「決断できないリーダー」が会社を潰す (PHP文庫 と 26-1)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569674094

感想・レビュー・書評

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  • 企業再生のスペシャリストが説く経営者論。


    以下、本の内容に触れます(ネタバレあり注意!)。


    感想
    非常に刺激的です。

    普通の人には体験できない、
    企業再生の修羅場を垣間見れます。

    修羅場で実際に直面する経営の問題は、
    戦略、戦術よりも、人間関係であり、
    人間関係の問題解決には他人に対する好奇心が不可欠、
    という下りが印象的でした。

    私は数年前に
    リーマンショックで職場の修羅場を経験しましたが、
    振り返ってみると、
    大きな問題の1つは、職場の人間関係にあったように思います。

    戦略・戦術は、実際の人間関係の中で機能しなくては、
    所詮絵に描いた餅になってしまいます。

    「修羅場でこそ人間関係が重要」、
    肝に銘じておきます。

    私的「メモっ得」ポイント
    ・仕事ができるかどうかのポイントは、ストレス耐性
     本当に追いつめられたとき、当たら前の仕事ができるか?

    ・経営責任は、誰にもとれない
     経営者は従業員とその家族の生活に責任があるが、
     責任はとろうとしても、実際はとりきれないので最善を尽くす。
     また、経営者の責任には、他にもいろいろあるが、
     株主よりも、従業員に対する責任が一番重い。

    ・失敗がないのは、勝負していないことの証
     勝負してこそ、成長できる。

    ★★★★= 80点以上 = I like it.

  • 「決断できないリーダー」が会社を潰す (PHP文庫) 2010/2/1

    リーダーのあるべき姿がわかる
    2010年9月30日記述

    冨山和彦氏の著作で、2007年6月に出版された「指一本の執念が勝負を決める」を改題し、加筆修正を加えたもの。
    500円と随分手頃な値段であることもオススメ。
    若い世代向けの本であり、リーダーのあり方や不退転の決意の重要性が書かれている。
    筆者の本の中では一番わかり易く書かれている点でもオススメ。

  • 2019年7月読了。
    会社の課題図書。

    「冨山節」

    賛否あると思います。
    ただ、自分にハッパをかける意味で読む。

    気になった箇所を備忘的に。

    43ページ
    ほんの60年、第二次世界大戦前後の日本の歴史を振り返るだけで、国の在り方が変わってしまえば勝ち組も負け組となることがよくわかります。
    ↑これはまさにそのとおり。亡くなったうちのじいさんが死ぬまで処分しなかった「戦時公債」なんてまさにそのもの。別に裕福な家でもないのに大量の戦時公債が後生大事に仏壇に保管されていたのを見た時には本当にしみじみした。ああ、なんて国という組織は不条理なことを自国民に課すのだろうと。「勝つために国民挙って公債を買って軍備に回そう」なんていって、おそらくたくさん買った人は褒められたりしたのだろう。でも戦争に負けてしまえばただの紙屑(ちなみにオレはじいさんが亡くなった後で昭和館に行って「どんな内容のもので価値なんてあるんですか」と質問しに行った。案の定紙屑同然だったわけだが)。価値なんてものは目線を変えれば一瞬で変わってしまうものだと思う。

    58ページ
    リーダーの資質とは何かと言えば、その一つはストレス耐性だと思うのです。
    ↑意外や意外、想像性でも行動力でもなく、ストレス耐性。まあ確かに経営者がストレス負けしてしまったら後の者が困る。

    67ページ
    人をリストラしなくちゃいけないような状況に陥ったとき、対処のポイントは、とにかく誠心誠意を尽くすということなのです。
    ↑こういうことが本当に自分でできるか、たまに考えることがある。

    74ページ
    メーカー勤務の人と、商社勤務の人が、例えば「長期」といった時に、それぞれが想定する実際の時間の長さが全く異なるという「言語領域」の違いについて。いつも同じ人に囲まれていると自分に居心地の良い「言語領域」にどっぷりつかって周囲を疑うことがなくなるので、あえてそのぬるま湯を出るように仕向けるようにしたいと思っています(なかなか難しいのですが)。

    96ページ
    「ガバナンスの本当の仕事は、社長の首を切ること」
    ↑そういう気持ちで仕事をするようにします。

    111ページ
    「仕事ができない上司にあたったら、何でも自分の思うようにすればいいし反面教師にして自分は同じことはしない」と考えればいい。逆に「仕事のできる上司にあたったら要注意で、仕事の終わりごろの良いところだけ持たせて自分がデキるやヤツだなんて勘違いさせられてしまうので、それこそ注意必要。本当に育てようと思ったらむしろあえてかかわらないほうがいい」
    ↑なるほどね、そういうふうに思われるものなのか。

    122ページ
    「どこで苦労するかというと、7割から8割はへちゃもちゃした人間関係、滑った転んだなんです。戦略を間違えたとか、マーケティングを間違えてピンチに陥ったという話は、大体2、3割です。」
    ↑これはよく分かる気がする。大概、周囲の人間と打ち解けながら仕事ができ、それなりに成果が出ていれば大きな不安はない。致命的なのは人間関係。どんなに仕事が好きでも周りで一緒に仕事しているヤツがムカつくヤツだと、本当にモチベーションが上がらない。

