新幹線をつくった男 (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569677422

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  • D51にはじまり、湘南電車・新幹線といった戦前戦後の代表的なエンジニア、島秀雄について書かれた本。

    海外への視察から多くの刺激をうけたという先駆者マインド(パイオニア精神)。
    研究会を通じて自励振動等を解明して、技術の基礎を築いたエンジニアとしてのマインド。
    さらには鉄道省(国鉄)という組織にあって信念を通していくための体制(十河と組んだタッグあっての推進、とか)や挫折(潮時と悟り一度は国鉄を去ることとか)など…物事を志し、実現させるにあたっての様々な観点から、感じること多い一冊であった。

    加えて以下のような点が印象にのこった。

    ビジネス特急こだま(初めて東京~大阪の日帰りを可能にした)にせよ新幹線にせよ、はじめは懐疑的な目があったということ。
    世銀からの融資の意義深さと、それを得るプロセス。
    「既存の技術の組み合わせ」として開発するという姿勢の徹底ぶりやその大切さ(そうしてこそ事故をなくすことができる)。

    そしてまた、リニアが切り開く新時代への期待も、自ずと抱いてきた。技術者としてそれを「遺漏なく」支えるというのは、やりがいがあることだろうな。。

  • 開業以来.事故による死者がゼロと言うのは驚異的だ。外国でもその後新幹線はできたが、経験の無い所から創造した力は凄い。安全を追求してシステムも含め完成させた島秀雄の凄さが描かれている。日本が夢を求めて前進してきた時代が描かれていて興味深い。

  • 国鉄技師長として新幹線建設の指揮にあたった島秀雄の物語。

  • まえがき
    第1章 弾丸列車
    第2章 外遊で学んだ世界の鉄道
    第3章 復興期
    第4章 高速台車振動研究会
    第5章 湘南列車
    第6章 さらば、国鉄
    第7章 十河信二
    第8章 小田急SE車
    第9章 ビジネス特急こだま号
    第10章 世銀借款
    第11章 システム工学
    第12章 ひかり試験走行
    第13章 出発式出席せず
    第14章 「遺書」
    あとがき
    巻末資料
    参考文献

  • 日本の鉄道史を学ぶためには、かなりいい本。
    狭軌の日本がいかに狭軌という限られた条件下で技術を磨いてきたか。
    そして新幹線という大きな絵をどうやって描き実現したのか。
    そして、なぜ新幹線は開業まもなく50年という節目を迎えようとしているのに死亡事故が一度もないのか。
    多くの鉄道関係者の思惑があり努力があり工夫があり、今の新幹線がある。
    そこには高度経済成長期のワクワク感や国鉄という閉鎖的な組織の閉塞感が詰まっている。
    ハードカバーの本から多少省略している部分もあるためイマイチ最後の方のまとまりはないが、それでも充分にロマンを感じることのできる本。

  • 歴史分野が好きな鉄道ファンなら誰でも知っている島秀雄のお話。

    ただ、あまりに美化しすぎなような気がしないでもない。原本が2000年と氏が亡くなられた頃書かれたせいもあるだろうし、著者が、昭和30年代の国鉄黄金時代を知っているからかもしれない。

    それでも、D51や湘南電車80系を持ち上げる一方で、C53の失敗作である点に触れないあたりはどうにも伝説にするための本に読めてしまう。

    「システム工学」の章、「遺書」の章などは、工学を学び、鉄道を趣味とするモノとしては納得の部分ではあるけれども、それとて、島秀雄氏個人を英雄、伝説にするようなレベルでもない。

    予算問題を隠し通して逃げ切った十河総裁と現場をまとめた島秀雄氏はいなければ東海道新幹線はあの時期に開業できなかったのは事実だろうが、業績すべてを伝説にする必要もない、と読んだ。

  • ドラマとしても読み応え十分。これを原案に1クールもののテレビドラマに仕立てられないだろうか。NHKの土曜ドラマ枠にうってつけだと思うのだが。

  • その男の職人魂が世界を変えた。
    すべての鉄道ファンに知ってほしい、夢の
    超特急誕生秘話。
    副題は、伝説のエンジニア・島秀雄物語。
    2000年5月に小学館より発刊された
    「新幹線をつくった男 島秀雄物語」を改
    題し再編集。

    島秀雄は、戦前、鉄道省の技師として、蒸
    気機関車の設計に携わった。D51などが有名
    である。戦後は、工作局長として湘南電車
    の実現に取り組んだ。
    その後、国鉄を退職するも、国鉄総裁、十
    河信二の招聘により技師長として復帰し、
    ビジネス特急こだまや、東海道新幹線の開
    通を実現させた。

    現在では、新幹線は日本が誇る技術である
    が、当時は、鉄道斜陽論が唱えられ、万里
    の長城や戦艦大和と同じような無駄遣いと
    いう意見があり、国鉄内部でも反対が根強
    かった。
    在来線でも、現在は電車が当たり前である
    が、湘南電車が出来る前は、電車とは、今
    のブルートレインみたく、電気機関車がけ
    ん引するものであるという考え方が主流で
    あったという。当時、電車方式には、騒音
    その他諸々の技術的課題があったものの、
    ひとつひとつ克服し、実現させた。

    個人的な技術者として優れているというだ
    けではなく、反対派も含めて、組織をまと
    め上げて実現させたのが、島秀雄のすごい
    ところである。

    本書を読むと、新幹線は、あらゆる可能性
    を想定し、出来うる限りの対策を講じてい
    ることがわかる。何があっても安全である
    ように、事故の可能性を虱潰しに潰してい
    るのをみると、想定外を連発する原発技術
    者と比較してしまう。

    新幹線について書くことは、島秀雄につい
    て書くことに等しい。他にも前間孝則、
    橋本克彦、碇義朗らの優れたノンフィクシ
    ョンがあるが、本書が一番新しいため、
    その後、発掘された資料が使われている
    のが嬉しい。他の本も含めておススメであ
    る。

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