されているが、この本はまあ読み物としてはおもしろいといった程度かと思われる。

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