旅順攻防戦の真実: 乃木司令部は無能ではなかった (PHP文庫 ヘ 5-1)
- PHP研究所 (2006年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569666051
感想・レビュー・書評
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司馬遼太郎史観から脱却するには良い本。
内容にリアリティがある。 -
司馬史観に侵されている私にとっては『坂の上の雲』『殉死』を読むかぎり、乃木希助将軍を「無能」「ダメ上司やん」「俺の会社にはいらん」的な印象をずっと持っておりましたが、やはり歴史認識は一方通行では駄目でして、まずは疑ってみる事が大事だと思いこの本書を選択したんですが、確かに筆者さんは軍事・兵法に詳しい方らしく、日露戦争当時の状況から的確に戦況を分析し、乃木将軍の判断は間違ってなかったよ~って説明してます。はい。
んで、当の私は戦況を読めない上に地名も読めず(ルビふってよ、も~)どっちがロスケでどっちがナデシコジャパンなのかワケカメになってしまう時も時々ありましたが、とにかく筆者さんの言うとおりでよろしいんではないのでしょうか。
ああ~乃木さんゴメンね。私は貴方をずっとダメポな方だと思っておりました。今度息子が生まれた時は必ず”希助”にしますよ!って予定はありませんが。。。
日露戦争勝因の最大の決戦は一般的に奉天会戦と日本海海戦だと言われていますが、実は旅順攻防戦にこそ大勢を定めた戦いであったと戦後、東郷せんせと秋山せんせが語ってたというのが何よりも印象に残りました。NHKさん、今年も頼みますよ~ -
近代史を知るには、軍事的知識が不可欠であることがよく分かる本。旅順攻防戦は無駄に兵士の命を犠牲にした愚かな戦いだったのか。否、塹壕戦では攻守ともに多大な犠牲を要する。その消耗戦に耐えた方が勝利者となる。 日露戦争と言えば、『坂の上の雲』が最も有名だが、司馬遼太郎の軍事的知識の欠如と思いこみ、乃木希典への私怨のようなものが、戦史の記述をゆがめてしまっている。『坂の上の雲』を読むのなら、本書も読まねばならない。
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「乃木無能」論と言ったら、陸軍に恨み骨髄の元戦車兵著すところの国民的名作『坂の上の雲』だけれども、本当か。
戦争体験のない我々は、戦争を対象化して捉えることが可能になるので、本書辺りを参考に要塞戦の目的とするところは何か、とか、当時の水準は那辺にあるのか、とか、詰まるところ今世紀に入って俄に解放された「戦後イデオロギの呪縛」抜きに考えることができるのである。