    158ページ
    「教駒的世界観」
    ↑そんな世界観があるのか(笑)。

    161ページ
    「よく自分の会社に留学制度がないから留学できないとか、福利厚生が悪いと、文句を言う若い人がいますが、それなら、自分で制度をつくってしまえばいいじゃないかと思うんですね。(中略)最初から舗装された道でしか走りたくないと思うような人は、そもそもリーダーに向いていないのです。」
    ↑安易な「自己責任」は好きじゃないけど、こうやって「出し抜ける人」はいて欲しい。「あれもダメ、これもダメ」と言わずに、自分でやってみれば、と自分にもハッパをかけたい。

  • 半分自慢本な自伝ものでしたが、正論は正論。

    でも、こういう人は社長でもない限り、会社には不要なのかなあとも。自分で言ってるとおり、排除される。

  • 何ともいえない心苦しさが残る。
    自分自身が、筆者の言う”決断できない”人間だからだろうか、言葉が突き刺さる。
    感じるところがあるなら行動すれば良いのだが、そこを変えられないところが困ったところ。

  • 以下メモ
    ・企業というのは良くも悪くもゲマインシャフト(自然共同体)的なムラ社会、その中で最も評価されるスキルというのは内部調整能力。
    ・組織が巨大であればあるほど、外敵と戦っているという感覚は鈍くなる。トップに登りつめた人=内部調整力に長けた人、しかしそれでは外敵と戦えない。
    ・ゲマインシャフト社会の中、とりわけ順調そうに見える集団の中では、どんなに優秀な人間であっても、ピーターの法則が言っているように、無能レベルに近づいていく。

    ・トーナメント制エリートは、負けを知らない。

    ◎経営者は絶対に責任をとれない。責任をとれないくらい重い責任がある。人は失業したり、病気になったり、明日のことなんて誰にもわからない。だれであっても、せいぜい出来ることは、自分と関わりをもってよかったと思ってもらえるように、全力を尽くすことだけ。
    ・なぜ戦略的合理判断がぶれてくるのかというと、それは人間の弱さの問題。内外からものすごく叩かれるし聞くも涙語るも涙の話がたくさん出てくる。人間は生身だから、自分の良心が痛む。そういう状況に立たされたとき、どうしても判断は間違った方向に振れていく。

    ・3日間くらい、寝不足続きに考えたとしても間違いない判断が出せるようでなければ、経営者とはいえない。〜異常発生事態のとき、年齢からくる粘りのない体での、”判断の間違い”が企業を破滅させた例を多く知っている。

    ・責任が問われない20代から30代前半は、負け戦をたくさんやれ。
    この時期に「ここでこう、うまく勝ちゲームにして、ここでリターンを取って」というような計算をするのは一番いけない。大きな仕事ができる人間に育たない。
    ・30代半ばまでは、自分がした体験から何を養分として吸収したかのほうが、見せかけの数字よりもはるかに重要。
    ビジネスの世界では35歳までは所詮ガキ。一過性のものとしか評価されていない。
    35歳までに築いたものは、たいていは確固たる基盤ではない。むしろその浮き沈みの中で何を学んだか。だからエリートコースではダメ。ゲーム自体も比較的勝率の高いゲームだから。
    ・若手が、あの人の下でだけは働きたくない、というのは馬鹿の骨頂。大変そうな上司の下にいた方が長期的に見るとおいしい。

    途中

  • 好奇心のない人というのは、人を理解することに本質的に興味がないのです。
    人間的な不合理・不条理、あるいは、人のもっている情緒に流される、だらしない、情けない部分に対して愛着がもてないのです。そういうものが嫌いだし、自分は関わりたくない。

  • 会社の経営とはどのようなものか、どのような能力を必要とするのかを書いた本。
    書いた人はエリートコース(東大、司法試験合格)であるが、なかなか面白い経歴の人である。
    また、産業再生機構にも携わっていたため、どのような企業は落ちて行くのか、廃れていくのかが説明されている。
    なかなか面白い内容だったが、著者が優秀(エリート)過ぎて話についていけない人もいるのでは?と思ってしまう内容だった。

  • 企業の再生化として有名な富山さんの一冊です。

    もちろんとっても頭の良い方なのですが、
    現在の会社がおかれる状況を幕藩体制。個々の能力の事を「戦闘力」とたとえ話がとても上手なお方です。

    自伝的な部分も多いですが、言葉だけは良く聞くものの現場の実態を聞くことが少ない、企業再生の話は続きをどんどん読みたくなります。

    他の彼の本も読みたくなる一冊です。

  • 買った後に「指一本の執念が勝負を決める」の文庫本だということが分かった。買う前に、同じ本だということが分かるようにして欲しかった。

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著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤(IGPI)グループ会長
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。2020年10月より現職。日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長、パナソニック社外取締役、経済同友会政策審議委員会委員長。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、国土交通省インフラメンテナンス国民会議議長、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)、『コロナショック・サバイバル』『コーポレート・トランスフォーメーション』(いずれも文藝春秋)などがある。

「2022年 『両利きの経営(増補改訂版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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