淋しいおさかな (PHP文庫 ヘ 6-1)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569666822

感想・レビュー・書評

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  • 不条理といえばの別役実による童話集。
    こわいおはなし、ばかばかしいおはなし、いじわるなおはなし、さみしいおはなしがたくさん。

    大人のための童話ではなく、実際NHKで「おはなしこんにちは」として2年間も朗読されたそうだ。視聴者の反響はどうだったのか。幼児にうけたのか、気になる。

  • 40年前からの愛読書(三一書房刊行のもの)
    不条理をしみじみと味わうような物語と思っていたのだが、3.11原発震災以降、これらの物語群の描く不条理が他人ごとではなくなってきている感じがします。
    街中の人たちが何年も何年もかけて掘ってきた巨大な穴、その大工事の目的が実は何もなくて、無為に暮らしていると街に諍いが絶えないから始まった工事だった、次は何年もかけてそれをみんなで埋めていく。
    あるいは、何の役に立つのかわからない巨大な機械が街の中心に据えられていて、それを撤去しようとすると機械が作動して妨害する。そうやってそこにあることだけが目的の黒々とした機械。
    親があちこちの街でお星様を売りつけるという詐欺をやり、その結果困窮してしまった街が随所にあり、その息子がその後始末に、お星様の行商を…
    これらの不条理と、我々が現在抱え込んでしまっている原発に代表される不条理を重ねると…ぞっとする。この本の肌合いが、全く変わって迫ってくるのです。

  • 淋しいおさかなだけ読みました。

    悲しくて、綺麗な物語。

    ひとりぼっちの少女が、淋しいおさかなに会うために沢山の冒険や苦しい思いをして海まで行ったのに、淋しいおさかなは少女が来ないからどこかへ行ってしまった。

    結局、おさかなは淋しいまま。
    少女はひとりぼっちのときには淋しいを知らなかったのに、おさかなと出会い、おさかなに会えなかったことでやっと淋しさが分かった。
    淋しさが分かったことは、良かったのか、悪かったのかは判断できない。

    とても悲しくて、それと同じだけ綺麗な物語だと思いました。




  • 作者らしくさらっと毒をまぶした童話群。

  • 子供の頃に読んだ大好きな本です。
    古本屋さんで単行本をようやく見つけて入手しましたが、知らない間に復刊されて文庫本が出ていたようです。
    手に入るかなあ。

  • 難しい言葉を使っていないのに詩的に感じる。場面が絵になり頭の中に浮かんでくる。

  • どこかの町の童話集。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない不思議な読後感。

  • 出版社/著者からの内容紹介
    今から30年ほど前、「おはなしこんにちは」というNHKの幼児向け
    の人気番組があったのを覚えているでしょうか。そこで朗読された童話が、本書
    に収められた、別役実氏の書き下ろし童話でした。
    表題作の「淋しいおさかな」をはじめ、「煙突のある電車」「猫貸し屋」「穴の
    ある町」「可愛そうな市長さん」など、22作に共通するのは、穏やかな始まり
    と、虚をつくような結末、あるいは哀愁漂う結末など、いわゆるハッピーエンド
    で終るような童話ではなく、大人の鑑賞にたえ得る童話という点でした。それ
    は、この作品集が単行本として刊行された当時、大人の支持を受け、版を重
    ね、復刊を望む声が多かったことでもわかると思います。まさに、本書は「大人
    のための童話集」の走りだったのです。
    当時の番組をリアルタイムで見た子供たちは、今、40代の働き盛り。かつて自分
    が子供だった頃を、本書を読んで思い出してみてはいかがでしょう。名作、待望
    の復刊。

    2008.10

  • 市民図書館に設けられた、いらない本を置いて行くスペース。そして欲しい本があったらそこから貰っていったり出来るんですが、そこから持ってきた本。
    ものすごいマイナーだけど、ものすごい面白いです。単純なのに単純じゃない、答えの出せない話が多いです。話は完結してるのに、自分の中では完結しない感じがいい。短い話が20以上納められてるんですが、どれも例外なく面白いです。ぼんやり切なくて、内容とは別のところでなにかが組み立てられていく感じ。
    童話で言葉も易しいんですけど、きっとどの年代が読んでも面白い。小さい子が読んだら不思議なファンタジー要素が楽しめると思うし、大人が読んでも何かを得られるような気がします。

  • これは復刊ですが、私の持っているのは初版5刷で、高校時代に友達にお見舞いにいただいたもの。
    今から30年ほど前、「おはなしこんにちは」というNHKの幼児向け
    の人気番組の中で語られたお話。表題作の「淋しいおさかな」をはじめ、「煙突のある電車」「猫貸し屋」「穴のある町」「可愛そうな市長さん」など、22作。

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著者プロフィール

1937年、旧満州生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。東京土建一般労組書記を経て、1967年、劇作家になる。岸田國士戯曲賞、紀伊國屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞、朝日賞など受賞多数。2020年3月3日逝去。

「2024年 『増補版 言葉への戦術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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