「三国志」軍師34選 (PHP文庫 わ 12-2)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569670096

作品紹介・あらすじ

「三国志」の魅力は、幾多の武将の活躍と、軍師たちの戦術にある。本書は、その中から軍師のみ34人を選び出し、彼らの生き方と果たした役割を、人物ごとにまとめたものである。世は戦乱の時代、大きな変革の時代である。軍師たちは、時代の趨勢をいかに読み、いかなるグランドデザインを描き、いかなる戦術を立てたのか?「三国志」への興味がますます深まる一冊といえよう。

感想・レビュー・書評

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  • 三国志検定3級。「武将」を中心とした三国志の世界観をいい意味で変えてくれる本。「名士」「君主」「武将」の関係など新しい視点を学ぶことができました。

  • なにせ34人も出てきます。演義では孔明や周瑜、果ては袁術なんかにも勝てないような軍師までスポットが当たってるのでマニアは必見かと思います。

  • 読書録「「三国志」軍師34選」3

    著者 渡邊義浩
    出版 PHP文庫

    p96より引用
    “阿瞞という曹操幼時の字を呼び、「おまえは
    私を得なければ、冀州を獲得できなかったの
    だぞ」といったりもしました。確かにそのとおり
    なので、曹操は笑って、「おまえの言葉は正し
    い」といいましたが、心中これを非常に嫌悪
    しました。”

    目次から抜粋引用
    “軍師とは何か
     軍師の誕生
     多士済々ー曹操とせめぎあう軍師たち
     忠義を尽くすー劉備を支えた軍師たち
     悲劇の群像ー孫権と生きた軍師たち”

     文学博士であり三国志学会事務局長であ
    る著者による、三国志に数多く登場する人物
    達の中から、とくに軍師について選び出し解説
    する一冊。
     多くの人がその名を知っているような有名
    な人物から余程の三国志ずきでなければわか
    らなさそうな人物まで、君主や周囲との関係
    まで含めて書かれています。

     上記の引用は、曹操の幼なじみである、許攸
    という人物を紹介する項での一文。
    親しき仲にも礼儀あり、ということわざの実例
    としてぴったりな逸話です。この後曹操に殺害
    されているらしいですから、どんなに自分の手柄
    であっても、人に恩着せがましく振る舞うのは
    自分にとって結局不利に働くのでしょうね。
    気をつけたいものです。
     参考文献の紹介を覗くと、著者の著作が
    ズラズラと並んでいて、なんだか複雑な気分
    になりました。それだけ著者が、三国志に通じ
    ているということなのでしょうけれど…。

    ーーーーー

  • 三国志に登場する軍師34人について、演義と正史のエピソードを交えて紹介する本です。

    軍師についての総論の後、国別に一人一人紹介していくわけですが、一番面白いのは実は総論でした。

    一般的には、軍師というのは、文官のイメージが強いと思います。しかし、中国では平時には文官、戦時には武官どちらともなれる存在であることを主張します。

    そして、何より、軍師になるような人物は、名士と呼ばれる中国内の有名人ネットワークを駆使しており、そのネットワークには派閥があったと語っています。そして、三国時代とは、名士の派閥間、および名士と主君の主導権争いの歴史であったことが示されます。

    派閥間の競争は、国家間のみならず、国家内部(例えば魏内部だけでも複数の派閥がある)でもあったことを本書では示しています。名士の派閥は、大きくは、儒学的な価値観を漢王朝維持に置くか、新王朝を立てる方に置くかに別れます。

    この時代においては、名士の派閥の力に抗するのは容易ではなく、かの諸葛亮でさえその呪縛から逃れられませんでした。それどころか、自分の派閥を拡大させようとさえしており、劉備との主導権争いすら演じているというのです。

    軍師達は、名士であるが故に人望とネットワークがあり、君主は彼らを臣下に持つことにより、民からも認められ国を治めることができたのです。しかし、軍師達は自分の持つ理想の儒学国家を目指しました。ここに、君主と軍師の対立の構図が浮かび上がります。

    本書では、名士を軸にして、魏が孫呉と蜀漢を滅ぼし中国統一を成し得た理由、その後司馬家により簒奪を許す結果となった理由をも解き明かしています。

  • 著者は三国時代は名士の時代だという。その影響力は強く、政権を安定させるためには、名士の協力が必要であった。実は諸葛亮と劉備の関係も単純なものではなく牽制を伴う関係であったとの分析は面白い。

  • ・門番だったユ乗の才能を見抜いた郭泰が、ユ乗を太学に留学させる。ユ乗は下座に座ったが、郭泰が下座の彼を尊んだので、太学では下座を尊ぶようになった。

    ・太学では古文である左伝は勉強されていなかった?今文の公羊伝は細かい分類で教えられていた。5経に14の博士が置かれていた。博士は自分の研究している1経のみ教授していた。

  • 山ピー選

  • 三国志の軍師物。
    と思ったら名士だったでござる。
    結構深いところまで書いてるなあ。
    マイナーな人物も出てきて、良い。

  • てっきり「最強の武将10選」的な羅列ものかと思ってたけど、名士層という切り口から系統立てて後漢時代を切り取った一冊。これまでの三国志もので抜けてた視点が補完されて、今までなんとなくスルーしてたことでその意味と流れを知ることもあったりして、なかなか興味深い内容だった。なにげに最近読んだ三国志ものの中では一番。



    例えば


    ・陳羣が荀?に推挙されたこと。

    ・陳羣が曹操の後継者争いでは曹丕についたこと

    ・陳羣が九品中正制度を制定したこと

    などは陳羣のプロフィールとして知ってても、それがどういう流れでつながるのかはピンと来てなかった。



    官位が売買されるようになった後漢時代に、学問(≒儒教)に秀でた「名士」と呼ばれる集団が腐敗した中央政界外の人材プールとして機能していた。

     ↓

    潁川群の名士グループに所属する荀イクは、そこから有用な人物を曹操陣営に数多く推挙した。

     ↓

    潁川群グループと儒教の影響力の拡大に対抗し、
    曹操は建案文学という新しい文化的価値を打ち出した。

     ↓

    曹操の後継者として曹丕と曹植との間に対立が生じるが、
    文学の面では曹植が勝っていた。 

     ↓

    「年長者が家督を継ぐべき」という儒の教えに基づき
    陳羣を始めとする潁川群グループは曹丕を支持。 

     ↓

    結果、曹丕が家督を継ぎ、見返りとして
    名士層の影響力を拡大する九品中正制度が制定される。



    こうすると個別の事実が一つの流れの中で、
    意味があるものに変わってくる。


    孫権と陸遜の関係とか、こういった切り口で再検証すると
    なかなか興味深かった。

  • ちょっと面白い角度からの三国志。
    タイトルどおり軍師切り。演義を下敷きにしているものですが、なかなかよみごたえあり。

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著者プロフィール

早稲田大学教授

「2018年 『中国時代劇で学ぶ中国の歴史 2019年版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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