現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!

制作 : 仲正 昌樹 
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569655611

作品紹介・あらすじ

「現代思想」は死んでません。フーコー、デリダからロールズ、ローティ、ネグリ&ハートまで「現代思想」の新しい見取図を徹底ガイド。

感想・レビュー・書評

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  • ドラッカーとアドルノって、同じフランクフルト大で、つながらないの?と調べてる途上で出てきた本

    【要約】


    【ノート】

  • ベンヤミン「静止状態の弁証法」、「救済する批評」⇔ヘーゲル「絶対精神の弁証法」p77

    ハバーマス「コミュニケーション的理性」
    ①客観的世界における「真理性」
    ②社会的世界における「規範適合性」
    ③主観的世界における「誠実性」
    討議において以上3つの形式的な妥当性を要求する。p86

    【ドイツのポストモダニズム的なメディア論】p96
    〜はフランスのポストモダニズムの影響下にあり、コミュニケーションに先行するエクリチュールやメディアの作用に着目するものである。だが、フランスのポストモダニズムの影響だけでなく、フランクフルト学派第一世代のベンヤミンの美学(知覚)理論、アドルノやゾーン=レーテルの交換理論、ルーマンの社会システム論等をメディア論として読解し、彼らの理論を社会分析に応用しようとするものでもある。
    eg. フリードリッヒ・キットラー、ペーター・スローターダイク、ヨッヘン・へーリッシュ、ノルベルト・ボルツ等。
    キットラー:ミシェル・フーコーの言説分析やジャック・ラカンの精神分析の強い影響を受け、彼らの理論をメディアやテクノロジーの展開と結びつける独自のメディア論を展開する。

    【反射的均衡とは?】p175
    ロールズの倫理学方法論を表現する反射的均衡(reflective equilibrium)
    →特定の初期状態から得られた原理を、熟慮された道徳的判断と付き合わせる。そのさい、道徳的判断と原理が適合すればその原理は適切なものと判断されるが、一致しない場合はには①初期状態の記述を変更して再度正義原理を導出するか、②現在の道徳的判断のほうを修正するか、のいずれかの方途をとることになる。
    ⇒熟慮された判断と原理(と初期状態)とを付き合わせる作業を繰り返し、最終的に原理と判断が合致する初期状態の記述を発見する。そうした事態が反射的均衡と呼ばれる。

    ロールズは正義の二原理、原初状態をめぐる議論が、こうした反射的均衡をもたらすものと判断しているのだ。
    公正としての正義の方法論は、このように、社会契約論的な思考実験と反射的均衡という倫理学方法論との二つの軸を持つものといえるだろう。

    【ノージック「最小国家」】p178
    「暴力・盗み・詐欺からの保護、契約の執行」にその任務を限定する国家のあり方。

    【スピヴァク「サバルタンは語ることができるか」】p224
    「学び捨てる unlearn」:私たちは、自分達が得た知識の特権性を解体した上でそれを再構築しなくてはならない。

    【ネグリ+ハートの帝国論】p227
    帝国とは:「『帝国』とは権力の領土上の中心を打ち立てることもなければ、固定した境界にも障壁にも依拠しない。『帝国』とは、脱中心的で脱領土的な支配装置なのであり、これは、そのたえず拡大しつづける開かれた境界の内部に、グローバルな領域全体を漸進的に組み込んでいくのである。『帝国』は、その指令(コマンド)のネットワークを調節しながら、異種混交的な(ハイブリッド)なアイデンティティと柔軟な階級秩序、そしてまた複数の交換を管理運営する」

  • 自分には難しかった。俯瞰図表もあるが結局複雑だった。

  • 北田先生による自由概念の分節化はなるほど感ありました。あと、カルスタの章の「コード化/脱コード化」の話とサバルタンの話は、普通に実務的にジャーナリストだったら必読だなぁと思いました。ぼくはジャーナリストではないですが。

  • 読書案内は非常に参考になる。
    あとは、ざっくりしすぎていてなんともいえない。

  • 「ルーマンの社会システム論は、「人間 Mensch」を特殊な社会システムを継起させるコミュニケーションの担い手としての「人格 Person」としてだけ考慮し、コミュニケーションの主体として問題にすることはない」

