血涙(上) 新楊家将(ようかしょう) (PHP文芸文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569671932

作品紹介・あらすじ

宋建国の英雄・楊業の死から2年。息子たちに再起の秋が訪れる。宋国と、北に位置する遼国は、燕雲十六州の支配をめぐって対立。かの地を手中に収めたい宋の帝は、楊業の息子で楊家の長・六郎に楊家軍再興を命ずる。かつて味方の裏切りに遭い、命を落とした父への思いを胸に秘め、立ち上がる楊家の男たち。六郎は、父が魂を込めて打った「吹毛剣」を佩き、戦場へ向かう。▼対するのは強権の女王・蕭太后率いる遼国の名将・石幻果。天稟の才を持つこの男は蕭太后の娘婿で、「吸葉剣」という名剣を佩いていた。その石幻果が父とも慕うのが、「白き狼」と怖れられる遼国一の猛将・耶律休哥。楊業を斃した男である。▼戦場で見えた六郎と石幻果。剣を交えた瞬間、天を呪いたくなるような悲劇が幕を開ける。軍閥・楊一族を描いて第38回吉川英治文学賞に輝いた『楊家将』の続編でありながら新展開。『水滸伝』『楊令伝』に登場する宝刀「吹毛剣」の前史がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 北方氏の作品はいくつか読んできたが、もっと早くに読むべきだった。まだ、下巻は読んでないのでなんとも言えないが、現段階では無類の傑作だと思う。

  • 前作の戦うことばかりしか知らないギラギラした四郎も好きでしたが、今作での自分の居場所と役割や生き方を模索し成長していく四郎はもっと好きです。人間臭さがあっていい。四郎と幻果の間で揺れ動き死の淵まで行くけれども、家族に支えられて幻果として生きることを選ぶくだりも好きです。あの、四郎が…人との交流とは疎遠だった四郎が…( ;∀;)最後は悲しい展開にはなりますが、遼の父母や家族に囲まれて幸せに生きることが出来たことは四郎にとって、楊家にいるよりも素晴らしい人生だったと思います。いいお話でしす。

  • 楊家将の続き。

    戦死したはずの四郎が生きている?
    刀を交わした時に感じる波動。

    戦とは何故にこれほど残酷で悲しいものなのか。

  • 楊家将の続編。残った2人の息子の伝記。この後に続く北方水滸伝に繋がる剣の由来も明らかになっているので、こっちを読んでから水滸伝を読んでもいいかも。複雑な構図の話が説明臭くなく、でも切なく書かれている。

  • 『楊家将』続編。上下巻。

    宋建国の英雄・楊業が味方の裏切りにより悲運の死を遂げて2年。
    生き残った楊六郎延昭と楊七郎延嗣の兄弟は、楊家軍を再興し再び遼と対峙する。
    倒すべき宿敵は遼随一の名将“白き狼”耶律休哥。
    彼の下には記憶を失った元宋軍の将・石幻果がいた。
    宋と遼、2つの国に生きる漢たちの宿命が戦場に交錯する―

    というわけで熱き北方節炸裂の本作が待望の文庫化。

    前作『楊家将』では楊業を中心とした楊一族の生き様が描かれていたけれど、この『血涙』で描かれるのは苦悩し、自ら道を選んで生き、そして死んでゆく人間。
    心身を引き裂かれるほどの悲劇を背負った石幻果、戦のみに生きてきた耶律休哥に生じる変化、守るべき国に不信を抱きながらも誇りのために戦う楊家軍…

    宋・遼双方をより深く描いたことで、前作以上に物語に厚みが出ていると思います。
    粗筋だけ見るといかにも男臭いけど、女性が読んでもきっとおもしろい。

    物語の最終局面、因縁や恩讐を超え喜びにも似た感情をもってぶつかり合う楊六郎と石幻果の対決は思わず鳥肌が立つほど。
    是非『楊家将』『血涙』と続けて読んでもらいたい。オススメ。

  • 人物、ストーリー全て次元が違う面白さ。目の前で闘っているようなリアルな表現力。北方謙三ファンになった1冊。歴史本の範囲ではない。

  • 下巻にまとめ

  • 楊家将、待望の続編。あの感動が再び。

  • 前作に比べるとドキドキ感は薄れたけど、すばらしい作品。

    四郎が自分の本当の姿に気づく瞬間、気づいた後の反応には心が熱くなった。

    下巻がどのように展開されるか…、まだ楽しみが続くのが幸せです。

  • 上下巻合わせて書く。
    楊家将の後編。登場人物がいいな。どちらにも感情移入できるように書いているのだけど、遼がいい。簫大后がいい。
    西太后も我が身を投影して彼女のファンだったのだという。

    中国では楊家将は演技や京劇で人気があるようだ。
    しかしwikipediaの楊家将演義の項目を読むとまるで面白そうに思えない。そこが北方謙三のえらいところだと言えばそのとおりなのだけど、遼の簫大后が魅力的なのは北方謙三がそう書いたからで、少なくともWikipediaの記述を見る限り、西太后が何をどのようにしてこの人を気に入ったのか判断がつかない。

    この北方楊家将は中国人にとっても魅力的だそうで、それはそうだろうと思う。西太后に読ませてあげたい気はする。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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