現代活学講話選集7 王陽明 知識偏重を拒絶した人生と学問 (PHP文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569665665

作品紹介・あらすじ

著者には、東京帝国大学の卒業記念として出版された『王陽明研究』と、「王陽明伝-王陽明の生涯と教学」(王陽明生誕五百年記念『陽明学大系 第一巻』所載、昭和46年)の名著がある。本書は、この名著を下敷きに、「分りやすく」と「平明に」を念頭に、王陽明と陽明学について説いた講話集である。難解と言われる陽明学の入門書にして、本シリーズの掉尾を飾るに相応しい、師の「陽明学第三の名著」である。

感想・レビュー・書評

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  • 王陽明の生誕から死までの人生と教えを解説した書です。

    王陽明とは、明代の中期の儒学者で、陽明学を顕した方です。。
    朱熹の理説を批判し致良知、知行合一、すなわち、知と実践を同時になすことなどを唱えました。

    気になったことは、以下です。

    ・江戸の大塩平八郎へ影響を与えた。実践的な求道者とある
    ・家として、王陽明の家系を説明している。

    ・聖人は必ず学んで達することができる。

    ・人間として、真面目であるが、こちこちで融通のない人間になってはならない

    ・只管打坐(禅語:一心不乱にひたすら座禅を組むこと)もいいが、しばしば頭をひねららせた

    ・朱熹(朱子学)も王陽明(陽明学)も、師との出会い、師との関係はおなじような体験をもっている。師とはそれほどまでに大切である

    ・五溺とは、儒教にである前までに夢中になったもの、任侠、騎射、文学、道教、仏教である。

    ・伝習録:王陽明の弟子がまとめた、陽明学の入門書、手紙なども含まれている

    ・王陽明も科挙には悩まされた。郷試には受かったが、会試、殿試にはやぶれて、いったん故郷にもどっている。

    ・文官にもかかわらず、山賊退治に駆り出されている

    ・独立とは、独り立ちすること。自分独り、世の中がどうであろうと、他人がいかにあろうと何物にも頼らずに自分自身に徹して生きて行く、独立とはそういう意味である。

    ・格物到知 とは、格物:主観の徹底、到知:客観の徹底。人が主観主義の思想を底の底あで考え抜くか、骨の髄まで生き抜くかしたとき、初めて自己の内に見出すことのできるものが真の客観性であるというもの

    ・山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し

    ・最後に日本の江戸時代に陽明学が伝った経緯に触れている
     朱舜水が、日本にもたらした。水戸光圀、中江藤樹、熊沢蕃山、三輪執斎、山田方谷、春日潜庵、河井継之助、そして、大塩平八郎
     朱子学が中心だった、江戸幕府の碩学たちは、陽明学を過激な思想と見なしていたきらいがある。

    目次

    文庫版のまえがき
    第1章 生誕の秘話と青年時代
    第2章 「五溺」と発病求道
    第3章 「竜場徹悟」と教学の日々
    第4章 最後の軍旅と長逝

    安岡正篤先生の現代活学講和選集
    1 十八史略 上
    2 十八史略 下
    3 孟子
    4 人生の五計 困難な時代を生き抜く「しるべ」
    5 酔古堂剣掃
    6 先哲が説く指導者の条件「水雲問答」「熊沢蕃山語録」に学ぶ
    7 王陽明(本書)

  • 講演録なので読みやすいが、内容は陽明学を説明したものではなく、王陽明の生涯について語ったもの。また、著者本人の自伝的な事柄も交えつつ語られるのでやや冗長に思える部分もある。

  • 陽明学についてではなく、王陽明の生涯を物語的に書いてある。
    致良知:もともとある力を発揮する、より良くを実現する。
    知行合一:分けない。主観と外部が同時連動している。

  • <目次>
    第一章 生誕の秘話と青年時代
    第二章 「五溺」と発病求道
    第三章 「竜場徹悟」と教学の日々
    第四章 最後の軍旅と長逝

    <メモ>
    ・素読
    子どものときから、わかってもわからんでもいい、聞かしておくということは、大変意義がある。素読などはそういう意味でも、決して軽視することのできない、軽々しく取り扱うことのできない、非常に大事なことであります。(35)

    ・養子
    先生にはまだ実子がなかった。三人の弟と一人の妹があったが、どの弟たちにも子がなく、父の竜山公も心配して、結局、叔父・王こんの孫、陽明からは再従子の正憲を貰ってこれを世継に定めたのであります。(134)

    ・流行
    流行というものは、それだけ民衆化するわけです。そうなると、ちょうど心理学で言う群集心理と同じことで、どうしても堕落する。流行は何によらず軽薄となり、ともすれば本筋を離れた異端に走る。そこに流行の危険性があり、とんだ間違い、誤りを生ずる。そういう意味で、流行は原則として非常に慎むべきことであります。そこで真実を愛する人、あるいは正しい識見を持った人、ゆかしい情操を持った人というような人々は、総じて流行を嫌う。あるいは流行を慎む。何でも流行すると、流行の弊害を防いで真実を維持するということは難しくなります。(199)


    2013.09.09 読書開始

  • 王陽明の生涯を追う形式。その思想の詳細を知ることはできません。

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著者プロフィール

明治31年大阪市に生まれる。
大正11年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業
昭和2年に金鶏学院を設立。
陽明学者、東洋思想家。
終戦の詔の起草者の一人。
昭和58年死去

著書
『易學入門』『全訳 為政三部書』『東洋思想と人物』『暁鐘』『王陽明研究』『陽明学十講』『朝の論語』『東洋学発掘』『新編 経世瑣言』『新憂楽志』『老荘思想』『古典を読む』『人物・学問』『光明蔵』『政治と改革』『古典のことば』『この国を思う』『儒教と老荘』『旅とこころ』『王陽明と朱子』『人間維新Ⅲ』『憂楽秘帖』『明治の風韻』『天子論及び官吏論』(明徳出版社)

「2000年 『人間維新 III』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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