    振り返って見てみれば、昭和の時代というのはこの「人間」というものを極めて単純化させたモデルが中心となっていた時代なのだなと思う。それは何もルーマンにかぎらず、いわゆる「ポスト」ではない近代西洋合理主義と見做されるものはたいていどの分野においてもそうなのである(言うまでもないことだけど)。

    その弊害として生まれてきたものに対して、やっぱりこのモデルは間違えていると考えたのがポスト的思想であり、また宗教的にも人間の全体性だとか大地といった、集合的なものに注目が強く集まるようになってきた。

    ただ、ルーマンのように人間を単純化したモデルやそこから生み出される弊害というのは、観察対象としてみれば面白いのも確か。ポスト以降の思想って、人間を包括しようとしているあまりに、抽象的になりすぎたりして有効性を失っているなと感じることも多い。言うなれば、発展性に乏しい。ポスト的な思想が別の発展性を所持しているといえば、まあそれでも良いのだけど。

    もともと僕はルーマンだとか心理学の行動主義だとか、あるいは哲学におけるヘーゲルだとか、そういったものを苦手に思ってきたけれど、それを絶対の真理のように受け取らず、あくまで一種の思考実験であることを強調して受け止めれば、これほど面白いものもないのではないかなと今更ながら感じるのだ。

    こう考えている人は何も僕だけではなく、これまた数多くの先人がいるわけであるが、それはそれだけポスト思想が現代に浸透しているのであり、その反動として起きていることの証左であるように思う。

    ということで、過去の哲学やら社会学的な理論は、古くて使えないのではなく、まだまだ有効価値があるよというお話。

  • PART 1 を読んだ。分かりやすかった。続きはまた今度。

  • 近代思想の全体をかじった上で、現代思想も覗いてみたいがちょっとコンテクストがわからない、という人にオススメの本。
    現代思想は先行研究の量も何もそれ以前の思想よりは少ないわけだし、その枠組みも評価もまだ定まっていないので、入門とはいえど各著者の講義のようなものである。すなわち著者の視角というのが比較的大きい。(要するに偏ってるということ、まぁ出してるのがPHPだしry

    だから、この本を手掛かりに色々なものを読んで自分なりの現代思想解釈を築いて欲しい。入口としては非常に平易だし、推薦書籍なども載っているのでとても親切な本である。

  • なぜか、我が国では思想に「流行」がある。実存主義が流行したかと思えば、そんなことがなかったかのように構造主義がアカデミズムを席巻し、時が経てば、次はポスト構造主義・・・といった具合に。

    なぜだろう。思想は流行するようなものではないはずなのに。

    この書の帯にはこう書いてある。
    「『現代思想』は死んでません」

    アカデミズムの流行にとんと疎い私はこの煽り文句に驚く。ああ、そうなんだ。「現代思想は死んだ」と思われているのか・・・と。

    私なんぞは、未だにボードリヤールの思想を方法論として政策化できないものかと考えているくらいなのに・・・そうか、「ボードリヤールなんて古臭いよ、そんなものやってて何になるの?」といった扱いを受けるのかな?

    ま、それでもいいや。人は人だ。

    さて、同書についてはコンパクトに「現代思想」が系譜だててまとめられている。参考書代わりに通読した。

  • 興味深い著者の名前がズラリ!!

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著者プロフィール

藤本 一勇 1966年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。現代哲学、表象・メディア論専攻。著書に『情報のマテリアリズム』(NTT出版)、『外国語学』(岩波書店)、『批判感覚の再生』(白澤社)、共著に『現代思想入門』(PHP研究所)、訳書にプレシアド『カウンターセックス宣言』『あなたがたに話す私はモンスター』、デリダ『散種』(共訳、以上 法政大学出版局)、同『プシュケー I・II』『哲学のナショナリズム』、デリダ/ルディネスコ『来たるべき世界のために』、デリダ/ハーバーマス『テロルの時代と哲学の使命』(以上 岩波書店)、バディウ『存在と出来事』『哲学の条件』(以上 藤原書店)ほか。

「2023年 『テスト・ジャンキー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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